厚底シューズの走行感!数段高まり楽に走れるただひとつの理由~地面反発力と前に進む感覚アップを狙う+5度骨盤前傾~

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今や日本のマラソンを席巻するナイキのヴェイパーフライ。

この過激とも思える人気には様々な情報が飛び交うものの、その多くが見逃している視点を忘れてはなりません。

方向性を見誤ると履きこなすどころか靴に履かれてしまう事態になりかねず、いつまでも世界と競えるランナーは生まれないでしょう。

そこで厚底の走り感覚を数段高め楽に前に進む走り(動き方)を探ります。

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厚底人気を支える技術革新

過激すぎる厚底の知られざる事実

選手の立場ならシューズによって記録が出る(可能性が高くなる)ことは最も歓迎すべきことで、自分の実力を最大限出せる肉体的・心理的能力を大いに後押しするはずです。

しかし厚底を完璧に履きこなすには日本人ランナーに決定的に欠けている要素があるのです。

まずはヴァイパーフライの人気ぶりと近況からスタートしましょう。

2020年の箱根は順当

戦前予想では東海・東洋・青学と三つ巴の争いと言われたものの、蓋を開けてみれば青学のほぼ盤石のレース展開で幕を閉じた今年の箱根駅伝。

しかしレース以上に加熱の一途を辿った“厚底”旋風は選手210人中、177人がナイキヴェイパーフライネクスト%(VFN%)を履くというとんでもない記録!?を打ち立てました。

アシックス・ミズノ・アディダス・・・といった老舗メーカーが競う全国レベルの大会においてランナーの着用率84.3%はほぼナイキの独占状態といってもいいでしょう。

足元がピンクかライトグリーンであれば他メーカーが追従できない程のパフォーマンスを発揮する!裏を返せばVFN%を履きこなさ以限り優勝等あり得ないという神話を作り上げました。

そう考えた先人が速くから取り入れそのアドバンテージを有する中、今回原監督率いる天下の青学がユニフォーム契約メーカーとの関係をかなぐり捨ててでも“足にした”(手にした)厚底はその力をいかんなく発揮しました。

厚底の優位性をチームへ融合

厚底シューズの優位性に最初から気づいていた人物、何を隠そうそれは原晋監督(青山学院大学)自身ではなかったでしょうか。

2019年の箱根では東海大の前に敗れ去った監督はおそらく直後からVFN%なしでは覇権奪還は適わない!そしてどこで選手達に履かせるかを思案していたはずです。

同年の出雲や全日本でも優勝校の後塵を拝し遂に“パンドラの箱”を開け、そこからは短期間でメンバー全員が厚底使用に切り替えるという決断に至るのです。

箱根優勝後のインタビューで厚底の影響を聞かれた原監督、「ノーコメントにさせてください」と煙に巻いたのはさすが“策士”という他ありません。

しかし裏を返せばそのメッセージが選手の実力と同等かまたはそれ以上に厚底シューズの影響が大きかったことを意味すると捉えられるかもしれません。

なにせ区間新7つの内6区間はVFN%で叩き出したもの!青学の大会新記録もこの厚底がなければ達成できなかったのでは?とも揶揄されれかねないかねなのですから。

駅伝だけじゃない!市民マラソンでも

年末年始から日本では高校・大学・社会人の各世代で駅伝が行われますが、いずれのレースでもVFN%がその中心にいた!?といっても過言ではありません。

実は市民ランナーレベルでもナイキ社の戦略は確実に浸透していました。

最初はトップ選手も使う好奇心、そして厚底を履くと「楽に前に進む」「走りが楽しくなる」といった新感覚に気づいたランナー達のクチコミで、発売と同時に売り切れ(先行予約販売なので当たり前だが)が続出しています。

スプーン型カーボンプレートの反発とズームXというフォームのクッション性により脚がはやくタレずに前に進む勢いが終盤まで持続するその機能。

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ランナーなら記録更新のために絶対必要!こうした願望をしっかり適えてくれそうな優れものを手にしたい人の心情ともいえるでしょう。

しかしこれだけの結果を残す高機能シューズも実はそれを“本来の意味で”履きこなせているのか!といえば日本人でそれができる人はほとんどいないのが現状です。

履きこなすために必要なこと

履きこなすには走りを変えなくてはならない!?

