前々回のブログ
でお伝えした内容をもう少し詳しくお伝えします。
子供の筋トレは、体作りやケガ予防としても大切ですが、それ以上に【筋肉の動きを感じとる】習慣付けとして重要であるとご紹介しました。
スポーツでのパフォーマンスアップには筋力を発揮する能力を高めなくてはなりません。
そのためには筋トレで実際に筋肉が動いている様子を脳のイメージとして捉えられることが必要なのです。
今回はこの筋発揮能力が飛躍的にアップするための筋肉の動く感覚を身に付ける考え方と具体的なトレーニング法に迫ります。
今までチームメイトやスタッフとお喋りしながらなんとなく行ってきたトレーニングやストレッチングの捉え方が180度変わるかもしれません(^_^)
Contents
【敏感さ】がパフォーマンスに繋がる
筋の動きを感じるとは具体的にどういうことなのでしょうか?
体系的、アカデミックな定義があるわけではありません。
あくまで体感しているTM鈴木独自の視点です。
簡単に言えば身体が敏感ということかもしれません。
抗重力の概念を体で知る
人は地球上にいる限り重力(地球の中心に向かう力)と戦い続けなければなりません。
重力に抗って骨格と、加えて筋肉の働きで日々の動作を維持しています。
骨格がベースとなりこれに筋肉の機能が高ければそれだけ自在に身体を動かせるわけです。
そこで筋肉の動きを感じとることができれば、例えば立位姿勢で骨格特性で立っているのか、骨格をベースとして筋肉を働かせて立っているのかが実際にわかります。
前者は筋肉が使いづらく、骨格の形状により姿勢が左右されてしまいます。
骨や関節の形が変わっていけば姿勢もその形状に準ずるので、骨格が衰えれば筋肉で支えることはできません。
後者は筋肉の機能を高めている限り、(例え骨格形状が変わっても)しなやかかで大きくダイナミックが動作を可能にしてくれます。
筋の動きに敏感になれば、お腹の奥の筋肉、特に大腰筋等の表面からは見えない筋肉の動き、そしてインナーユニットと呼ばれるお腹の圧力調節機能の働きも感じることができます。
こうした能力は日常生活やスポーツ活動において動きの基礎を成すもので、重力環境下で生きる人間にとってなくてはならない要素なのです。
人の形・動きは骨格で姿勢のベース(基礎)を、周りの筋肉の機能で動きの滑らかさを出しています。
日常生活でどちらが楽に動けるか、運動効果があるのはどちらか?なのかは容易に推察できるでしょう。
わからないこと→『なるほどっ!』体験
例えばスクワットをする際、腰の中央部がギュッと締まったような感覚はあるでしょうか?
そうした締まる感覚があるかないかで(爆発的な推進力に寄与する)スクワット・トレーニングの成果は大きく変わります。
腰中央部が締まる感覚によって(上)下背部・臀筋群・ハムストリング等の人間の裏の筋肉の働きが高まるからです。
特定部位の変か(締まる動き)を感じられれば、100kgのウエイトを担いでも例え重量なしのスクワットでも、ハムストリングを含めた体の裏側が働いているという感覚を得られます。
ウェイトなしのスクワットでは骨盤前傾による姿勢の変化と体重がウェイトの代わりとなってスクワットの効果を大きく高めてくれるからです。
『筋肉の動きを感じとる』とはそういうことなのです。
まるで【エア筋トレ】!?
動作中に筋肉が動いている(例:伸び縮みしている)感覚をトレーニング中に生かせることが理想ですが、日常生活でもイメージできるならそれはあなたにとって大きな“武器”となるでしょう。
筋肉が動く感覚を身に付ければ、ウェイト(重り)を持たずとも(重り)を持っているのと同じように筋の発揮能力を高めることができるのは、先述したスクワットの話と同じです。
例えばベントオーバー・トライセップス・エクステンション(BoTE)ではどうでしょう。
こうした動作、みかけたことがあるかもしれません。
ベントオーバー・トライセップス・エクステンション(BoTE)は、肩を固定し肘の曲げ伸ばしによって上腕三頭筋の筋発揮能力を高めるエクササイズです。
写真をみるとダンベルを使用していますが、実はそのダンベルを使わずとも筋トレ状態を作り出せるのです。
筋肉の動く感覚が身に付けば、重りを持たなくてもあたかもウェイトを使っているような筋肉の収縮特性を導きだし、ウェイトを使ったトレーニングとほぼ同等の筋発揮機能を体感することができます。
TM鈴木はこの状態を筋収縮認知感覚能:Muscle Contraction Awarness Sensitivity(MCAS)と名付けています。
もっと簡単に今のはやり言葉でいえば【エア筋トレ】とでもいうのでしょうか。
重りを持たずして持った時と同じような収縮形態を示せるのは、その筋肉の特徴・特性を良く理解しているからこそであり、そのベース(基礎)があれば広く汎用的なトレーニングが可能なのです。
動くイメージの元はどこから?
