いつの世にもそしてどこにも口うるさい親父(オヤジ)は存在しますが、野球評論家の張本勲さんはその筆頭格ではないでしょうか。
ついつい言いたい放題の“時限バクダン”をぶちかまし、マスコミから袋叩きに合うこともしばしば・・・、しかし意に介さないところがこのお方のセールスポイントでもありますが。
特にダルビッシュ有投手がツイッターで反応したことで投手はランニングをとり入れるべきか否か!という問題が大論争に発展したこともありました。
そこで当ブログでは「投手はランニングをすべきか?」という問いに対するアスレチックトレーナーとしての視点をご紹介します。
最後までご覧いただければ「投手vsランニング」の認識が根底から覆され、あなたも“走ること”に対する認識が180度変わるはずです!(^^)!
Contents
投手は走るべきか!

ダラダラ走りは否定されるべき!?
「最近の若い子はしっかり走らないから!」「ランニングをしないからこういうことになるんだよ!カァ~ツだぁー!」等、張本さんはよく往年の選手達との比較をされます。
その際に必ず出てくるのがこの「ランニング云々・・・」論、氏曰く“走り込み”をしないことが足腰の弱さを招き技術力が落ちてしまう!?という、少々無理矢理なこじつけ論です。
真っ向から対立する意見
この氏の意見に対しSNS等で真っ向から異議を唱えている人物こそ、誰あろうダルビッシュ有投手(シカゴ・カブス)です。
ダルビッシュ投手は様々なメディアを通してピッチャーに必要なのは“走り込み”:長くダラダラと走るのではなく、数本の短距離ダッシュ!を主張しています。
11分37秒辺りからが彼の意見となります。彼はこうしたメディアやSNSのコメントを通して彼が今まで培ってきた経験や理論を世界中に発信している野球選手としては稀有な存在です。
「筋肉のことを勉強すればあれ(走り込み)がなんのメリットもない!ということに気づくはずなんですが・・・」、というコメントもしています。
彼の意見は球団への提言としても受け取れます。つまり選手を指導するコーチへの知識・技術習得が必要なんじゃないかという意味が込められているわけですね。
事実の裏側にあるもの

世間は張本さんに喝!?
さて、往年の名選手、NPBで唯一3000本以上のヒットを打った張本氏のこの意見、そして現在MLBを代表するピッチャーにまで成長したダルビッシュ投手の反論、あなたはどちらを支持しますか?
TM鈴木としては氏の「走り込みが名選手を作る!」かの如く(ように感じてしまう)の意見は納得できませんが、ダルビッシュ投手の30mダッシュ5~6回を週3~4回という意見を完全に支持するものではありません。
科学には根拠があります!当然ながら投手に長い距離の走り込みは必要なし!という理論には既に科学的検証がされており、そのマイナス要因も今では多くの現場の知るところ(本来なら当然知るべきところ)です。
しかし人の体というものはそうした科学的検証では白黒つかない部分もあるのです。ダルビッシュ投手は専門家顔負けの知識やそれを応用する力は持っているでしょうが、科学的検証法については知りえてはいないのかもしれません。
もし検証法(正規分布・t検定・有意水準etc)を知っていれば全ての投手が30mダッシュで事足りるとは考えないものです(少なくともTM鈴木はそう考えています)。
投手に必要な要素

