スイミングはダイエットに効果があると巷では言われていますが、運動しないよりはした方が良いというのがより正しいかもしれません。
身体が動かない(動かさない)人が運動を行えばそれなりの効果はあります。しかしそれでは最大限の効果とはいえません。
運動効果を高めてダイエットとして成り立つためにスイミングを考えるなら、ものの見方を少し変える必要があるのです。
水中環境をしっかりと利用し、(自分の)思い通りに動く身体にするためのスイミング活用法について迫ってみましょう。
Contents
知恵と工夫で効果を最大限に!

出典:https://goo.gl/MXn0uX
水泳は泳ぐことですがスイミング=泳ぐことだけではありません。せっかく地上とはまったく違う環境(後述)にいるのですから、普段とは違った動きもしてみたいものです。
『スイミング=泳ぐ』ではない!?
スイミングの効果はただ泳ぐだけとか、ただ歩くだけといったものではありません。もちろん日頃運動不足の方には水に浸かるだけでも十分な効果は期待できますが・・・。
いつもとは違った環境に自分を置くことで、新たな脳神経回路の活性化にも役立ちます。
家族で入るのもよし、ひとりで入っても十分な肉体的・精神的満足度を得られるところにスイミングの魅力があるでしょう。
水中は縦横高さだけでなく全方位的・全方向的に抵抗が加わります。いわゆる何をしようとも“運動”として成立するわけです。
手のひらや足裏に水圧を感じながら素早く動かすことで(ゆる~いですが)筋トレとしての効果もあります。
また運動強度を自在に変えられるため身体を慣らす準備運動から、長距離を泳ぐ(動く=歩く)有酸素運動としての価値も高めることが可能です。
ひとりアクアビクス
様々な目的に合致するスイミングはそのやり方も工夫することで運動の幅が格段に広がります。
“ひとり”アクアビクスもそのひとつで、TM鈴木がおすすめする効果抜群のワークアウトです。
アクアビクスと言えばプール内で生徒さんが集まり、先生がお手本を示しながら行うものというイメージがありますが決してそんなことはありません。
音楽があってもなくても、先生がいてもいなくても、自由に身体を動かせばそれで運動になる、水中ならば“ひとり”アクアビクスは誰でもできる運動なのです。
以下、『“ひとり”アクアビクス』に関する諸注意です。お試しの価値は十分あるはずです。
- 必要なもの:知恵と工夫
- 場所:スポーツジムプール、市民プール (泳ぐ・歩くといった指定のない場所がおすすめ)
- 頻度:週にやりたいだけ、そしてあなたが行きたいと思う時
- 時間:あなたがやりたいと思う時間だけ
- 音楽:あってもなくても大丈夫!
- 備考:周りの人の迷惑に慣れなければOK
股関節を目一杯広げるだけ!
大切なことはどういう運動をするか知恵と工夫をすることです。水中で単に棒立ちで立っているより脚を(最大限)大きく開いて股関節を曲げてみてください。
お相撲さんが「ハッケよ~い、のこった!」とする直前の姿勢です。脚を大きく開くならついでに骨盤も前傾位にしちゃいましょう!
するとさらに股関節は開きやすく、そして股関節に体重が乗る感覚がわかります。
これはいわばパワーポジションといってもいいでしょう。パワーポジションとは体を動かす際、最も素早く最も力の出る、動く直前の基本姿勢のことです。
以下のブログに詳細が記載されています。
ボディコントロール感覚を身に付ける

出典:https://goo.gl/ijKZ5J
浮力の影響で身体にかかる負担はほとんどありませんし、それよりも周りの人達がワイワイガヤガヤ動いていることで、様々な方向から水の抵抗や圧力が不規則的に加わり、それに耐えることでも身体にしっかりと負荷がかかります。
水深が浅いのであれば膝立ち姿勢でもいいし、開脚して股関節を曲げ重心を落とすことで水面を胸のあたりにもってくることも可能でしょう。
浮力があるので片側の足を少し上げて片脚立ちの姿勢で30秒~1分程バランスをとることでも相当なボディコントロールエクササイズになるはずです
そうして肘を真っ直ぐ伸ばし両手を掴んで左右に捻じる、斜め下方向に捻じる、次は脚を縦に思い切り(最大限)開き身体を捻じってみるなど、ありとあらゆる動作で水の抵抗を感じることが大切です。
スポーツ上達やダイエット(アンチエイジング)には身体を動かすための知識もあったほうが断然有利です。
スイミングの効果は水中でのウォーキングや単に泳ぐだけとは限りません。
常識に捉われない柔軟な発想があってこそ初めてその効果を最大限に発揮できることを理解しましょう。
運動能力は地上で発揮してこそ!

