知ってるようでいて実は知らなかった考え方は日常・スポーツにいまだ存在し、実際に応用することで知力・体力が増進し運動能力向上に役立ちます。
例えば+5°骨盤前傾で自転車にのると座位・乗車姿勢が変わり、従来ほとんど意識しなかった「まわす」ぺダリング感覚が身に付き推進力が劇的に高まるのです。
今回は脚力アップ・運動能力3割向上を生む自転車のりこなし術:+5度骨盤前傾ぺダリングについて紹介します。
Contents
画期的!?自転車のりこなし術

ぺダリングを知ることで大幅なトレーニング効果が望める
一般人にとって自転車は早く楽に目的地に着くための移動手段ですが、体の動かし方ひとつで実は超お得かつ有効な運動能力アップ器具になることはほとんど知られていません。
ポイントは+5度骨盤前傾でのり(すわり)、さらに従来の「こぐ(踏む)」を中心としたぺダリングを巻きあげ/引きあげ脚を含めた「まわす」意識に変えることです。
自転車姿勢に注目するわけ
街のりで骨盤の傾斜角(+5度骨盤前傾)を気にして自転車にのる人はまずいません。
イメージを大事にする自転車関連CMも骨盤に気を使う!?といったのり方はみかけないし、そんなのり方があるなんて気づきもしません。
+5度骨盤前傾でのると股関節への荷重やハムストリング・臀筋群・下背部の使われる意識が劇的に高まり、脚力・運動能力アップの気づきかあるにもかかわらずです。
しかもこのからだ操作は難しく考える必要等まったくなく、実践すれば誰でもそれなりのトレーニング効果をもたらし、美容的に脚を細くする脚やせメリットも絶大なのです。
座位感覚と乗車姿勢
+5度骨盤前傾ライディングで最も大事なことは、座骨の延長上にある骨※1(正式には恥骨下肢とよぶ)にサドル上での圧を感じながらのることです。
とはいってもその筋の専門家でもない限りちんぷんかんぷんな箇所なので、最初は座骨やそのちょっと前側にのる感覚でいいでしょう。

座骨の前で“のる”と骨盤前傾、後荷重は骨盤後傾
座骨は左右2カ所あるので各々に均等圧(体重)がかかる、つまり上半身の重さを感じるよう座面調整をしながらのります。
この座骨上に上半身を“のせる”感覚で骨盤はある程度前斜め下側へ角度がつく前傾になります(※正確にいえば中間位・後傾気味の骨盤が“起きる・立つ”という意味ですが)。
本来+5度だけ前側に傾ける+5度骨盤前傾が理想ですが体を慣らさない状態ではさすがに難しいため、便宜的にこの座骨上にのるこを前傾としています(※1でのることが前提)。
+5度骨盤前傾姿勢に慣れると座骨上に付着するハムストリングの付け根が引っ張られ、腿裏の張力が高まる(伸びる)ため収縮しやすいという筋の特性が発揮されます。
ぺダル操作効率とその感覚

ペダルの回転効率に注目!
効率的なぺダリング操作のためペダルストロークに注目します!真横からみたぺダルの動きに○を重ねケーキ9等分にカットした図をイメージしましょう。
+5度骨盤前傾ライドはペダルをこぐからまわす感覚、特にその一部で普段一般人はほとんど意識しなし巻き脚・引き脚といったリカバリーを重視します。
ぺダリング効率&トレーニング効果
自転車選手やその指導者そして愛好家は、このペダルストロークを理想的に高め効率的なライディングを日々探っています。
しかし一般人のペダル感覚は専門家のそれとは明らかに違い、その多くがペダルを「踏む」意識(押し脚~踏み脚)でこいでいます。
「踏む」動きは主に太腿前面の四頭筋(特に腿が幅広に見える外側広筋)が使われるため疲れやすく、美観的にいえば脚が太くなる大きな要因です。
+5度骨盤前傾ライドで重視するのはペダルストロークでリカバリーとなる「巻き(あげ)脚~引き(あげ)脚」間での操作です。
この範囲の体重ののせ方(股関節荷重)やハムストリングの縮まる感覚を高めることで、高度な運動能力に貢献する体全体の動きが高まるのです。

