プロ野球(NPB)日本シリーズ第3戦が舞台を札幌ドームに移して行われました。
第1戦は広島が日ハム大谷投手を打ち崩し大勝、第2戦は広島の野村投手の好投が光り連勝。
記録によれば1・2戦連勝したチームは29チームでそのうち日本一になったのは23チーム、優勝の確率は79.3%だそうです。
そして第3戦、キーマンとなったのはやはりあの男でした。
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打たれた!投手の将来性
第1戦に先発した日ハムのエース大谷投手、6回までに2本のホームランを浴びて被安打5の3失点、最高球速も158km/h止まりと投球内容に関してはそれほど良いというものでもありませんでした。
試合前に降った雨による影響もあったのかマツダスタジアムのマウンドは今回大谷投手にはしっくりこなかったのかもしれません。
「投手大谷」としてはチームに貢献できず、打者として出場した第2戦も9回に三振していました。
1・2戦を通じて投手としても打者としてもチームを勝利に導けず、大谷投手には期するものがあったのかもしれません。
今、日ハムの中心はなんといっても大谷選手でしょう。4番の中田選手や新進気鋭の若手野手もいる中で投球や打撃でチームをリードできる唯一の存在が大谷選手なのです。
その大谷選手は第3戦で大活躍しました。敬遠の四球を含む4打数3安打、しかも最終打席はサヨナラ!ライト前タイムリーでした。1ボール2ストライクからの内角低めをうまく腕をたたんで打った技ありの1打。
やっぱり打者としても捨て難い! 彼の非凡な才能はMLBでも二刀流を実現するのではというワクワク感を抱かせてくれます(^^+
満身創痍:黒田投手の執念
大切なシリーズを前に引退会見を行うことは非常に大きな賭けかもしれません。
引退を表明する!黒田投手はその賭けにでたのです。
常識的にいえば引退は日本シリーズ終了後に行うべきでしょう。
しかしシリーズ前に発表することで逆にチームのまとまりと活性化をはかり、且つ「黒田さんに花道を!」という想いをチーム全員に抱かせることでこの市民球団を鼓舞したのではないかと考えます。
第3戦、黒田投手のピッチングは5回2/3を投げ指名打者大谷をレフトフライに打ち取ったところで終わりをつげました。
4安打1三振1失点、両足の違和感を訴えて降板しましたが、先発投手としての役割を十分に果たした堂々の内容だったと思います。
若い時分の剛腕で慣らした投球スタイルからメジャーでの時を経てそのスタイルを打たせてとるピッチングに変えていった様は、正に思考と技術の柔軟性を合わせ持つアスリートならではの行動だったと言えるでしょう。
打者の手元で微妙に変化するカットやシーム系の“ムービングファストボール”を駆使し、しかもそれを左右の打者の内懐に投げ分けるフロント・バックドアというスタイルを完成させました。
さらに縦に落ちるスプリットを織り交ぜながら打者を翻弄したことは、今後メジャーを目指す投手たちに最も参考になる例といえるでしょう。
一般的にはみんなこだわりたいものですよね。バッタバッタと三振をとる、力でねじ伏せる投球に!
でも年齢を重ねていけばいくほど、身体は思うように動かなくなる。
だから身体が(自分の思い通りに)動く間に選手として別のスタイルを築かれたことが、黒田投手の現役生活を伸ばした要因だったのかもしれません。
同じスタイルの変更を松井選手もしましたね。
日本にいる時の豪快なホームラン打者からボールを懐まで呼び込んでコンパクトに強く叩く中距離砲に!
黒田投手、松井選手共に柔軟で、ある意味楽観的な思考を持つことが、メジャーでも成功できた秘訣だとTM鈴木は考えました。
投げる・打つだけはない!スーパーアスリートの片鱗
さて、話を日本シリーズ第3戦に戻しましょう!
8回裏、日ハムは1アウトから大谷は敬遠されバッターは4番中田。
来たボールを引っ張った打球はレフト前に!
レフトがボールを後逸させる間に大谷は3塁をも周りホームイン。
この時の大谷選手、193cmの長身からすればその動きは鈍重でもなんらおかしくないはずなのに、スムースな体幹と四肢の連鎖した動きにより、その走りは非常にダイナミックでしかもかなりの快速を披露してくれました。
滑らかな体幹と四肢の連鎖、実はこれが走る際にとっても重要なのです。
その証拠に大谷選手が三塁をまわりホームに走るその瞬間「コッコッコッ」という丁度ニワトリとかハトが歩くときに首を前方に振る振り子の動作になっていました。
一流どころの黒人スプリンターがこの「コッコッコッ」走法、つまり一歩踏み出すごとに頭が前方に“振れる”走り方をしているのですね。
他の動作に通ずる体幹の動き
大谷選手の走りや一流黒人スプリンターの走りには、共通する身体の能力(性能といってもいいでしょう)が伺い知ることができます。
それは体幹が実に良く動くことです!
無理は承知で敢えて言わせてもらうなら、良く動く体幹とはその基礎構造物である脊柱が生理的にしっかりと動かない限り実現することはありえません。
世界の一流スプリンターはこの脊柱を本当によく動かした(意識して動かしているのではなく、速く走るために自然と動くようになっている)走りを実現しています。
椎骨と椎間板という椎骨の間にあるクッションを含む脊柱全体が良く動くから、その周りにある大小様々な筋肉が最適に働き、結果として体幹が動く走りができているのです。
実践できればあなたも一流アスリートに!
先ほどの「コッコッコッ走り」にしても脚を動かしている力(エネルギー)が、【“よく動く”体幹】を介して頭に伝わり、外にその力を逃がしている結果起こる現象なのです。
大谷選手はベースボールプレーヤーでありながら走るのもかなり速い!
しかも193cmという日本人ではありえないくらいの長身で、この「コッコッコッ」走りができてしまう!
「投げて打って守る」だけではなく、「走る」ことが既に世界基準にあると考えて間違いないでしょう。
そんな選手70年の長いプロ野球の歴史でも見たことがない!
まとめ:世代交代・時代は移り変わる
大谷選手が大躍進するに足るスーパーアスリートであることは、“走る”という動作において既に一流であると説明できうる根拠がありました。
彼は今後、もっと大きな舞台で大活躍する正に逸材でしょう。
彼が常々バッターとして勝負したいといってきた黒田投手との対戦は日本シリーズという大舞台で実現しました。
黒田投手もメジャーで活躍した先人として、その投球で大谷選手に伝えておきたいことがあったかもしれません。
両者にとって単なるシリーズの一戦、一打席という枠を超えた“勝負”を繰り広げられたことは、今後の各々のキャリアに確実につながっていくと思えた戦いでした。
そしてチームの勝利の行方はどちらに転ぶのでしょうか!
今度は大谷投手の反撃に期待しましょう(^^+
今日はこの辺で。
TM鈴木