出典:https://goo.gl/WrG3Af
スイミングをダイエットに利用するなら是非覚えておいていただきたいことがあり、それは水中と地上にいる時間配分にあります。
我々人間は基本的に陸上動物です。陸上動物が水中にいられる時間はごくわずかしかありません。
スイミングを毎日できればいいですがそれは現実的には無理でしょうし、オリンピックスイマーじゃあるまいし、普通はどんなに長い時間といってもせいぜい2時間がいいところです。
つまり1日のほとんどの時間は陸上で過ごすわけですから、陸上で(自分の思い通り)動く身体にする必要があるわけです。
ダイエットや健康(アンチエイジング)を考慮するなら、スイミングで培った身体の動きを地上でもこなせるような工夫や動作をすることが大切です。
つまり水中環境での補助的な運動(スイミング)により、地上で力を発揮しやすい体になることがダイエットを目的とする上で大切です。
だからスイミングは言うなれば地上での運動効果を高めるために行うという位置づけが最も適切でしょう。
TM鈴木がもしあなた*1)のダイエットを担当するなら、まずはスイミングである程度身体が動くようにしてから陸上運動の割合を徐々に増やし、最終的には陸上でのメニューが7~8割以上を占める配分が理想でしょう。
*1)あなたがスイミングも利用したいといった場合
*ダイエット/アンチエイジングに関するお問合せはこちらまでどうぞ!
水中と地上の違いを知る

ボディコントロールが求められる水中環境
水中環境、つまり水の中では身体や動きが地上とはまったく違います。
陸上の運動と比べ最も大きな違いは水中で発生する浮力(Buoyancy)と水圧(Hydraulic pressure)です。
驚くべき水中環境
プールや海に入ると身体が軽く感じる、この力を浮力があると言います。
浮力は物体であればすべてに発生し、船が海に浮くのも、投げた石が水中にゆっくりと沈んでいくのも、水中にその物体を浮き上がらせようとする力(浮力)があるからです。
例えば体重60kgの人が腰の高さまであるプールに浸かっている場合、浮力の影響で水中での実体重が24kg、実に約60%も減った状態で動けることになります。
同様に胸の高さの場所であれば体重の80%が浮力によって賄われることになり、体重の影響をほとんど受けることなく身体を動かすことが可能なのです。浮力:恐るべしですね!
水中には浮力の他に水圧という圧変化が存在します。水圧は水深が増す程大きくなっていきます。
水圧によって表皮近辺の静脈は圧迫され、循環が高まり疲労物質が心臓に戻りやすく疲労回復効果が促進されます。
特に下半身は水圧の影響を最も受けやすい部位であり、浮力の影響も加わって筋肉がゆっくりと弛緩(しかん:ゆるまる)し大きな動作が期待できるのです。
特に胸まで浸かれるような深いプールであれば、骨格で守られることのないお腹周りへの水圧が収縮・弛緩運動となり、ウエストに対する運動効果も高くなります。
あたかもお腹周りの筋肉が周囲の余分な脂肪を背骨方向にギューッと引っ張るようなイメージです。
陸上運動との違い
陸上で普通に歩こうとすれば、いくらそれが苦手といってもほとんどの人は難なく歩けるはずです。
しかし水中で同じことするとどうでしょうか?おそらく陸上と同じ速さで歩くためには意識して身体を“速く”動かさなければなりません。
水中には水圧が存在し、その圧力を上回るために“意識”して筋肉の働きを高めているからです。
その水圧は速く動こうとすればするほど進行方向に対し関連する別の力となって、人の動作を妨げることになります。それが進行方向とは逆に働く『水の抵抗』です。
水中のさらなる特性
水の抵抗があるため、ある程度力を発揮しなければ前に進めません。こうした水中での特殊な環境は、動作をすることでの消費カロリーを同じ陸上の動きと比較し、大きく高める要因となります。
水中ウォーキングがダイエットに効果的と言われる所以がそこにあり、水中ではいかなる動作でも抵抗が生じます。
水中での(粘性)抵抗は空気中より800倍あると言われ、水中で速く動こうにも陸上に比べるとまったく思った通りに動けないのは、この大きくて見えない負荷である水の“抵抗力”があるからです。
このため水中では「ただ歩くだけ」でもその動作の過程すべてにおいて水の負荷抵抗を作り出すことが可能となります。
その運動効果によりカロリー消費が高まることで、陸上運動に比べ格段の違いがでることになるわけです。
浮力の仕組みを知る
『水中にある物体には、物体が押しのけた水の重さに等しい力(浮力)が重力と逆の方向に働く』というのがアルキメデスの原理です。
陸上では動きにくい人も胸辺りまで浸かれるプールに入れば水中での実体重が大幅に減り、身体を動かすための負担が飛躍的に軽減します。
これは水中環境が陸上動物にとっては非常に大きな利点であることを示しているといっていいでしょう。
水中では単純に『動きやすい!』と思ったとしてもまったく不思議ではありません。陸上では体重過多によって引き起こされる腰痛や膝・股関節等の痛みもなんとなく消えてしまったという経験を持つ人も多いはずです。
例えば抗重力筋といわれる背中の起立筋、臀筋、ハムストリング、腹直筋等は、水中での実体重が1/3になることで、陸上で発揮していた無理な力を水中では発揮する必要がないのです。
水中運動の特徴
「立つ、歩く、小走りする」等の状態では抗重力筋が体重に応じて身体をしっかりと支えなくてはなりません。
しかし水中ではその影響も半分以下(もしくはそれ以上)に減少することで筋肉の過剰な働き(負担)が大幅に軽減します。
水の中はいわば《重力の影響をほとんど受けない宇宙空間》と言ってもいいかもしれません。
さらに地上で体重を支えるために使われる脊柱起立筋・腹直筋・大腿四頭筋・大臀筋・ハムストリング等の抗重力筋が、水中では異なる使われ方をします。
推進力を得るための動力源や水の抵抗を減らしたり姿勢制御に使われるのですが、抗重力筋は体重を支える必要がなくなった分、その役割を変化させているのかもしれません。
この【浮力】を利用する動きは地上のいかなる動作にも存在しないもので、水中運動の最大の特徴と言っていいでしょう。
柔軟性を高め筋肉痛になりにくい

