初の56秒台は陸トレゆえ!アダム・ピーティ強靭な肉体と速さの秘密~秀逸なストロークーストリームラインーキックの切り替え~

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2020年東京オリンピック前哨戦ともいえる戦い:世界水泳韓国光州2019大会が幕を開けました。

注目は平泳ぎで人間離れした異次元の速さを見せつけてきたアダム・ピーティ選手、多くの関係者が注目する中での準決勝では人類初の56秒台(56秒88)を叩き出したのです。

彼の速さの秘密はいうまでもなくそのストローク、つまりピッチ数ですが良く観てみるとそのピッチを生み出す動きに大きな秘密があると考えます。

今回はTokyo2020でもその活躍が期待され50・100m平泳ぎの絶対王者に君臨するアダム・ピーティ選手の速さの秘密に迫ります。

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速さの秘密は背中!?

なんでライオンなのかも知りたい・・・

ピーティ選手の泳ぎで最も特徴的な動きは高回転ストローク(数)であり、特に100mでは折り返しの50mからその本領が発揮されます。

ストローク、別名ピッチ(ストローク回転)数は後半、世界の一線級と比べてもその増加率は顕著に高くなることが伺えます。

ハイ・ピッチを可能にする背中

リオ100m決勝における0~50/50~100のストローク(両腕で水をかく)率をみると19%アップ(21・25回)と、同2/3位:27/22%と比較しても決して高くはありません。

しかし相対比較でみると2位に対して8.7%(23回)、3位に対しては13.6%(22回)の差をつけているのです。

後半50mでこれほど高回転出力を生み出せる理由は、彼らの強靭な肉体にあります。

自由形やバタフライには肩幅が広く非常に筋骨隆々の大男が多い中、ややその傾向が下がる平泳ぎでとんでもない体をしているピーティ選手だからこそ、その能力を有しています。

強靭な肉体がハイピッチの秘密

驚くべきはその広背筋であり見事なまでの逆正三角形をしています。

一見すると「腕でかく」印象が強い平泳ぎですが、ピーティ選手は水をキャッチし推進力を生み出す「プル」で背中に広がる広背筋をしっかり使っている印象が伺えます。

現代の平泳ぎは「プル」での外かき※1)が主流で、この瞬間広背筋が腕より一瞬先に始動することで、脇に生まれた大きな “水のかたまり” をグイッと足方向に押し出せます。

※1)水を「キャッチ」後、掌を腕より外側に広げながらかく

ピーティ選手の異常に発達した広背筋は太い腕と共に “大きな水の流れ” を豪快にかきだす強力なエンジンとなっているのです。

様々な陸上トレで泳ぎのベースアップ

トップスイマーなら1日何千メートル泳ぐのはざらな世界において、ピーティ選手もおそらく相当な練習量をこなしていることが予想できます。

しかし彼は陸(おか)トレにも目を向けていることは間違いありません。映像で映し出される彼の陸上トレーニングからはその片鱗が伺えます。

それ程瞬発力にフォーカスしない競泳選手でありながら、陸上短距離スプリンターに近いメニューをこなすところに、彼の独自性が込められているといってもいいでしょう。

アメイジングな動きを可能にするトレーニング

例えばこのプライオ・プッシュアップでも上半身だけでなく、両手両足を離地させています。

上半身強化というだけでなく身体全体のバネを狙った種目設定を考慮し、且つ自慢の広背筋への適切な刺激も欠かしません!

こうした陸上トレーニングに向き合う彼の姿勢そのものが、前人未到の56秒台を生み出す原動力となっているのではないかと深く考えさせられます。

19.8k Likes, 1,372 Comments - Adam Peaty MBE (@adam_peaty) on Instagram: “Some fun, power press ups this morning! Only a few days until we head down to Rio! 🇧🇷🙌...

