走ると膝外側が痛い!膝から下のみを動かす膝下走りとの関係は?~腸脛靭帯炎:その硬く強力な構造ゆえのストレスを探る~

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『おじさん達はコリ症で一度のめり込むと“引く”ことを知らない!』とは、クライアントである〇○様のご意見。

実際痛くても「せっかく練習してきたのだから・・・」と、受診した整形外科に「なんとか出られませんかぁ!」とお願いする方も多いのだとか・・・。

仕事柄色々なスポーツ愛好家の方々とお会いしますが、マラソンをやっている人達の間で密かな悩みがこの問題です。

その正体は「腸脛靭帯炎」、ランナーズ二―とも言われ走る時に膝の外側少し上のポイントが燃えるような感じで熱くそして痛くなり、中々ひかず長期化するやっかいなケガなのです。

膝のこうした問題はおじさんだけでなく市民ランナー全体に共通する問題であり、だから独自の視点で走る動きとの関係にフォーカスします。

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腸脛靭帯:その構造

膝外側の痛みには要注意!

腸脛靭帯炎がなんなのか?それは検索するとたくさんでてくるので当稿ではあえて説明することはしません。

ただ腸脛靭帯の構造やその仕組みだけは是非知っていただきたい!というのもそれがわかることでおのずと予防法が見つかるからです。

曲げ伸ばしで位置が変化

膝の角度で擦れたり擦れなかったり!

腸脛靭帯(IT-band)は骨盤を形成する腸骨と脛(すね)の骨である脛骨を外側で縦方向に結ぶ、非常に強力で硬い靭帯組織です。

最大の特徴はこの靭帯が膝の曲げ伸ばしの度に、大腿骨外側上顆という骨の出っ張りに触れながら(膝屈曲30°付近)後ろから前(前から後ろ)へとスライドすることです!

この膝関節30°付近で起こる腸脛靭帯遠位内側と大腿骨外側上顆の間の摩擦をインピンジメントゾーン(impingement zone)といいます。

JCHO東京山手メディカルセンターは418床の総合病院として、22の診療科が協力して全身の病気に最新、最高の医療で対応するとともに、温かい心で行う看護を特徴としています。専門外来、セカンドオピニオン外来、人間ドックもご利用ください。

布きれの両端を引っ張って石の出っ張りの上を左右に擦っているとその布がボロボロになるのと一緒(たとえ話)ですね。

この腸脛靭帯の “スライド” に以下の条件がいくつか(または全て)重なる時、痛みが発生すると言われます。

①骨盤後傾位

②大腿筋膜腸筋/大臀筋の硬化

③過回内足(足関節外反)

④アライメント(o脚/x脚:外側に重心がかかる/膝関節外反)

⑤オーバーユース(距離・サーフェース・シューズetc)

潤滑を促進する組織の存在

腸脛靭帯について語っているページをみると「骨と靭帯が擦れて痛みが・・・」云々との記述、実は骨の膜と靭帯を覆う膜同士が擦れていきます。

人のカラダは構造物同士が直接接触しないように必ず潤滑性組織によって守られて(覆われて)います。

腸脛靭帯の場合ならコラーゲン状の(靭帯)膜、膝の骨なら骨膜で覆われ、少々の接触では炎症など起こることがないようにできています。

さらに腸脛靭帯の付着部内側と膝の骨の出っ張り(遠位大腿骨外側上果)の間には、滑液胞(腸脛靭帯下滑液胞)という潤滑力に長けた袋状の組織が存在し両組織を摩擦高から守っているのです。

これだけの構造的なアドバンテージがありながら痛みが出るということは、体にとって相当負担となっていることを示しているといっても過言ではありません。

専門家のアドバイス:その背後にあるもの

にも関わらず、その深刻さを受け止めらず「なんとかして走りたい!」という人が後を絶たないというのが冒頭の「おじさんは一度のめり込むと・・・」という発言の趣旨のようです。

医者が「まず、やすみなさい!」というのは患者側からすれば「他人事だとおもって・・・」と忌々しく思ったとしても不思議ではありませんが、そのほとんどは専門家として至極当然のアドバイスなのです。

本来ならもう少し踏み込んで単に「治療する/シューズ・インソールを変える/ストレッチ・マッサージをする」といった対処療法では完治しないことを伝え、じっくり取り組む手段を提案しても良いのかもしれませんが。

