『骨盤を操作する!』あなたはこの意味をどうとらえるでしょう?
骨盤って動くものなの?と思われるかもしれませんが、そう!骨盤って動くのですよ!(^^)!
正式には骨なので周りの筋肉によって(受動的に)動かされているわけですけど。
その骨盤は年齢と共に後傾しやすいことをご存知ですか?そして後傾してくると動きにくくなることも知っておくと良いでしょう。
なぜ(日本人の)骨盤は後傾しやすく、前傾させにくいのでしょうか?そして前傾させるとどんな良いことがあるのでしょうか?
今回は骨盤が前傾する場合の動きと機能についてTM鈴木の見解をご紹介しましょう!骨盤の特徴を知り関連する動きを実践すれば、あなたのスポーツ動作は劇的に変わるはずです!(^^)!
Contents
骨盤傾斜角の条件
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骨盤前傾位 vs 骨盤後傾位
日本人の骨盤は前傾しているのか?後傾しているのか?はたまた・・・、といった議論はよくあるそうですが、正直どちらともいえないというのがTM鈴木の見立てです。
骨盤が前傾する人たち
こう言うと「お前はいつも骨盤前傾がいいといってるじゃないか!?」とクレームがバシバシきそうですが、TM鈴木が推奨するのは【機能的骨盤前傾位】であり、骨盤前傾自体を肯定的には捉えておりません。
「骨盤を前傾するだけ」ではその上にある腰椎の前弯が大きくなるのは当然で、腰痛のリスクが高まることも理解できます。
特に若い女性(~10代後半)では関節が大人になりきらず、お腹周り・骨盤周りを筋肉の発揮する力で支えられないため、骨盤は前傾にならざるを得ないという状況があります。
またオリンピックに出場するような競泳の女子選手などもその競技特性から、【機能的】な骨盤前傾位を(特に地上では)維持することが難しいケースも見受けられます。
その他、妊娠後期の妊婦さんは骨盤で赤ちゃんを支えるため前傾しやすくなるし、中年のおじさんおばさんでも前傾になる人は沢山いますが、これには程度の条件があるのです。
ただそうした条件が伴わない人の場合、骨盤は圧倒的に後傾しやすい!というのがこれまでに数万人を観てきたTM鈴木が導き出した結論です。
傾斜角の観方
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骨盤傾斜角の見方
(右:前傾・左:中間位or後傾位)
黄色は地面と平行の線
日本人の平均的な骨盤傾斜角は元々中間位と言った方がいいでしょう。
骨盤の傾斜角に関しては決まった定義がないため個人の見立てが優先し、そのためその角度についても大きくバラつくというのが正直なところです。
TM鈴木が観ている傾斜角とは真横(矢状面:しじょうめん)から観察し、上前腸骨棘(ASIS)と上後腸骨棘(PSIS)の傾斜と地面(上図:黄色線)との角度差です。
『ASIS-PSIS傾斜角』は前方に向かって緩やかに下っていますが、この傾斜がおおよそ20°弱であり、それより大きな角度は一般的に「前傾」と言われます。
骨盤前傾は腰仙角(ようせんかく)という仙骨上面と地面(水平面)の成す角度を観る場合もありますが、レントゲン上の判断指標で現場で検討するには現実的ではありません。
逆にそれより小さい角度は中間位または後傾位とも呼ばれ、骨盤の傾斜角をまったくイメージしなければこの中間位~後傾位が日本人に多く観られます。
黒人はそうしたイメージ(日本風に言えば “意識する!?” というべきか・・・)をすることなく、その平均の傾斜角が30°以上あるといわれ、調べてみると確かにこの角度には人種間で大きな違いが観られます。
骨盤が後傾しやすい理由(わけ)
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圧倒的な格好良さにも大きな違いが!
日本人の骨盤はある特定条件を除けばだいたい後傾しやすいというのがTM鈴木の見解ですが、なぜ他の人種に比べて骨盤が後傾しやすいのでしょう?
その答えは「筋発揮能力」であり、筋力ではありません。
その真意を探ってみましょう!
