東京オリンピック女子マラソン代表決定&今後の長距離界展望~日本女子ランナーでは珍しい走り方が勝利を手にした意味~

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2020年東京オリンピック女子マラソン代表最後のひと枠は、名古屋ウィメンズマラソンで2時間20分29秒を叩き出した一山麻緒選手(22)ワコールに決まりました。

これで女子はMGC1位の前田穂南選手(23)天満屋と2位の鈴木亜由子(28)日本郵政グループの3人が決まり、レースに向けて万全の準備が整う状況となります。

現状新型コロナウィルスの影響もあり2年後への延期や最悪中止もささやかれる東京五輪ですが、代表3選手含め今後の日本女子長距離界について展望します。

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日本女子では珍しい走り方

後半の伸びにつながる骨盤前傾での走りは圧巻

3番手に滑り込んだ形の一山選手ですが、記録そして走り方でも圧巻でした!どんな特徴があったのか?動きを観る立場から検証します。

シューズに適応したわけ

一山選手は2019年9月MGCではアディダス製シューズを着用、しかし今回はナイキ製の超厚底シューズ「エアズームアルファフライネクスト%」を使用していました。

実は2月の丸亀国際ハーフマラソンで厚底を初めて使い「(厚底で)走った感じは自分に合っている」と自信を深めていたのです。

ただ厚底を履きこなすには走り方をそれ相応に合わせなくてはならず、人によっては1~2年はかかります。

厚底にフィットした理由

一山選手は2019年MGC以降『厚底』に変えたので約半年でこの「地面を蹴った力の8割以上が反発力」という“魔法”のシューズに走りをフィットさせたことになります。

傍からみると異常な程の対応力ともいえますが、実は彼女、アフリカ系ランナーに近い骨盤前傾で走れたことが厚底を履きこなせた理由だと考えます。

だから厚底シューズを履いた今回の走りと従来型シューズでの過去の走り方は「前に進む勢い」という点で全く違っていました。

彼女がナイキの新“超厚底”シューズ特性に合わせられる数少ない日本人選手だったことが今回の勝利と記録に繋がったと強く感じました。

もちろんコンディション調整も上手くかみ合った結果の日本歴代4位というのも忘れてはなりませんが。

フォアフット・メカニクス

フォアフット走法は着地の瞬間足先が地面を向く(足首の)底屈、さらに回内(内側への捻り)がおこるため、画像のような足の向きになります。

特に後方から観て着地瞬間に足関節底屈・回内から荷重後関節ニュートラル(0度)までのわずかな瞬間(0.0〇秒程)に足首の“たわみ(時間的な遊び)”も観られます。

着地瞬間、回内からの“たわみ”が特徴

映像をみると一山選手は42.195kmにわたって大迫傑選手や世界記録保持者のキプチョゲ選手に匹敵する上記2つの特長で前足部接地をで継続できていたことになります。

ではなぜ短期間でシューズを変えフォアフットに適応できたのか?

それは一山選手が他の日本女子と比べ、また以前の彼女の走りと比べ明らかに異なる走り方(今回に限ってなのか今後さらなる検証が必要)をしていたからです。

中間位である骨盤ニュートラルが圧倒的に多い日本女子長距離界で、一山選手の走りは骨盤前傾によってもたらされたといっても過言ではありません。

骨盤前傾が“効いていた”

名古屋ウィメンズではレース後半を力強く一気に駆け抜けた一山選手、速さの秘密は多くの黒人トップ・ランナーに近いフォアフット走法でした。

このつま先着地を可能にした最大の要因が他の日本人選手に比べ(黒人のそれに近く)骨盤前下方に傾けて走れる身体特性です。

にわとりが先か!たまごが先か!

一山選手は他の日本人選手より明らかに骨盤前傾で(黒人の30~35度と比べるとまだまだだが)、しかも前傾を維持したままフルマラソンを走りきりました。

従来の日本人選手にありがちなアップライト姿勢ではなく(多少起きているものの)上体が10度程前方に傾き、20度以上の骨盤前傾角を維持して走っていました。

だから地面を蹴る力強さがあり、蹴った反動(反作用)を利用して脚を前に勢いよく振り出すスイングがしっかりとできていたのです。

注)5:48~右横からの映像に注目

また骨盤前傾で脚の強力な蹴りのエネルギーを脊柱を通して腕に伝えられた結果、腕がよく振れて非常に力強くなったのです。

注)腕が振れているという意味で「力強い腕振り」とコメントした解説ですが、動きの連鎖を捉えていないため正しい表現とはいえず、体の使い方において意味合いが全く違います