こうした筋の動きを感じとる基礎ですが、最も重要なことはその特性・特徴を知ることでしょう。
スクワットでいえばハムストリングがどこの骨についていて、どんな形の筋肉で、どういった動き(収縮特性)をするのか?を理解しておくことです。
関連するテキストや参考図書は有効ですが、わざわざ購入しなくとも[youtube]で「ハムストリング(上腕三頭筋) 動き」と検索すれば動きのイメージがすぐに掴めます。
子供でもイメージでとらえることが可能であり、学校で習う算数や国語よりよっぽど興味を引くかもしれません。
こうしたイメージのトレーニングを体験しつつ実際のトレーニングを実践していくことで、今行っている動きでの筋肉の「縮み具合・伸ばされ具合」や周囲筋群との関係性がイメージとして捉えられ、さらにスムースで効率的動きが確立されます。
特に筋トレ(ウェイトトレーニング)には、筋肉をアイソレーションさせて動かす要素があるので筋肉の動きをイメージしやすいという特徴があります。
歩く・走る・跳ぶ・投げる等は複合的な運動ですが、筋トレだと例えば上腕三頭筋だけを収縮・弛緩させるトレーニングができるということです。
こうした特定部位だけを動かす、つまり単独で鍛える行為をアイソレーション(孤立)と呼んでいます。
色々な動作で筋の動いている状態を知る
水中環境では水流の影響で筋の動きにしっかりと抵抗がかかり、動きの質が大幅に高まることをご存知でしたか?
筋の動く様を感じることがができれば水中でのこうした動きは大きな効果を生み出します。
歩くだけじゃもったいない!様々な機能性エクサ
水のこうした特性を利用すればせっかくの運動が水の中をただ歩くだけでは終わらず、さらに効果的なものになることをご自身で体感してみては如何でしょう。
まだ筋肉各々の動きを感じられなくとも様々な動きをするだけで、ほんのちょっと動きを変えるだけ!たったそれだけでも、まったく違った抵抗・変化が生まれ、筋肉の使い方(収縮・伸張能力)が変わってくる状態を体感できますよ(^_^)!
そこに筋肉の動きを感じとる能力(MCAS)が身に付けば、それこそ非常に効果的なウェイト・・・じゃなかった、優れた高い効果を発揮するレジスタンストレーニングとなることでしょう。
水中エクサあれこれ
以下に水中で実践する主だった運動を示します。
1)脚をできるだけ開き膝を深く曲げて腰を落とす(相撲の四股を踏む姿勢=上図参照)
1-1)の姿勢を水中で維持する
1-2)1)の姿勢で前進ー後進する
1-3)1)の姿勢で横歩きする
2)足を前後に目一杯開く(股関節が伸びる・ハムストリングの付け根が伸びる感覚)
2-1) 2)の姿勢を維持する
2-2) 2)の姿勢を維持したまま上半身を左右に捻じる
2-3) 2)の姿勢を維持したまま上半身を側屈する
3) 1)の姿勢を維持、肘を伸ばして両腕を前方向に閉じる/後ろ方向に絞る
やってみるとわかりますが、驚く程股関節周りと骨盤周りが使われます(^_^;。
水中は胸まで浸かれば体重が地上の1/10になるという浮力特性があります。
地上ではやりずらい動作も水中なら難なく行えるし、日頃やらない姿勢にこそ筋発揮機能を高めるヒントが眠っているのです。
極端に言えば水面に顔を出しているだけですから水中で何をしているかはわかりません。
見た目には動いていないように見えても、単なる水中歩行に比べ格段に体の各機能が使われ、結果としして筋の動きを感じやすくなるのです。
運動前の姿勢準備を忘れずに!