骨盤傾斜角のメカニズム
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隣接しても機能は別!な腸骨筋と大腰筋
骨盤の傾斜角に影響を及ぼすのが周りに付く筋肉の発揮能力で、中でも前傾位を決めるのは腸腰筋(腸骨筋+大腰筋)とハムストリングの張力(引っ張り合う力)バランスです。
大腰筋は上半身と下半身を繋ぐ唯一の筋肉であり、前方:お腹の奥の方で背骨(特に腰椎)から骨盤を経由し股関節に繋がり、ハムストリングは骨盤の下部に位置する坐骨から膝裏(脛骨近位端)を結んでいます。
骨盤前傾だけだと特に腸骨筋は主働筋(主に縮まりながら働く筋肉)として働き、ハムストリングは拮抗筋(伸ばされながらその長さを維持する)という関係にあります。
【機能的骨盤前傾位】は骨盤(腸骨)内に付着する腸骨筋が縮まりハムストリングが拮抗するのは同様で、さらにもう一方の主役である大腰筋が伸ばされる状態で、その張力を維持しながら腰椎・骨盤・股関節を静的・動的にも安定させることで成り立っています。
つまり
・骨盤前傾 ← 腸骨筋 + 脊柱/骨盤/股関節の安定性 ← 大腰筋
によって全体的な【機能的骨盤前傾位】が成り立つのです。
股関節軸を中心とする筋長バランス
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張力(筋長)バランス
大腰筋(主働筋)&ハムストリング(拮抗筋)
しかし大腰筋はとっても働きにくい筋肉であり相当良い状態にしてあげないと上手に動いてくれません!というか言う事をきいてくれないのです(>_<)
ここにハムストリング(腿裏の筋肉)が加わって股関節の中心軸が(上図:左側が前方だとすると)反時計回りに回る範囲(角度)によって機能的前傾位が完成するというわけです。
因みに
①腸骨筋がしっかり縮まない
②大腰筋が伸びながら張力発揮してくれない(縮んだまま動きがない)
③ハムストリングがしっかり緩まない(筋が伸びない)
という「ない・ない・ない」状態では当然前傾位などできるわけがなく、やろうとしても無理矢理的な前傾位となってしまうことから、すぐに元の角度に戻ってしまいます。
つまり筋力(縮む)だけの力では前傾位にすることは難しく、もしできたとしても体を動かしている間その傾斜角を維持することはままなりません!
だから単なる「骨盤前傾」だけでは運動時に『体を思い通りに』操作することはまったく持って無理な話なのです。
代わりに必要となってくるのが骨盤前傾位をしやすくする筋の発揮能力(①②③)を伴った【機能的骨盤前傾位】であり、その骨盤操作が黒人アスリートの動きに近づく必須条件といっていいでしょう。
『T or F』骨盤が前傾すると動きやすい?
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筋肉が使いやすくなる!
答えはホント(T)!骨盤が前傾状態(【機能的骨盤前傾位】という意味で)のほうが動きやすいのです。
しかしほとんどの日本人はこの【機能的骨盤前傾位】という感覚を知らないし、骨盤が動かせるなんてこともわかるわけもなく、結果的に骨盤操作等といった話にはならないわけです。
【機能的骨盤前傾位】なら腰痛にはならない!
また日本では骨盤前傾位を否定的に捉える場合がほとんどで、なぜなら骨盤が前傾すると腰椎が前彎し腰痛になるリスクが高くなるから!というのがおおよその見解です。
動きやすくなるのは確かです!ウソだ!と考えるならTM鈴木へ連絡ください。なぜそうなるのかをお答えしますので。
骨盤が前傾するから腰痛になると勘違いは非常に多いのですが、骨盤前傾位が直接の引き金ではありません。
その原因は腰椎前彎(腰椎の生理学的カーブが崩れること)であり、ならばその前彎を取り除いてあげれば問題はないわけです。
どのように防ぐか!そのノウハウさえあれば問題ないのですが、それを知らないがために骨盤前傾(→腰椎前彎)→腰痛リスク高まる!となってしまうことは憂慮すべき事態です。
動きやすくなる理由(わけ)
これはとても単純な話で、【機能的骨盤前傾位】ならお腹の奥にあって背骨に近い筋肉が使われやすくなるからです。
普段の姿勢では縮みがちなお腹の奥の筋肉が、【機能的骨盤前傾位】にすることで反対の動きをする拮抗筋との張力バランスが整うことにより働きやすくなるわけです。
【機能的骨盤前傾位】のためには一般に背骨と呼ばれる脊柱(頸椎7・胸椎12・腰椎5・仙骨)の動きを改善することが必須です。
多くのアスリート(一般人含む)は動作中の脊柱(コア)の動き(可動域)が極めて小さく、さらに固めてしまうことも多いため、思い通りの動きは望むべくもありません。
脊柱には【若い竹】のごとく “しなる” 動きが必要であり、その概念を『ピラ(ダイ)コン』と呼びTM鈴木は自身が提要するサービスに取り入れています。
*『ピラコン』にご興味ある方はこちらまでお問合せ下さい!