なぜならそこにはこのケガに取り組むべき根本的な課題があり、それを考えない限り完全に痛みはなくならず、よくなって走り出したら再発というパターンが十分有りうるからです。

腸脛靭帯炎と“膝下”走り

走る速度によって骨盤の傾斜角が変化

マッサージ・ストレッチ・電気治療・超音波・インソール(シューズ)NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)等々、この疾患の改善法は多くのサイトで扱っているのであえて取り上げません。

独自視点ということで骨盤後傾(位)との関連性について、まずは骨盤の傾斜角と走りのメカニズムを観てみましょう。

走る速さと膝下走り

市民ランナーのフルマラソンの記録は大体4時間40分~5時間10分程、男性だと6分40秒/km、女性は7分20秒/kmくらいの速度と言われています。

サブ3/サブ4をねらうランナーの場合それよりだいぶ速くなりますが、それでも世界レベル(3分/km:20km/hペース)のスピードとはかなりの差があります。

市民ランナーの場合、膝から下しか動かさない(動かない)、ほとんど膝の曲げ伸ばし“だけ” でペースを維持する通称: “膝下” 走りが多いのです。

膝下走りは高速ランナーに比べて体全体を使うわけではなく、その目的は走りの勢いを重視するというより、一定のペースを数時間維持するためのものです。

速度をあげることなく一定ペースを維持できますが、代わりに骨盤が後ろ斜め下方、つまり後傾に傾く姿勢となるため腸脛靭帯の緊張が増してインピンジメントゾーンでの摩擦は高まります。

フルマラソン換算で6~7分/kmの市民レベルはもちろん、それより速い4~5分/kmの愛好家レベルでも膝下走りで骨盤後傾のランナーは非常に多いです。

早いスピードのランニングでは接地時の膝屈曲角度がより深くなり、impingement zoneを超えているため、腸脛靭帯の摩擦は少なくなり、腸脛靭帯炎にはなりにくい。https://goo.gl/ukqvXf

角度によって位置が変わる! https://goo.gl/fe3wTP

骨盤後傾による走りへの影響

「骨盤前傾 vs 後傾」の比較

腸脛靭帯は硬く強力な構造で特に横方向へのブレを防ぐ反面、その硬さが逆に仇となり、特に骨盤後傾気味だと走行時の膝の曲げ伸ばしで緊張が高まり、インピンジメント・ゾーンでの圧は一層高まります。

ピーンと張った腸脛靭帯は膝下走りにより前後のスライドが窮屈となり、骨隆起した膝の外側で大きな圧が加わることで、やがてそれが擦れて痛みや違和感を引き起こすのです。

さらに骨盤後傾により臀筋群が緩まるため着地の際、お尻の筋肉で体を支えることが難しく、結果的に四頭筋で体重のほとんどを受け止めざるをえません。

膝下走りのランナーに大腿部が発達しているケースが多いのはこういった理由で、逆に世界のトップはハムやコアという深層筋群が発達するという特徴があります。

四頭筋は通常、内側より外側の方が3割程強いため着地の際外側荷重となりやすく、骨盤後傾になればさらにその余計な負担が腸脛靭帯に加わるというわけです。

そのサイクルをフルマラソンでは何千回と繰り返すので、膝下走りによる骨盤後傾(位)が身体操作面でマイナス要素が大きいのは当然で、タイムアップに繋がらないばかりか、腸脛靭帯炎を含む膝周りのケガのリスクも高まるのです。

次回は腸脛靭帯炎の対処法、というより解消法について姿勢改善の面から迫ってみましょう!

根本的な解決に繋がるのでしょうか!? お楽しみに!(^^)!

まとめ:

脚の機能的な特徴にも着目!

市民ランナーで腫れ・痛み・熱・機能障害といった炎症を起こしやすい腸脛靭帯の特徴、そして走り姿勢との関係について独自視点を加えて検証しました。

その特徴は・・・

・一般的な市民ランナーの走る姿勢は骨盤後傾になりやすい膝下走りの特徴を呈する

・インピンジメントゾーン(膝関節屈曲30°付近)での荷重を伴う走り方

・骨盤後傾姿勢での走り方は腸脛靭帯の緊張(筋長)を一層高める

腸脛靭帯炎は走る速度・姿勢によるインピンジメントゾーンへのストレスが大きく関与することを認識することが重要でしょう。

TM鈴木

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