姿勢とカラダの操作感からフィギア女子選手の動きを考える!~強敵ロシアの牙城は崩せるのか?世界の頂点を見据える目~

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平昌(ピョンチャン)オリンピックの代表2枠をかけたフィギアスケート全日本選手権は宮原知子(さとこ)選手の4連覇で幕を閉じました。

宮原選手はオリンピック初代表、2位になった坂本花織選手も代表残り1枠に滑りこみ、これであと50日後に迫ったオリンピックに万全の態勢で望めるでしょう。

宮原選手はこうしたプレッシャーのかかる代表枠争いでもなぜ順当に勝てたのでしょうか?一方で他の選手はなぜミスをおかして自滅してしまったのでしょうか。

そこで当稿では“動き&姿勢”という観点から選手達を見続けたTM鈴木が、感じ得たポイントを紹介していきます。

最後までお読みいただければ子供をアスリートとして育成する過程での大きなヒントとなるでしょう!(^^)!

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順当な勝利

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長い腕をさらに長く見せる秘訣

現在の女子フィギア界は浅田真央さんがリードしていた数年前と比べ、すこしがおとなしい!?ように感じます。

とはいえ実力派の宮原選手なら例えオリンピック初出場でも、表彰台を狙うことは十分可能でしょう。

日々の取り組みに裏打ちされた高い技術力

宮原選手の技術的な特徴はなんといってもその安定感であり、「ミス・パーフェクト」と名付けられたニックネームからも想像できる通り、演技でミスをすることはほとんどありません。

5種類の3回転ジャンプは安定感抜群でスピンやステップでもほぼミスなくこなすことはもちろん、レイバックスピンには常にレベル4(難度)、GOE(出来栄え点)1.50という加点がつく高い技術力を有しています。

日本女子フィギア史上最もスコアメイクが(思った通りに)計算できる!それ程の技術力を備えた最高のスケーターの1人と言えるでしょう。

例え「宮原ダントツ!あとはダンゴ」という戦前の状況でも、2枠のうちのひとつに入るというのはハンパないプレッシャーに晒されるものですが、普段の力を(ある程度)発揮できた勝利は平昌に着実につながったのではないでしょうか。

低くて速いジャンプ!

現代のフィギアではフリーで7種類のジャンプを試みることは当然であり、特に演技後半の基礎点は1.1倍になることから、体力的・精神的にきつい状況で如何に思い通りに動ける体を維持していくかが大きな課題となります。

そんな状況下、彼女の低くて速いジャンプは他の選手のドーンと高く上がってひらひらと回るジャンプとは明らかに一線を画すものであり、その精度の高さは日々の精力的な取り組みを反映したものです。

誰が言ったか「ねずみ花火のよう!」とは言い得て妙!であり、お見事と手を叩いてしまいました(^_^)

ジャンプの完成度(完璧に回りきる)には高く跳んで余裕を持たせるか、速く回りきるか(またはその両方)のどちらかが要求されますが、宮原選手のそれは確実に後者です。

高速回転のためには脚を伸ばしきり腕を素早くたたまなければならず、逆にある程度余裕をもって跳ぶためにはアプローチの際、股関節と膝を十分曲げながら大きな腕振りが必要です。

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体でも頭でもこの相反する動きについて自分なりの落としどころを見つける必要がありますが、リーチもある(意外!?)宮原選手は腕を素早く引き寄せながら空中でまわる技術も非常に高く、だからこそあれ程の高速回転が可能なのでしょう。

姿勢と体の操作感

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上背部を露出させるのは自信の現れ!?

今回だけでなく特に目立ったポイントとして、優勝した宮原選手の演技中の姿勢と腕の動きは実に洗練されていて、非常に見栄えのある動作を可能にしています。

腕の使い方はその基本ともよべる肩甲骨の動き、そして胸郭(肋骨)との連動、さらには中心軸のイメージを成す脊柱の《し・な・り》とも大きく関係しています。

中心(軸)から動かすイメージ

宮原選手の腕の動きは実にしなやかである上、決して演技の流れを断ち切ってしまうような(空気をぶった切るような)動かし方はしていません。

腕のしなやかさはその大元となる肩甲骨の大きな可動性によってもたらされますが、宮原選手は皮膚上からでもしっかりと肩甲骨の形が確認でき、周りの脂肪層が極限まで薄いため動きがしっかりと観察できる程で、他の女子選手と比べててもその差は歴然です。

動きの起点となる脊柱を如何に上手く動かすかによってその後の胸郭や肩甲骨、さらに腕の動く範囲が全く違ってくるのですが、宮原選手のそれは他の選手とは比べものにならない程大きくしなやかでした。

コーディネイトもその辺りの動きを意識するのか、上背部が大きく開いた衣装を着ける場合が多く、良く動く肩甲骨はとても見栄えが良いのです。

フィギュア選手が表現力を身に着けるためにバレエを習うのはよく聞く話ですが、宮原選手も2016年に専門家の指導を受けています。

近年の大幅な表現力の向上はこうした外部指導の影響もあるでしょうが、単にバレエを習っただけの成果ではなく、そのエッセンスを自分なりに解釈し自己の演技に落とし込むという彼女なりの取り組みをした結果と言えるでしょう。

取り組み方で人は変われる!?

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抜群の操作性能が武器!?

アスリートがおこなう各々のスポーツと違い、バレエは体の動かし方を極限にまで高めていく過程で腕や脚だけでなく、コア(体幹部)の操作性を大幅に高めてくれます。

習得したエッセンスを如何に自分なりの解釈で整理し、スケーティングへ適応させていくか!宮原選手の理論を交えた熱意ある取り組みは、こうしたポイントに集約されていたと考えるのが自然です。

肩甲骨を含めた胸郭・脊柱、そして動きの始まりである骨盤というコア(チャンネル)の可動性確保は、アスリートにとっては欠かせない身体(脳)力と言えるでしょう。

この部位の動きが良くない(そのように観える)ばかりに、演技力や技術力が高まらない場合も多々あることを自覚している選手はそう多くありません。

肩甲骨と動作性能

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改善すべき課題はみえている!?

