球数制限と高校球児の本質を問う!令和の怪物その投球メカニクス~佐々木朗希投手の無理のない動きとみずから判断できる環境~

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毎年この時期になると必ず起こる高校球児の球数問題、しかも進捗してるのは甲子園大会だけじゃなく地方大会にその眼が向けられたことです。

それもこれも“令和の怪物”佐々木朗希投手(大船渡高校)の、岩手県決勝vs花巻東戦で投げるの?投げないの?問題があったりするからかもしれません。

そこで佐々木投手の今現在の投げ方からわかる体の使い方を紹介しつつ「球数問題」の私見も述べてみましょう。

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163kmを可能にする動き

令和の怪物はどういう思考をもつのか?

まず本当に163km/hでたの?という疑問、というのも佐々木投手がこの球速を記録したのが春に行われた高校代表チームでの練習試合だったこと。

公式発表ではなかったことからどうなんだ?ということですが、ややもするとメディアが新たはスター発掘を企み多少盛ったんじゃないの?という話もチラホラ聞こえてきます。

可能性を感じさせる体

本当に高校最速163km/hがでたのかどうかはさておき、彼の体と動きは他の高校生にはない特徴を兼ね備えていることは確かです。

まず体が細長い!手足が長い!

線が細いのは大物の証!?

パンパンに張った腰周りの筋肉やぶっとい太腿や発達した大胸筋など、昨今の高校球児にみられるガッシリ体型じゃ全然ありません。

〇杯メシ!とか大量に白米を食わし間にプロテインを摂取するなど、それこそサイボーグの如く無理矢理大きくした体でないことは明らか!

成長曲線が各々違うため筋トレや練習を十分しつつ同じ量のメシを食わして無理矢理体重を増やしたとしても、その体を操れるだけの感覚はつかめないのです。

プロも含め大学・高校の指導者は人間の本質がわからないから、みんな一様に体をデカくする方法をとるけど、動きに大きなマイナス影響を及ぼす要因に気づかないのですね。

佐々木投手は一言でいえば線が細い!でもこれは成長期の高校生では当たり前のことで、食べる量も美味しい!満足!という程度にとどめているのでしょう。

体が頑丈になる時期はおそらく20歳過ぎ、だからその時までに筋発揮能力を高める知識・方法を少しずつ学んでいけば、体を最高レベルに操れるようになるはずです。

メリハリのある動き

佐々木投手の普段の動きを観たことがないので確定的なことは言えませんが、投球メカニクス(フォーム)をみると決して無理がなくむしろまとまっている印象です。

身長189cmで腕・脚が長く(おそらくは)指も長いはずです。

軸足支持で踏み込み脚を高くあげ直後に鋭く降ろしながらの並進運動(プレートに向かう動き)が非常にスムースです。

膝が開かない工夫を自然に引き出す才能

また踏み込み足をつく前に一旦、股関節を内旋させる(内に捻る)独特な操作(クセ)が入るため、足裏がホームと一塁ベンチの間を向くようにして踏み込んでいます。

実はこれ「膝割れ」を防ぐことにも大きく寄与して、結果的に力を溜め込む操作となっているわけですね。

彼のこの独特な股関節内旋と振り上げ直後の鋭い脚の引き下げにより、並進からのスピードとスムースな骨盤回転運動への切り替えにつながり、あの球速を生み出しています。

さらに2つの振出し脚操作(コッキング期)とシンクロするように、投球腕を一旦急激にグンと引き下げ勢いをつけてあげることでスイング加速に繋げています。

以下、佐々木投手の投球メカニクスをまとめます。

  1. 足の急激な引き下げ・素早い内旋動作
  2. 腕の素早い引き下げから勢いをつけて挙上
  3. 勢いの付いた脚の動きに腕のスイングが呼応
  4. 1&2の勢いが並進運動とシンクロ
  5. 素早くスムースな骨盤回転(回旋)への移行
  6. 最終的な投球腕の鋭いスイング
  7. 6による鋭い指のスナップ(弾き)

改善ポイントはどうか?