普段あまり働いていない筋肉や腱といった動くための動力源を増やすこと、そのためにはピラー(脊柱)の動きがカギを握っているのです。
走りが遅い(目指す動作がままならない)人は、この動作に動員される筋肉や関連組織の数が限定され、さらにその働く割合が少ない傾向にあります。
走る時は脊柱の可動性とこうした普段使われにくい筋肉達が上手に使われる、つまり「走る」という行為に多くの動力源(筋肉)が動員されることで速くなるわけです。
“非日常”の動きに対応した姿勢
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能力の極地を目指す!それが非日常
運動とはいわば“非日常”であり普段とは違う動きがメインとなるため、そのための体(や心)の準備は必須な作業といえるでしょう。
【機能的骨盤前傾位】はそうした“非日常”に最適な身体の準備状態を作りだす敢えて言ってしまえば《土台》といっても差し支えありません!
運動時に前傾位を維持するためには?
ほとんど誰でも(骨がそうならないような変形を伴う場合は別)骨盤を前傾させることは可能ですが、それを動いている時に維持することは特に日本人は不得意です。
随意筋といわれる自分の意志で収縮をコントロールできる筋の中でも、お腹の奥にあるものはその動きが目に見えない分動かすことが難しく、その代表格が伸びながら力(張力)を発揮するのが得意な大腰筋やハムストリングなのです。
黒人アスリートは(生まれつき)骨格の配列で自然と機能的前傾位を維持できますが、TM鈴木が提唱する後天的に作られた骨盤前傾位は筋の発揮能力を高めることでそのマイナス面をカバーしなくてはならず不利な状況は否めません。
しかし運動中、筋の発揮能力で【機能的骨盤前傾位】を維持できるようにする訓練を積むことで、そうした不利な状況は十分カバーできます。
TM鈴木は過去20年に渡ってそのノウハウを積み上げ、現在では独自のサービスとしてクライアントに提供しています。
“しなり”を生み出すコア力(ぢから)
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若い竹の如く!?
【機能的骨盤前傾位】が動きやすくなる理由はもうひとつあって、それが『コアのしなる能力』です。
ピラー(柱:脊柱)をコントロールすることで生まれる“しなり”は、周りの筋肉を最大限伸ばして目一杯縮めるという筋肉本来の洗練された働きを高めます。
“しなり”を失うと例えば・・・
・投手の投げる球は格段に遅くなり糸を引く様なボールは投げられません
・スムースでダイナミックな速い走力は失われます
これはコアの能力:つまり『若い竹』のような ”しなり” が体から失われるためで、しなることで生まれるムチのような動作が発揮されないことが大きな要因です。
“しなり”はコア(機能的骨盤前傾位を起点とした体幹部)で生み出され、そのエネルギーが腕のしなりを引出し全体でみればムチのような動作になって末端(手や足)に放出されます。
160km/h前後のボールを投げる投手や黒人スプリンターの身体は、このコアから伝わる“しなり“が投球腕や脚に伝わり力が一気に放出される結果、目を見張るような速球やスプリント力になるわけです。
まとめ
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非日常を追求した成果
日本人の骨盤はなぜ後傾(こうけい)しやすいのか?骨盤の前傾位と比較しながらそのメカニズムを探りました。
骨盤にある骨の位置からASIS(上前腸骨棘)-PSIS(上後腸骨棘)の高さの違いでわかる傾斜角を基準とし、前方へ下る角度が20°以下を中間位または後傾位としています。
骨盤を前傾に導く筋肉の筋発揮能力が低下すること、また脊柱の生理学的彎曲(カーブ)が失われることで骨盤は益々後傾しやすくなります。
【機能的骨盤前傾位】は単なる前傾位とは異なり、骨盤に繋がる(or 経由する)筋肉の主働/拮抗の張力バランスを最適に保つ働きがあるため、動作中もその姿勢を維持することが可能です。
TM鈴木