ペダルストローク
近年「こぐ?まわす?」という議論が沸き起こるぺダリング理論ですが、+5度骨盤前傾ライディングでは特にこぐよりまわすに注目します。
「こぐ」イメージだと踏むという一方向のみの力意識が強くなり、力を出し切った直後に逆側の踏み足による惰性で戻るため巻き・引き脚感覚が高まりません。
ぺダリング感覚
股関節に“のる”・ハムストリングを縮めるといったからだ操作にとって重要な感覚向上には、座骨面に(上半身の)圧がかかる+5度骨盤前傾でのぺダル操作が必須です。
+5度骨盤前傾で巻き脚直前の5時から引き脚終盤となる9時まで、やや土踏まずからつま先でペダルを“ひっかく”ようにするとハムストリングの縮まる感覚が直にわかります。
座面上で+5度骨盤前傾であれば踵に近い土踏まずからつま先に向けペダル上を滑らすように“ひっかく”と、脚の巻き上げ・引上げ感覚になり腿裏への効きが一層際立ちます。
逆に踏み込む際膝を伸ばす四頭筋収縮の感覚は+5度骨盤前傾ぺダリングではほぼありません。
骨盤前傾で従来より深く屈曲する股関節荷重で蓄えられた力を、巻き脚・引き脚意識を高めた股関節伸展での動きでグン!と前に進む勢いがしっかりと感じられます。
注)具体的な方法・感覚を知りたい方、詳細はお問合せ下さい
感覚のズレと競技への応用

考え方を変えるとトレーニング効果倍増で劇的な進化に!
「引き(上げ)足」を意識すればハムストリングが使われ脚が細くなると指摘する専門家はいますが、それは体の使い方からすれば誤解です。
それを自覚し自転車にのるという感覚を高めればこれほど有効なトレーニングはない!といえる程の身体操作向上技術です。
感覚のズレ
一般人は引き脚を意識しようとしてもそれを可能にする判断(自覚)材料がないため意識できない!つまりハムストリングが使われてると感じません。
重要なのは引き脚感覚を生むための判断材料を揃えその感覚を高めること!実はその中身こそ今回紹介した+5度骨盤前傾姿勢です。
(骨盤前傾でのる)材料さえ揃えばサドル上での座骨位置が変わり、ハムストリングの張力アップで巻き脚時の腿裏収縮感覚はしっかりとわかります。
すると踏み込みでの四頭筋より股関節荷重と巻き脚でのハムストリング収縮に意識が移り、股関節を軸とする従来よりスムースで力強いぺダリングが可能になります。
ぺダリングで腿裏の(伸び)縮みを感じない限りそれを使う感覚は高まらず、従って脚やせの効果があるとは言えないことを承知しておくべきでしょう。
体の使い方や人の動く仕組みを理解していない場合、こうしたケースは多々あるのです。
競技に生かせるカラダ操作
自転車はただ(日常動作として従来通りに)のるだけでなく、知っているようで知らなかった(+5度骨盤前傾の)考え方をとりいれることで競技力向上につながることを認識べきです。
何より股関節に体重をのせて圧をかけるという股関節荷重の技術、そしてハムストリングを主として臀筋群・背筋群への強刺激とその連動を生み出す仕組みは特筆に値します。
多くの競技スポーツは前方を中心とした全方位への体重移動とその力の加減:パワー(力×スピード)によって成立することを考えると、これ程有効な手段は中々見当たりません。
運動能力を高める意味で是非自転車ののりこなし術を再考してみるとよいでしょう。
もちろん骨盤を前傾させる技術やその感覚を普段からツブツブfitにのることで高めておくことが重要なことはいうまでもありません。
まとめ:

ママチャリでも十分なトレーニング効果を期待できる
▼+5度骨盤前傾の考え方とその実践は日常・スポーツのあらゆる場面・動きに応用が効く有効な身体操作技術
▼+5度骨盤前傾ライドにはサドル上での座骨やや前部でのる座位姿勢感覚、そして巻き脚・引き脚意識のぺダリング操作が必須
▼+5度骨盤前傾でのると股関節への荷重・ハムストリングの収縮感覚が高まり推進力アップが望める
▼座上での骨盤前傾維持とその操作は普段からツブツブfitにのるといった骨盤を前下方へ傾ける操作習慣で磨かれる
TM鈴木