《身体能力》という言葉があります。サッカー評論家諸氏がTVでよく使う“アレ”です。
『この選手の身体能力は高いですねぇ』とか、
『さすが黒人選手、身体能力であっという間にディフェンダーを抜き去ってしまいました!』
等と使うことが多いかもしれません。
今回はこの身体能力にまつわるお話しとしてTM鈴木が提唱する『身体【脳】力』にフォーカスしてみましょう。
なぜ身体能力」ではなく、『身体【脳】力』なのか!を知れば、『動く』ことに対する考え方の本質が劇的に変わるはずです!(^^)!
☆★☆★☆当記事は2016/8/29の記事を元に再構成したものです☆★☆★☆
Contents
身体能力△:身体【脳】力◎
image1:
元祖「身体能力」かも!?
先のサッカー解説者の例に漏れず、身体能力という言葉はスポーツ界で正解か否かに関わらず頻繁に使われています。
黒人選手とそれ以外の人種との動きの違いや接触プレーの良し悪しについては、特に取り上げられることが多く、サッカー・ラグビー等のコンタクトスポーツを解説する際の定番キーワードともいえます。
典型的!?ともいえる身体能力信仰
確かに黒人選手の外見から観える身体つきはすごいかもしれません!
その裸体は全身にかいた汗と相まって黒光りしているので、とても屈強そうに見えます。
その上、かつてガンバ大阪にいたエムボマ選手のようにスピードはあるわ、ディフェンダーを吹っ飛ばすわ、そして弾丸シュートを決めるわ!
こういった選手のイメージがとても強いということを意味しているかのような解説が実際にされているのも事実です。
具体的に身体のどの部分がどうすごいのか!という言及は避け、単に身体能力という言葉で表現している解説者諸氏、そしてその筋(!?)の専門家方々。
TVのサッカー解説やメディアのサッカー特集で、その詳細に触れても視聴率も物販売上も伸びないのでしょうから仕方のないことなのかもしれませんが。
身体能力とは
image2:
身体能力の引出しは
身体【脳】力が握っている!?
身体能力とは例えば、走力・跳躍力・押す力・引く力・アジリティ・クイックネス、その他諸々といった基本的な動きの能力を現します。
身体のもつ能力ともいえるため、視力・聴力等、カラダに関するものならほとんどなんでも「身体能力」と捉えることも可能でしょう。
余談ですが身体能力と運動能力は似て非なるもの、その言葉の使い方はどちらかと言えばごっちゃ混ぜになっている場合が少なくありません(運動能力については以下のサイトをご参考に!)。
誤解のないように言わせてもらうと、エムボマ選手のようなイメージだけが身体能力ではないということです。
彼はその特定部分で跳び抜けた力を持っていたのは事実ですが。。。
身体【脳】力の価値
基本的に「身体能力」とは『身体【脳】力』だと個人的には捉えています。
脳も内臓も身体の一部なのですから、その力を『身体【脳】力』と表現することは決して間違いではないでしょう。
特に脳は身体を動かすための【司令塔】という重要な役目を担っており、“脳の力=考える・思考する力”が不足しているアスリートは大成することはできない!と考えたほうが良いかもしれません。
「考える力」とは?『運動【脳】力』とは?どういうことでしょう?
誤解を恐れずに言えば創造力とか、常識の中に入ってないものを観る力ともいえるでしょう。
才能(先天的に自身が本来もっている能力)に恵まれた選手は、その持って生まれた能力だけでなく、環境によって育まれた考える力をも味方につけて一流になっていきます。
『才能は一級品、でも大成しなかった!』というアスリートは世の中にごまんといて、そういう選手達に共通するのは、日常の生活環境によって生まれる様々な体験から得られる感覚を疎かにしてしまったという事実です。
正確に言えば考えてはいるけれども、「考え抜く力」が不足していたというべきかもしれません。
『身体【脳】力』とはカラダとそれを制御する脳を最大限利用することで、創造性を高め他人や環境に左右されない思考力と能動性を構築する力ともいえるでしょう。
練習法はひとつではない!?
image3:
physical thought provided by brain power
多くの競技ではその能力(パフォーマンス)を最大限に高めるため、特定の練習(量)を沢山こなします。
野球でいえばバッターの基本はバットを振ること!ピッチャーは投げること!に集中し、最近ではそれに関連するトレーニング等を“ジム”でおこなうことも珍しくありません。
その方法に疑問を感じないの?
プロまで上り詰める多くの選手、しっかり試合・練習することは当たり前ですしそれが仕事なのですから当然です。
でも、そういった沢山いる選手達の中で果して何人がその練習内容についての意義や、体の仕組みや動きとの関連性を見つめ直すでしょうか?
練習ではコーチが作ったメニューを一生懸命にこなし、ジムに行けばトレーナーが考案したメニューを黙々とやり続ける、それが終われば満足してしまう選手達は実際のところかなり多いのではないでしょうか。
身体や動きの仕組みを知らずして、自分が行うスポーツ動作をどうして理解できるでしょう?
トレーニングについての本を出版するまでに至った選手でさえ、その本質を理解していない場合が少なくありません。
そういった選手が書いた本を読むアマチュア選手や子供たち、そしてその親たちがその内容をそっくりそのまま真似をする現実があるのです。
トレーニングの原則(個別性)を理解できていない証拠です。
image4:
体幹トレーニングの
ポージングは千差万別
体幹トレーニングってこういうもの!として捉えている人達は実に多く、実際にそういった方法が横行しているのも事実です。
こうしたポージングは体幹トレーニングの “ほんの” 一部を現しているに過ぎず、これが一定時間できるから体幹が強くなったと考えることは非常に危険と言わざるを得ません。
身体【脳】力を活用せよ!