特筆すべき連続動作

まさしくウィップ(しなるの意)!なキック

さらに探っていくとピーティ選手の特長なキック、そして動きの連続性に泳ぎの妙が見て取れます。

足裏全体で隙なく水をプッシュアウトできるその技術力、そして水流抵抗をしっかり掴み絶妙のタイミングで連続始動できる体感覚が他の上位スイマーと異次元の差を生み出しています。

爆発力を生むムチのキック

あくまで水中映像での見た目ですがキックはとても理想形に近いと感じます。

技術面は専門家に譲るとして膝を最大限に曲げた時点では既に足指が外側45度を向き足裏で水をしっかり捉える体勢が整っています。

足指先45度方向を維持したまま強靭な太腿の伸展力を利用し、真っ直ぐ後方に水を押し出すキックが彼の特長でもあります。

見た目的にお皿が内側を向き脛(すね)が外側を向く膝の上と下の捻れは気になるところですが、その爆発的キックの原動力となっていることは確かです。

伸びきる直前には股関節の内旋が働き足先が内側になる状態でフィニッシュ、一連の動きは正にウィップ(ムチ)のようなキックという言葉がぴったりです。

内側への捻れが働いた膝のこうしたしなりは足関節の相当な可動域を示し、はやい時点で足裏で水を捉えるキックの準備できているといっていいでしょう。

力強いストロークとムチのようにしなるキック、しかしそれだけならアダム・ピーティ選手が2015年以降無敵である要因とはなりません。

ストリームライン前後の切り替え

キック直後のストリームライン、ここへの切り替えが誰よりも速い!そして伸ばしたと思った瞬間には既にアームストローク(腕のかき)が始まっています。

彼の最大の特長は世界一速い[キックー伸びーストローク]の連続動作であり、それをハイピッチで100m継続できる能力と考えるのが自然でしょう。

高回転のストロークやキックは当然のことですが、このキックからのストリームラインと直後のストロークへの移行の速さ、そして切り替え時の力の溜め込み方は秀逸で、だからこそ爆発的な推進力に繋がっているのです。

北嶋康介氏(元選手)から始まり、小関也朱篤・渡辺一平選手に繋がる伸びやかで減速しにくいストリームラインを重視する日本男子の系譜とは真逆の発想です。

これはピーティ選手がこの連続動作を確立するために、短距離選手並みの陸上トレーニングをとり入れてきた成果といえます。

従来の概念を覆す彼の泳ぎは日本人も大いに参考にすべきで、今後は如何に[キックー伸びーストローク]間を短縮するための陸(おか)トレに工夫をこらすかも検討課題でしょう。

世界的スイマーへの道は(マッチョになるという意味でなく)、画期的・革新的な陸上トレーニング法の確立にもかかっていることを、ピーティ選手は身をもって示しているのです。

注目!連夜の世界記録更新はなるか!?

世界水泳2019、100m準決勝では56秒88の世界新を叩き出したアダム・ピーティ選手、狙うは連日の世界記録更新。

独走態勢も予想されますが、2020年東京オリンピックに向け他国選手も彼の記録更新を黙って見ているはずはありません。

とりわけ日本人選手200m世界記録保持者の渡辺一平選手には是非!世界チャンピオンとして来年は100mでピーティ選手とのつばぜり合いを実現させてほしいと願っています。

これから1年如何に陸(おか)トレに工夫をこらし、従来のストリームライン前後の切り替えをスムースにできる技術に繋げられるかがカギとなるでしょう。

水の抵抗をみずからの体で楽しんでいるかのような泳ぎを100m決勝、そして50mでも観られることは我々視聴者にとって幸せかもしれませんね!(^^)!

これさえ読めば一目瞭然

肉体だけではなく高い技術力も秀逸

▼2015年以来世界大会では負けなしの世界記録保持者50・100m平泳ぎのアダム・ピーティ選手の速さの秘密に迫る

▼人類初!驚異の記録(56秒88)を生み出す速さの秘密は、ハイテンポの「ひとかき・ひとけり」とストリームラインの連続性にあり

▼腕を引く広背筋のリード(始動)で脇に流れ込む水を豪快に足元へかきだし、広い可動域を有する足首と膝でしなる(ウィップ)きっくを生み出す高い技術力

▼泳ぐ技術を極限まで高めるため、「伸びる/縮める」能力を最大限引き出す高負荷の陸上トレーニングに取り組む姿勢が速さの源

TM鈴木

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