見方・考え方の変遷に注目!
ピッチャーに限らずどんなアスリートにも必要な要素として物事の裏側(背後)を視る・感じ取る感覚が必要です。
ダルビッシュ投手がそうでない!とは言っておりませんし、むしろ彼は物事・事象をしっかりと読み取る鋭い感性の持ち主だと感じています。
やり方は千差万別
ただ投手としてのコンディショニング法は千人いれば1,000通りの方法があると考えてよく、だから誰もが30mダッシュを6本というくくりは当てはまらないわけです。
彼はこの点に関してはまだ深く掘り下げてはいないと感じますし、それを一選手の立場で掴み取ることはもしかしたら難しい、あるいは不可能なのかもしれません。
それは指導者的視点が必要になることだし、今、ダルビッシュ投手が考えるべきことでもないでしょう。
ただ違った方向から観ると物事・事象には得てして発見があったりするもの、だから二者択一ではなく色々な角度から観てみる・実践してみる余裕を持つことが大切です。
理論は一つでもそれだけが正解ではなく、むしろ走りを得意にしようとすることで(多くのラン・ジョグ・スプリント経験を積むことで)走ること・体を動かすことの感性は磨かれます。
大切なことは常識に捉われないこと・観念を固定しすぎないこと。色々な角度から観れば非常識なやり方も上手く利用でき、他(人)とは違う動きからプレーの幅もグイッと広げることだって可能なのです。
走りの感性を磨く

走りの感性を磨く!
走ることの是非はともかく、走ることには独自視点でみれば【走りの感性を磨ける】という利点が存在し、それは競技力つまり投げる・打つ・捕るといった要素と深く関わってきます。
4/27対ブリュワーズ戦、ダルビッシュ投手は5回の第2打席で右翼線へ二塁打、二塁を回ったところで足を滑らせて転び、スタンドが沸いたという場面がありました。
この日の走りや練習中のダルビッシュ投手の走りはお世辞にも上手いとはいえず、特に加速力とその速度を維持する能力はむしろ人並みといえるでしょう。
ボディビルダーが走る時大きな筋肉が邪魔をしてその走りが非常に不恰好で非効率的だし、ダルビッシュ投手がそうだとはいいませんが、走りの利点を生かせないでいるのは選手としてマイナスかもしれません。

【ツブツブ】があなたの走りを変える!?
走ることを通してわかる感覚、もちろん歩くとき・立っているとき・日常活動中等含め、そうした鋭い感覚があってこそ非日常であるスポーツ動作で優位に立てることを知っておくべきでしょう。
走るときに骨盤の前後傾斜角・ハムストリング引っ張り具合、腕振りを鋭くするための肩甲骨の動き、脊柱のしなり等、様々なチェック✔ポイントを確認しながら走れば相当に走りは磨かれます。
意義を理解してこそ!
ただなんとなく走るダラダラとした走り込みは全く意味をなしませんが、そうした自分なりの課題や✔ポイントを把握しながら走れば、長かろうが短かろうが走りの感性は高まり、それは野球技術にも大いに役立つのです。
張本氏の意見には賛成できないけどダルビッシュ投手のある意味固定観念を支持できないのはこうした理由からです。
体の動きを感じ取り走りの感覚を高める要素があるランプログラムが、アスリートにとっては大きな意味を持つ!ということを走りが苦手な人は特に知っておくべきでしょう。
【すべての過程が野球に通ずる】
なんでも効率的にやることが全てではないし、今常識とされている考え方が視方を変えれば別の発見があった!なんてこと、楽しいしワクワク感満載ですよね!(^^)!
自分の体でしか味わえないことなんだから色々と試してみたらいい!それはメジャーを代表する投手であろうと草野球であろうと変わりはないのです。
まとめ:
投手に長い距離の走り込みは必要か?という議論に対して独自視点を交えて紹介しています。
張本氏の唱えるランニング論とダルビッシュ投手の短距離集中・集約型ラン・ワークアウトの考え方には大きな考え方の差がありますが、TM鈴木はこのどちらも支持しません。
理論は一つでもそれだけが正解ではなく、むしろ走りを得意にしようとすることで(多くのラン・ジョグ・スプリント経験を積むことで)走ること・体を動かすことの感性は磨かれます。
大切なことは常識に捉われないこと・観念を固定しすぎないこと。色々な角度から観れば非常識なやり方も上手く利用でき、他(人)とは違う動きからプレーの幅もグイッと広げることだって可能でしょう!
TM鈴木

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