いずれの運動も骨盤の前傾位角(真横から見て骨盤が前下方に傾く)をしっかり維持した状態で行うのが望ましいでしょう。
前傾位にすることで背中・臀部・ハムストリングといった体の裏側がしっかりと使われやすくなるからです。
逆に普段の姿勢(中間位)、つまり腰周りが楽、もしくは何も感じないような姿勢ではTM鈴木が求める筋肉の動きを感じる能力は養われないでしょう。
腕の重さを感じる感覚能
四十肩・五十肩(肩痛)によくやるリハビリでアイロン体操なるものがあります。
これは肩関節内の圧力が低下しないままやってもほとんど意味がありません。
筋肉の働かせ方を知らない人は筋の脱力方法がわからないからアイロン体操はほとんど効果がないのです。
表現が適切かどうかわかりませんが、肩関節で腕の重さ・ダンベルのウェイトを感じなければエクササイズの効果が高まりません。
極端に言えば重り(アイロン)を持たずとも腕の重さを肩関節で感じられれば運動としては成立してしまうわけです。
一般人なら腕の重さは体重の約6.5%あると言われています。
体重60kgなら約3.9kg、つまり4kgのウェイトを保持しているという感覚を肩関節が持つことになります。
その重さによって肩関節内部が広がる(=引っ張られている)と感じられるならアイロン体操はあなたの肩の機能を回復させるのに十分な資質を有すると言えるでしょう。
TMアイソレーション・ストレッチ
ストレッチは元々、特定の筋肉を伸ばすことがゴールとなっています。
ハムストリングや腓腹筋・ヒラメ筋等の下肢を伸ばしたり肩関節周囲筋を伸ばしたりといったスタイルが代表的ですね。
TM鈴木はそうした一般的なものよりさらに伸ばすポイントを明確にしたストレッチングを推奨しています。
その名も【TM式アイソレーション・ストレッチ】です。
ハムストリング全体を伸ばすだけでは“ストレッチ感”がぼやけてしまい、ともすれば筋断面積の小さい膝に近い部位が伸びがちでストレッチングの効果が薄れてしまうのです。
そこで独自の視点を2つ利用しハムストリングのお尻近くにある付け根が伸びるようにします。
同じハムストリングですが膝近くが伸びるか中央部から臀部に近い筋断面積の大きい部分が伸びるかで筋の発揮能力には大きな違いがでるのです。
こうしたアイソレーション系ストレッチは例えば通常伸ばされる捻り系で外腹斜筋ではなく、その内側にある内腹斜筋を単独でストレッチさせることも可能です。
腹斜筋の中でも深層に位置しインナーユニットとして腹空圧をコントロールするのが内腹斜筋です。
この筋肉はしばしば捻じる動作(バッティング・ピッチング・ゴルフスイング等)で痛めるリスクが高いため、単独でしっかりとストレッチング(+緩められる)できることがとても重要なのです。
ヨガの技法:【ナウリ】
例えばヨガの流行によって注目されだした「お腹凹ませエクササイズ」はその典型でしょう。
中でも「ナウリ」は特に高等技術であり、相当な訓練期間を擁しますができて損はない運動と言えるでしょう。
その特徴を以下に示します。
・横隔膜の収縮弛緩動作で腹式呼吸が可能
・自律神経に作用(動作のメリハリ/動きの正確性を高める)
・お腹の中の圧力(腹腔内圧)コントロールと内臓の活性化
・腰痛予防
TM鈴木式アイソレーション
あくまで予測ですが野生動物(生物)にはこのMCASが生まれながらに備わっているのではないかと考えています。
なぜなら人間のように個体能力差がほとんどなく速く走れたり、大きな力を発揮したりできるからです。
TM鈴木のトレーニングサービス【Tチャレ】ではクライアントが以下のゴールに到達できるよう様々なサービスを展開しています。
プロ・アスレチックトレーナーの元で斬新な思考を元に、単にトレーニング/エクササイズを実践するだけでなく、最終的には筋肉の動きを感じながらの身体操作を身に付ける。
【Tチャレ】:トレーニング・チャレンジ(Training Challange)の略称
こうした考え方、そして実践に興味あるかたは、こちらまでご連絡ください!
まとめ:
筋トレはアイソレーションを使ったスタイルが多く、筋肉を単独で働かせることができるため、筋肉の動きを感じとる能力が身に付きます。
筋肉を鍛える・ケガを予防するよりも、筋肉の動きをイメージしながら体を動かす感覚が身に付くため、成長期の子供達の運動能力発達能を高めてくれます。
筋の動く感覚が身に付けば、例えば重りを持たなくてもウェイトを挙上したときと同じような筋肉の収縮特性を引き出す、いわば【エア筋トレ】の効果が高まります。
こうした筋の動きを感じとる能力は水中での様々な動きで一層その能力を引き出すことも可能です。
ただ歩くだけではなく、水の抵抗・浮力・水圧を利用し筋の動いている状態を感じてみてはいかがでしょう!子供からトップアスリートまで、その高い効果を感じることができるはずです。
TM鈴木