本郷理華選手は166cm 51kgと日本でも数少ないダイナミックな動きをするスケーターですが、その体格特性を十分生かせているとはいえません。

彼女は俗に言う「いかり肩」で宮原選手とは対照的に肩甲骨が十分動かないため、肩周りが極端にぎこちなく先端に通ずる腕の動きが醸し出す雰囲気をぶった切ってしまい、かなり演技の邪魔をしています。

身体つきや動きはその人の心の中を反映していると言ってもよく、本郷選手はおそらくそうした部位の動きに目がいかなのかもしれません。

であれば指導者やトレーナー等の取り巻きが、彼女にそのことを気付かせるアプローチをしてしかるべきですが、演技を観る限り改善されているとは言い難いのです。

実際のところどうなのかはわかりませんが、指導する側がいくら改善を望んでも、受ける本人の価値観や考え方が変わらない限りはむずかしいのです。

バレエをやれば表現力に繋がるかと言えばそんな単純なものではなく、如何に本人が思考を変え取り組み方に反映させるかが肝心ということでしょう。

世界の頂点へ!そして未来へ!

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メンタルが世界を制す!?

全日本(選手権)に至るまでの選手達の代表争いは2枠という幻想に縛られての争いとなったように感じます。

代表となった宮原選手・坂本選手にはしっかりと心と体を整えて程よい緊張で限界にチャレンジして欲しいと願っています!

“頂”は遠かった人達、しかし次こそは!

フィギュアスケートは採点競技であり相手との接触がないため、究極的には自分との闘いであり如何に自分が目標とする演技をできるかが勝利のカギとなります。

そうした意味で今回の全日本選手権、期待された選手達は自分に勝てなかった現実を直視したはずです。

マスコミが最も注目していた本田真凜選手、手足も長く最もメディア・観客受けが良いであろう注目株はショートプログラムであえなく撃沈し、早々と白旗を上げる格好となりました。

直前にはNHKが特集を組むなど、どちらかといえばそのルックスやスタイルにばかり注目が集まりましたが、極限の緊張状態では実力を十分発揮することができなかったようです。

4年に1度のオリンピック、巡ってくるそのタイミングも運に左右されますが16歳の次は20歳、年齢的にこの競技でのピークは過ぎてしまうでしょうが、果して彼女はどのような選択をするのでしょう。

タイミングという点では浅田真央選手と同じく15歳という年齢制限にひっかかり、表彰台は得たもののオリンピック出場権を得られなかった紀平梨花選手も同じでしょう。

公式大会で女子史上初となる「トリプル・アクセル」ー「トリプル・トゥループ」を2連続で決める逸材も次回大会は19歳、果して成長による体型変化がスケーティングにどう影響するかは誰にもわかりません。

その他ランキングでは上位だった樋口新葉選手、三原舞依選手も本来の実力を出し切れませんでした。

強敵ロシア勢を迎え撃て!

出典:https://goo.gl/8yRVVE「REUTERS」

今大会、国としては参加が認められなかった大国ロシア、その代表に入ってくると思われた世界女王エフゲニア・メドベージェワ 選手はケガの回復が思わしくなく平昌は回避する模様。

しかし2016年のジュニアグランプリを優勝しその年のジュニア界を席巻したアリーナ・ザギトワ選手が優勝の一番手にあげられ、さらにアンナ・ポゴリラヤ選手、マリア・ソツコワ選手等が虎視眈々とオリンピック女王の座を狙っています。

ロシアは元々バレエとフィギアスケートの”精神的距離”が近く、だから芸術性を高める術に長けている点でもこの競技の優位性は動きようがありません。

そうした芸術性にロシア人特有の運動性能が加わり、さらに北欧特有の美貌も入ることで出場する誰もが表彰台の頂点に立つ実力を兼ね備えています。

宮原選手はこうした実力者を向こうにまわし、彼女自身が満足する演技を全世界が注目する中行わなくてはなりません!

しかしその機会に恵まれた(ある意味)強運の持ち主でもあり、今の日本では彼女を置いて他にはいないのですから、是非身震いするようなカラダ感覚を味わってほしいものです!(^^)!

緊張は観衆やメディアによって外から忍び寄るボディブロー、一方武者震いは体の奥底から沸き立つ恍惚の精神状態です。

リンクに入る前の宮原選手のメンタルが後者であれば世界の頂点が観えるはずです!(^^)!

まとめ

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自分を制しライバルとの勝負を!

韓国ピョンチャン・オリンピックの代表2枠をかけたフィギュアスケート女子全日本選手権は、宮原知子(さとこ)選手が4連覇を達成しました。

優勝した宮原選手は他の選手とは明らかに違い、体の中心から末端(腕)にかけてをわずかの時間差で動かすという、人が本来持つべき滑らかで美しい動きを展開してくれました。

ジャンプやステップ等その技術がクローズアップされますが、この「骨盤ー脊柱ー胸郭ー肩甲骨ー腕」といった一連の鋭い操作感の違いが、静かに押し寄せる連続した波状の動きに繋がり人々を魅了するのでしょう。

オリンピックでは個人で出場が予想される最大のライバル:ロシア勢と対峙しますが、こうした抜群のカラダ(動作)感覚を存分に発揮し、「自分との戦い」を制して欲しいと願っています!(^^)!

~Go for the [TOP] you’ve never ever seen!~

誰も観たことのない頂へ!

TM鈴木

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