“女子ランナー”の殻を破れるか

従来の日本人選手にはなかった走り

名古屋ウィメンズマラソン・ウィナーという称号以上に世界と戦える希望をもたらした一山選手、その走りは今後の日本人ランナーの新たな指標となれる可能性を秘めています。

従来型の指標

従来の日本女子選手は心肺機能や筋力的課題とそれまで定番だった薄底シューズの影響もあり「べた足」ながら着実に前に進むという走りを得意としてきました。

地面を蹴って前に進むというより脚の交差運動をとにかく持続させることで、確実に前に進めるという日本人的発想で走っていたのです。

高橋尚子さん(シドニーオリンピック金メダル)・有森裕子さん(2大会連続メダル獲得)しかりで適度な歩幅でコンパクトな走りのリズムを刻むというスタイルが一般的です。

アテネオリンピックで金メダルを獲得した野口みずき選手のように、筋トレを積極的に取り入れ大きなストライドでダイナミックな走りを実現したケースは例外中の例外でしょう。

日本の長距離界、特に女子ランナーは指導者とある種の師弟的環境で育てられ、そうした状況は次の世代にも脈々と受け継がれています。

指導を受けた選手がやがて指導者になり再び同じ指導を繰り返す!(多少の変化はあれ)思考の改革がなされないまま延々と同じサイクルを繰り返してきたわけです。

日本女子の走りが2000年以降あまり変わらず記録的な伸びもほとんどなかったのは、教える側の思考改革がなされず選手に自立した考え方が育たなかったことが一因でしょう。

速さより骨盤前傾での走り

速いか速くないかという視点でなく、骨盤前傾で走り切れるか!名古屋での一山選手の走りを観てそこが問われるべき!と感じました。

男子と同じで従来からある日本独特ともいえる選手育成の弊害に気づかない限り、どんな練習をしたとしても結果は変わらないでしょう。

従来の日本女子選手とは明らかに違う走り

MGC優勝・身長が高く大きなストライドで走れる前田穂南選手も、日本人の典型な骨盤傾斜角のままでは前に進む勢いと速さにはつながりません。

サイズでは日本人平均以下の鈴木亜由子選手のスピードは評価できますが、脚で走るしかない骨盤ニュートラル(中間位)では後半の脚に繋がらないのは明白です。

一山麻緒選手の走りは松田瑞生選手(24)がだした設定タイム2時間21分47秒を破っただけでなく、日本女子マラソンの走りの弊害を根底から覆す大きな意味を持つのです。

唯一の存在

厚底の恩恵は受けたものの黒人ランナーに近い骨盤前傾を生かした大きなストライドとダイナミックな走りは見事でした。

一山選手の今後の取り組み方いかんでは世界レベルにグンと近づく可能性さえ秘めています。

速さよりも黒人ランナーに近い骨盤前傾角で42.195kmを(ある意味余裕をもって)走り切れたことこそ、他の日本女子選手・指導者が大いに参考とすべきでしょう。

女子マラソンは高橋・野口で世界のトップに立ちましたが、その後はことごとく低迷し世界との差が開くばかりです。

女子ランナーの指導はかくあるべき!という従来的見方や先入観に凝り固まり、変革を推し進めてこなかった現場の問題でもあります。

選手達が自立し常識的な考えを捨て論理的根拠を元にした自発的活動なしに、日本女子長距離界が変われる道はありません。

骨盤前傾でさらなる進化となるのか!?

そのための“手段”として今回の一山選手がみせた骨盤前傾でもフルマラソンを走れる思考や実践法の確立を目指すべきだと私・TM鈴木は考えています。

+5度骨盤前傾』で走れる体作り『かるのび~kaRuNobi~』を試したい!自分を変えたい!走りを変えたい!そんな改革者の出現を待っています(^_-)

まとめ:

主催・協力はニューバランスだったか!?

▼実力が低迷して久しい日本女子長距離界に久々に新たな希望が出現!名古屋ウィメンズでの一山麻緒選手の走り方は圧巻!

▼従来の長距離界は師弟制度ともいわれる指導体制の弊害もあり走りの改革ができず世界と対峙できる選手の育成が遅れた

▼一山選手の走り方は厚底シューズの特席を生かせるフォアフット走法にあり!さらにフォアフットに適した骨盤前傾が結果的に勝利につながった

▼厚底はレースでの主流になることから骨盤前傾で走れる体作りは緊急の課題!先入観を排除し思考改革を推し進める選手・指導者こそが今後日本の長距離界をリードしていくはず

TM鈴木

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