厚底シューズのプロトタイプは本来エリウド・キプチョゲ選手(リオ金メダリスト)を筆頭に東アフリカ出身ランナーに合わせた走り方にフィットするよう作られています。

元々はフォアフット走法(FFL)つまり前足部接地で足のバネを効かせた走り方に合うシューズなのです。

大きな違いは骨盤の前傾角

大雑把にいえば黒人ランナーと日本人の走り方では骨盤特にその前傾角は10~15度違います。

前者の角度は大きく腸骨(骨盤)から動くため足をより体の真下近くで接地できる利点によりフォアフット走法が可能なのです!というか自然とFFLになりやすいのです。

一方日本人は骨格形態的に骨盤が中間位(ニュートラル)で走るので着地は体の真下(近く)よりやや前方となり、どうしても腿をややあげながらの中足部接地にならざるを得ません。

それは厚底を履こうが履くまいが変わりません!

最新のアルファフライなら日本人特有の中足部(ミッドフット)接地でも十分楽に前に進める!とは骨盤前傾の黒人ランナーの恩恵と比べれば微々たるもの

そこで走り方を厚底に合わせたスタイルに変える必要があり、選手達は軒並みその姿勢や動きに変えていくというプロセスが必要になります。

+5度前傾するだけでその走りは全然違う

骨盤をやや立てる感じでいわゆるお尻が落ちない、重心を少し前にする走り方に変えようとしていたわけです

べた足で膝の曲がりが大きく腿をやや上げ気味でアップライトで走る人が減ってきたのもそのためでしょう(ただ黒人アスリートに比べまだまだその傾向は強いですが)。

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今の大迫傑選手の走りは骨盤が起きてより黒人ランナーの走り方に近づいてきているともいえます。

しかしその大迫選手でさえキプチョゲを筆頭とする東アフリカ勢の骨盤傾斜角には遠く及ばずシューズを変えただけではその実力差は変わり様がないのが実情です。

だれも知らないシューズと走りの関係

シューズの実力に動き(走り方)がついていかない!

実のところ日本で起こっている不可思議とも思えるこの厚底フィーバーは日本人ランナーと世界トップ級の実力差を埋める手段とはなっていません。

男子マラソン・世界ランキング10傑はケニア・エチオピア勢がすべて独占しています。100位以内でもこの2国で実に9割方占められているのです。

日本最高記録をもつ大迫選手(27)の「2時間5分50秒」でさえなんと世界97位にすぎません。

今のところ厚底の恩恵を本当に受けているのは実はケニア・エチオピアを筆頭とする東アフリカ勢でしかないのです。

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そして彼らは骨格的・形態的に過度の骨盤前傾です!

駅伝で記録がでたのはこの魔法のシューズのおかげ!日本人のレベルが上がったといった報道が如何に加熱を帯びようとも世界的にみればこの実力差、靴がよくてもそれに見合う動きの獲得が必要なことフォーカスできないのは実に残念です。

シューズの能力を十分生かすのであれば当然履く人の動きも変えなければならないはずなのに、その方向性を検証せず表向きだけ変えていては実力差は広がるばかりです。

問題はフォアフット云々といった足元の問題ではなく、骨盤の傾斜角度を黒人ランナー並みに近づけて走れる動きの確立なのにです。

+5度骨盤前傾とフィットする厚底

人類初の2時間切りはVFN%とキプチョゲの合作!?

ナイキの厚底はTM鈴木が提唱する+5度骨盤前傾の走りと考え方にぴたりとフィットします。

前に楽に進むという観点でも両要素には共通項が多く、その視点を取り入れることでより黒人ランナー達と競える可能性が高まるのです。

なぜ骨盤前傾は前に進むのか?

