いよいよ第103回陸上日本選手権が6月末、福岡(@博多の森)で開催されます。
注目は【激戦必至】の男子100m、先日全米大学選手権決勝で9秒97の日本新を樹立した大本命!サニブラウン・ハキーム選手を筆頭に、歴代10傑に名を連ねる5人が出場予定です。
そこで動作分析の観点から注目選手の走りとその結果を予想してみましょう!
当ブログを視れば選手達の走りの仕組みがわかり、レースが10倍面白くなるはずです!(^^)!
Contents
“混沌”レースの主役は軸がブレブレ

動きの面白さと見応えあるレースに期待大!
今大会が注目されるのは優勝者が誰になるか?という結果だけではありません!
東京オリンピックの100m出場者3枠を巡る戦いが今大会を機に始まり、特色ある選手達が凌ぎを削りながら代表へ向けた競争力が著しく高まることが予想されるからです。
激戦レースを制するのは?
6/28㈮男子100mファイナル、トップでゴールを駆け抜けるのはサニブラウン・ハキーム選手です!
余程の事がない限りサニブラウン選手の優位は動かないし、今の彼ならおそらくスタートで躓いても後半引き離してぶっちぎりの優勝も可能でしょう。
が、その彼にしても日本国内で!という条件は拭えません。
個人成績だけをみればいくらボルト選手が引退し「どんぐりの背比べ」的な世界動向といっても、オリンピック・世陸等で9秒9〇台での表彰台は望めません。
世界を獲るには最低でも9秒8〇台をだす必要があり、そのための「Ready to Go for it!
」はサニブラウン選手にとってもう少し先だと予想します。
とはいえ彼の才能と“7部咲き”ともいえる現在の走りを観ると、Tokyo2020でのメダル獲得を期待せずにはいられません!
軸はブレるが自然に元にもどる
マスコミや指導のプロと称する専門家は9秒台連発のサニブラウン選手の走りが、米国流の練習法でブレなくなったと連発していますが、今でも彼の走りは見事にブレています。
映像での走りは正確性に欠けるため昔と今の比較には適しません。
走りの序盤や中盤、そしてレース後半のスピード維持区間を、バラバラに留学前後で比較しているのですから、“見た目”に頼るバイアスがかかっていることを全く考慮していないのです。
ましてや練習での“マイルドラン”とレース映像を比較するというとんでもない暴挙で、視聴者にブレない走りを半ばアピールするというメディアもでてくる始末。
この事実を理解できないマスコミや関係者がなんと多いことか。。。
指導理論は桁違い
アメリカには短距離を決まった時間(9秒台)で走らせる動き作りに長けたプロ(指導者)が各地に点在します。
彼ら/彼女らはどんな選手の特性にもフィットさせられるだけの指導理論をもっていて、“その”引出しの多さにおいて日本の指導者とは比較になりません(桁違いともいえますが)!
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留学前とさほど変わらない基本的な動き!それでも速い!
「ブレる」のは悪という常識や先入観に捉われていると、マイナス要素(果してそうなのか疑問!)を直すことでしか速くならない!という短絡的思考からは脱却できません。
大切なことはブレようが、ブレまいが速く走れる人はいる!速く走れる方法はある!という事実に気づくことです。
表彰台を狙う逸材達

栄冠は誰の手に?
出場・活躍は当然の山縣・桐生選手のようにいわば常連といえる選手達をよそにさらに若い世代の台頭が待たれます。
そういう意味での日本選手権でなければ、東京オリンピックでの活躍などあり得ません。
サニブラウン選手に続く“ダークホース”は誰なのか?スタートとトップスピードというの2つの観点からとりあげます。
“The Bullet”スタートのスター候補
スタートといえば山縣選手、しかし【骨盤前傾マニア】の一押しは“ブレット(弾丸)”と名付けたい程スタートに定評のある多田修平選手(住友電工 関西学院大卒)です。
彼は2017年のゴールデングランプリで、当時世界トップスプリンターのひとりだったジャスティン・ガトリン選手を60mまで完全リードし3位に入りました。
スタートの反応時間は元より4歩目までに先んじる彼のスタートスタイルは正に “The Bullet” と呼ぶにふさわしい走りです。
現在でもそのスタイルはつらぬかれているようで、オリンピック代表選出には60mからのトップスピードを如何に維持するかが課題と言えるでしょう。

背中をまるめずにスタートできるか!?
今大会はダークホース的存在ですが、スタートで躓く(ことも予想される)サニブラウン選手を70mまでリードできれば十分勝機も視えてくるはずです。
ガトリン選手が良いお手本ですが、スタートでハムストリングー臀部ー下背部を使えるようになれば後半のリードへつながります。
またトップスピードでの重心位置をわずかに前方にズラして走る方が、体が前方に倒れやすくなり脚の自然なスイングが可能です。
こうした課題に対応するため、+5度の骨盤前傾『かるのび~kaRuNobi~』スタートやトップスピードを再度身に付けることがおススメです。
ハム・背中・お尻を上手く使う術に長ける練習法を今シーズン中に模索しとり入れるべきです!
力感走法に勝機あり
ダークホースをもう1人あげるなら小池祐貴選手(住友電工)、かの武井壮さん(いまや芸能人なんだけども)イチ押しのスター候補です。
彼の自己ベスト[10秒04]は日本歴代7位にランクされる好記録ですが、さらに驚くのは本職が200mだということ。
距離が半分になる100mにおいて60m以降の伸び(実際には速度が落ちるけどその落ち幅は最小限が良い)を維持できることは、彼の力感みなぎる走りに集約されています。
トップスピードの落ち幅が少ない要因は、筋肉をMAXに高めても問題ないフィジカルの賜物であり、元々高強度負荷に耐えられるだけの“器(体)”をもっているに他なりません。
60m以降でサニブラウン選手と勝負できる存在としては、抜群に調子が良い時の桐生選手(実は同年齢)と小池選手以外には思い浮かびません!
東京オリンピックに向けてはスタートから30mまでの加速を他選手より如何に速く確立できるか!にかかっているでしょう。
そういう意味で今回のレース、そして今後の戦略的レースプランを是非!観てみたいものです。
如何でしたか?
各々が色々な想いをもってスタートラインに立つ男子100m、2020年東京オリンピックでの短距離(4×100mリレーも含めた)初の金に繋がる戦いを是非!ご覧あれ!(^^)!
これを読めば一目瞭然

女神!?じゃなく王様は誰に冠を授けるのか?
▼2019世陸(@ドーハ)・2020東京オリンピックに向けた熾烈な代表争いが、今年の日本選手権男子100mをより面白くしている
▼本命サニブラウン選手の2017年に続く2度目の戴冠が見もの!しかし『もしかすると・・・』と言われるダークホースの存在がレースを“混沌”且つ【激戦必至】にするだろう
▼“弾丸”スタートの多田修平選手、後半の“力感走法”に定評のある小池祐貴選手の活躍如何によっては、世界と戦う代表争いに大きな刺激となるはず
▼優勝争いだけでなく2020年東京オリンピックで、短距離(リレー含む)初の金メダルを視野にいれる日本の未来につながる戦いがみれるはず!(^^)!
TM鈴木