『身体【脳】力』つまり『脳力=脳を使う・働かせる・考えさせる』、このやり方を徹底的に突き詰めた者こそが、その道で成功を収める可能性が高いのです。
身体に汗をかくのなら脳にも汗をかく!ことが必要で、これができない選手達は必ずどこかで限界が来たり、淘汰されてしまうでしょう。
選手達は子供のころからの習慣で身体に汗をかくこと(練習や試合)には慣れ親しんでいますが、逆に脳に汗をかくことには慣れていません。
その行為は多くのアスリートがどこかの段階で必ずといっていい程直面する現実でもあり、その時に“考え抜く”ことに本気で取り組めるかどうかが試されます。
その行為を後押ししてくれるサポーターが周りにいるか否かも、選手のその後の人生を左右する大切な要素でしょう。
『身体【能】力』とは日常なり!
以下に『身体【脳】力』の一例を紹介しましょう!
image5:
石で積まれた壁を観ても何を感じる?
ふと石で積まれた目の前にあるこの壁を観て何かを感じとれるでしょうか?
眼には飛び込んできても本人が理解できなければ、情報としての価値を高めることには繋がりません。
「登れるだろうか???、どうやったら?どんな能力が必要かなぁ・・・」
これがTM鈴木が提唱する『身体【脳】力』の基本的な考え方です。
自分の専門スポーツ(動作)と日常を如何に上手にリンクさせ、普段の生活からその動きをイメージできるかどうか・・・、それこそが『身体【脳】力』の源です。
だからふと目の前にある壁にも興味が湧くし、周りの人の動き方や歩き方にさえ目が行くわけです。
さらにもう一つ、これは如何でしょう?
image6:
足元方向に泳ぐってどうよ!?
頭の方向に泳ぐことが一般的であるのはわかっていますが、それを足元方向に進ませることはカラダ的にも容易ではありません。
決断の根拠を選ぶのも脳力次第
なぜなのか?はあなた自身が実践してみれば理解できるはずで、それが『体を自在に操る』ことに繋がるのです。
身体能力とは『身体【脳】力』であって、身体(膿)力であってはなりません!
全身黒ずくめの怪しい!?人物をあたかも“師”と仰ぎ、表向きをいくら鍛え上げマッチョ化したところで、待っているのは「ケガのリスク」が高まる体になるか、見せかけだけの投球スタイルでしかありません。
しかしこうしたケースは指導者側が悪いというよりも、安易に結果を求め過ぎるアスリート側にも問題があるのかもしれません。
自分の体や心を育んでくれる人かどうか!
知人の紹介だから・・・といった安直な結論ではなく、自分の目でしっかりと確かめた上で支えになってくれる人を決断すべきであり、それも『身体【脳】力』としての才といえるでしょう。
動くことの本質を知る
image7:
日常生活で育まれる『身体【脳】力』
『身体【脳】力』が必要なのはなにもプロだけではなく、アマチュアやスポーツ愛好家を含む一般人も同じです。
動くことの本当の意味を知れば、そのスポーツの練習だけをすることが如何に効率的でないかが理解できるでしょう。
脳とカラダを繋ぐ!?
あるクライアント(テニス愛好家)は、身体の仕組み・動く仕組みを知ることについて次のような疑問を呈しました。
『素人の私たちになぜ身体の仕組みを知ることが必要なのですか?私たちは単にテニスを楽しめればいいのですよ』とね。
TM鈴木の応えは簡単です。
あなたの身体はあなたの【子ども】と同じなんです。
あなたに子供がいれば彼(彼女)を理解するために、毎日子供と遊んだりしませんか?
いつも子供を可愛がったり、時々は子供をしかったりと毎日付き合ってますよね?
そうすると子供たちはあなたが発する言葉やシグナルを理解し、あなたの話をきいてくれて行動してくれます(あなたの命令に従うというのではなく、子供自身が成長してくれるという意味で)。
常日頃から動線を磨く
自分の子ども(身体)との共通理解があって初めて、道理のある正確な行動(動き)をとってくれるのです。
自身の身体や動きのことを知らずして、どうやって動きに対応するコントロールができましょう!?(→どうやって上手くなることができるのでしょう?)
つまるところそれお『身体【脳】力』であり、体の仕組み・動きの仕組みを理解する!ということではないでしょうか。
それが今あなたが行っている仕事(プロとしてのプレーやスポーツを楽しむこと)や生活に必ず役立つものだとしたら、『身体【脳】力』を探り続けることは誰にとっても決して無駄なことではないはずです!(^^)!
さて、あなたならどう考えるでしょうか?
まとめ
image8:
カラダにも!脳にも汗をかけ!
黒人アスリートに代表されるいわゆる「身体能力」は、元々体に備わっている基本的な力を示すのに対し、TM鈴木が提唱する『身体【脳】力』は脳とカラダの協調性が高まった状態を示し、結果として創造力や非常識を常識とする思考といった考え抜く力を意味します。
脳の活動・働きが高まりその指令がスムースに動く部分に伝わらなければ、『身体【脳】力』は高まらず、結果として体を自在に操ることには繋がりません。
日常目にする一般的な状況を如何に自身の専門とする動作に応用てきるか!
そのためには体の仕組みや動きの特性を理解することが重要で、カラダに汗をかくだけでなく脳にも汗をかいて協調する状態を作り出すことがアスリートの本質だと考えます。
TM鈴木