厚底シューズを本当の意味で履きこなすには日本人なら今より+5度(以上)骨盤前傾にして走れるようにすべきです。

なぜなら前足部での接地が自然になるからです。

ヴェイパーフライ・ネクスト%の内臓カーボンプレートが最も反発するポイントで地面接地し直後ダイレクトにその反発力を受けられる意味でシューズを使いこなせることでしょう。

+5度骨盤前傾フレンズであるK氏の以下のコメントは厚底シューズと“骨盤傾斜角”とのコラボ感覚を的確にとらえています。

ヴェイパーフライ の走行感ですが、+5度骨盤前傾を効かせて走ることで、シューズの反発を最ももらえるスィートスポット(屈曲しない前足部)にタイムラグなく乗り込める(前足一本歯でのランニング感と合致)ことで、膝下・足首・足指といった小さな筋群でバランスを取る必要なく、股関節にしっかり乗り込んで(そこから下は棒の用な感覚)行く事が鮮明になりました。

さらにK氏はVFN%ではない通常シューズを履いて+5度骨盤前傾で走った際の走行感にも言及しています。

試しにヴェイパーフライ ではない、従来のレーシングフラットなシューズでも同様の動きを再現してみると、シューズの持つ反発感がこれまでよりもクリアになり、いい意味で今までと別のシューズを履いている感覚になりました。

重要なことはフォアフット接地にフィットする+5度骨盤前傾で走れる動きの確立のです。

この前傾角で走れる日本人ランナーは皆無

スイング脚の動きが同側腸骨から始まることで脚全体をムチのようなしなりで振ることができるため、前に進む勢いが高まり且つ片脚立脚時に腸骨から下を脚、つまり一本の棒のようにして体の真下付近への強力な接地と蹴りで反発力をもらいやすくできる点は優れた優位性です。

さらに+5度骨盤前傾していることで立脚時の支持基盤となる大腰筋が伸ばされながら力を発揮(伸張性収縮)し、地面への反発力を吸収してしまう腰・股関節からの体の沈み込みを極力回避できます。

骨盤ニュートラルつまり大多数の日本人ランナーは地面を蹴ると同時にこの体の沈み込みは大きく避けられないため、その分アフリカ勢と比べタイムにも差が出やすいのです。

重心位置の変化で前へ前へ

さらに+5度骨盤前傾には重心が数㌢前に移動するという別の効果も存在します。

普段の立位姿勢と+5度骨盤前傾での立ち方を比べてみれば誰でも体感できるはずですので、興味ある方は是非チャレンジしてください。

  1. 壁に両かかとをつけ立つ
  2. ビーナスのえくぼより上に手のひら(両手のひら)をスライドいれる
  3. 上背部は壁にぴったりつける
  4. 後頭部も(なるべく)つける

+5度骨盤前傾になるこの状態でしらずしらずのうちに体が自然に前に倒れるような感覚になりますか?

注)もし前に倒れてしまうような感覚にならないなら腰に手をいれてるかもしれませんのでもう少し下へスライドするといいでしょう。

走る時に重心位置が数㌢前に移動すると体は自然に前に倒れやすくなり、その動きを制止しようと脚を前に出すようになります。

走りとは本来その感覚の繰り返しですからそれに地面の反発力をもらうことで推進力が高まっていくわけです。

仕組みを知れば益々+5度骨盤前傾の優位性に気づくはずですが、そこにフォーカスできず厚底の利点だけを追い求めた走りだとパフォーマンスアップどころか逆に調子を崩し最悪自分の走りがわからなくなる危険性もはらみます。

世界トップと競い合うには厚底の機能に見合ったみずからの動きの洗練性が求められます!

+5度骨盤前傾にフォーカスできる創造性と実践力が必要で、そうでなければ履いただけの自己満足でしかありません。

まとめ

シューズの機能をフルに使いこなすには?

▼日本のマラソン・駅伝シーンを席巻する厚底シューズの特性とその使用状況を追いつつ実は多くが見えてない適正な走りにフォーカス

▼シューズ性能に見合った動き作りが重要なのに厚底に合わせた体作りというオーダーで走り方を完成しようとする現状は方向性を見誤っている

▼+5度骨盤前傾は前足部をより体の真下(近く)に接地するフォアフット走法に適し、重心位置を数㌢前に位置させ地面の反発力をより受けやすくでき厚底の機能と十分にフィットする

▼厚底がいくらブームになっても世界との差はまったく縮まらず、東アフリカ勢はよりVFN%の機能を生かした2時間切りを狙える実力をつけている現在、+5度骨盤前傾を含めた走り方改革が日本人ランナーに求められる

TM鈴木

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