水中の特殊な環境が体の反応を高める!
陸上と水中で同様のストレッチングをすると、水中の方が柔軟性が高値を示したとする報告があります。こうした身体の反応は特に腰背筋群、つまり腰で最も大きな値を示しています。
筋肉の無駄な緊張が軽減
陸上で常に緊張を強いられることが多い腰や背中の抗重力筋は、浮力や水圧のかかる水中環境下では緩まる方向に働くため、柔軟性が増すことが定説です。
さらに真水より海水でのストレッチ効果が高くなるのは、塩分の影響でより多くの浮力が発生するからで、水中動作は水底や壁をキックすることを除き、そのほとんどが陸上の動作と異なります。
つまりキックをしようと腕で水を搔こうと速さに応じて抵抗は増えるものの、その運動自体が停止してしまうことや反発力に負けてしまうことはありません。
どんなに素早く動かしてもその動きに対し抵抗が発生する、この「抵抗に逆らってなんとか動かせる力」は筋肉に過剰な負荷がかかりにくいことを意味しています。
スイミングや水中でのウォーキングが筋肉痛になりにくいことは周知の事実ですが、その原因はこうした筋肉の過度の働きを抑える環境にあると言えるでしょう。
内臓への適度なストレス
水泳は呼吸・循環器系へも良い影響を与えますが、それは水中で一旦呼吸を止める状態が必ず起こるからです。
人は特に吐く動作を陸上で意識することはありませんが、水中で泳ぐ場合必ずしっかりと息を吐かなくてはその直後の吸気ができません。
水泳ではこの呼吸の仕組みを上手く利用することで、長い距離を時間をかけて泳げるのです。
水中でのこうした特徴的な呼吸により胸郭を広げ呼吸筋の拡張が起こり、心肺機能が亢進しながら代謝や(脂肪)燃焼といった体内の生体システムも向上します。
心の緊張も軽減する
人は様々なストレス因子を抱えていて、例えば学校や会社等、外での対人関係、夫婦や親子そして友達関係による気持ちのぐらつきなどはその最たるものです。
こうしたストレスの要因である「ストレス因子」が身体の変調を引き起こすことは、最新のストレス研究でも明らかにされています。
運動、特に水中運動のメリットはこういったストレス因子を抑制し、精神的・肉体的な健康状態を高めることにあります。
水中における浮力や適度な水圧と呼吸法により、筋肉の弛緩と関節可動域が増し全身の血流改善が期待されます。
こうした変化に対応し脳内では「幸せホルモン」の一種とされるセロトニンやオキシトシンが、脳の視床下部や脳幹から分泌され、ストレスが軽減していくというわけです。
まとめ:スイミングは泳ぐだけじゃない!?

出典:https://goo.gl/ydbC4Y
ダイエット法や健康増進としてスイミングが注目されていますが、水中では泳ぐだけではなく様々な動きでボディコントロールを体感することが可能です。
全方位的に加わる水の抵抗や浮力環境を自分の身体でコントロールする術を身に付けることで運動効果は格段に高まります。
人は元々地上で生活する動物であり、水中だけでなく地上の重力がかかる状況下でしっかりと自分の思い通りに動かせる身体を作り上げることが後々のダイエットに繋がります。
水の持つ特性として「浮力」や「水圧」があるため、ジョギングや縄跳び等の陸上運動と比較し、体重の負荷を軽減しやすく逆にエネルギー消費が高まります。
水中の特殊な環境下は実際に試すことでその面白さを理解できます。まずはお近くのプールで水と戯れボディコントロールの習慣を作ってみてはいかがでしょう。
TM鈴木

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