回転数があがれば当然ですが球速もアップします。

指の長い(と思われる)佐々木投手は速く鋭いスイングで長い指でボールにスナップを効かせる(弾く)術を18歳にして身に付けているようです。

いやはや末恐ろしい。

しかしちょっと気になる点もあります。

ボールに勢いをつけるべき加速期中盤で、既にボールを持つ手がホームベース側に向いてしまうことです。

これが一度だけのものなのか?それともそういう投げ方のクセなのかは、今後見守る必要があるでしょう。

ボールを握る手はリリース直前まで一塁側を向いていることが理想です。

加速途中でボールを持つ手をプレートに向けてしまうと、肘内側側副靭帯へのトルク(物理的負荷)が過度に高まってしまうからです。

この投げ方では投球過多の金属疲労より、物理的なストレスに晒されることで肘を痛めるリスクが高くなるので、NPB・MLBどちらに行くのかはさておき理想的な腕振りはチェックしておくべきででしょう。

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球数問題の本質

このねじれが投げるごとにくわわる

そもそも球数問題を解決しようとすること自体がおかしな論調、と思う人が全くといっていないことが大きな問題だと個人的には考えています。

肩・肘を痛めることが球数に起因すると明確に確定してるわけじゃないし、大会の日程再調整含めあくまで投げ過ぎがいけないというどちらかといえば主観に左右されているのですから。

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故に「國保監督の決断には一定の評価ができる」等とする論調のメディアは(たとえそれが仕事だとしても)到底賛成することはできません!

大差のついた最終回、仲間たちがみんな立ち上がり、身を乗り出して声をからしている中で、佐々木朗希はひとりベンチ奥に腰を下ろしたままじっとグラウンドを見つめていた。

また佐々木投手を除く他の選手達が(No1ピッチャーが登板しないことに)納得していたか!や監督の判断を英断/独善にしたり、学校への苦情殺到等も論外です!

インターネットの発達により一億層批評家時代に突入した現代、メディア・大衆が「あ~だこ~だ」と酒の肴にするこうした体質には正直うんざりです。

彼(国保監督)は培ってきた経験や知識を元に当然の判断をし、選手達はそれに従ったという事実があるのみ!我々周囲はこの現実を受け止めるだけで十分でしょう。

いくら球数を制限し日程調整しても“ルールの網”を抜ける輩は必ずでてくる!それよりも「みずからが決める」という判断基準と、その権利を学生自身が持つことを優先すべきです。

ネットの発達により知識・技術情報は望むならいくらでも得られる現在、監督と話し合った上で自分で判断する行動力を持つことが各チームが取り組むべき課題なのです。

問われるべきは過度の投球/驚愕の球数によって投手生命が絶たれるかもしれない投手がみずから決断をできる環境を整えることです!自分で判断できる(させる)環境なら例え肘が壊れたとしても納得はできるのですから。

他人にルールで縛られるより自分で決断したことは(自分が判断できれば)、その後結果がどうであれ後悔はないはずです。

あらかじめ肘の休息期間と考えよ

150km/hを超すようなファーストボールを投げる人達のスイングを、スローで観たことがあるでしょうか?

このねじれ具合!これでも肘は壊れないのだろうか・・・

〇〇kgの負担がかかる!というより映像やその瞬間の画像を観れば、そこにどれ程の負担がかかるかをイメージすることは容易いでしょう。

長年ピッチャーを続けていれば多かれ少なかれ肘・肩を故障するリスクは高まる!

球数を多少減らそうが増やそうが10年20年投手を続けるなら、必ずといっていい程手術のリスクがあることを知った上でプレイすることが肝要なのです。

球数問題や日程調整は他人がすることで、選手達はこうした全く新しい思考を踏まえたプレイキャリアを考える時期に来ているのではないでしょうか。

ましてや佐々木投手は20歳に満たない年齢で160km/hを超える剛速球を投げるわけです。

いくら体が出来上がり鍛えたとしても投げ続けていけば、靭帯損傷というリスクは避けられるものではありません。

ならば逆に現役の間にある2年間は手術を含めた休養と捉え、心も体もリセット状態で後半のキャリアを迎えるといった見方も、賢い彼であれば当然考えるべきでしょう。

それこそがみずから判断し納得できる本来のキャリアプランだろうし、“令和の新怪物”たる所以だろうとさえ思うのです。

まとめ

肘への負担を軽減は多くの要素が絡むことを知るべし

▼令和の怪物:剛腕!佐々木朗希投手の動き(投球メカニクス)と、地方にまで押し寄せる「球数制限」の本質について私見を含めて紹介

▼鋭い振出し脚の引き下げと着地前の急劇な内旋操作、さらにコッキング中の投球腕の引き下げにより並進と素早くスムースな腰の回転が160km/hオーバーの秘訣

▼球数制限・日程調整等のルール化よりそれをみずからが判断できる知識・技術を身に付けるべき

▼高校生とはいえ指導者の意見を聞きつつも、最終的にはみずからの判断で投げる投げないを決断できる環境づくりが必須

TM鈴木

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