捻転差とはスイングや投球動作における上半身と下半身のねじり(回転)差で、これが大きいと理に適った良い(!?)スイングと言われます。
しかしゴルフやバッティング・ピッチング等の指導現場では、具体的にその差を生むための的確な動きの指導がなされてるとはいえません。
そこでこの「捻転差」感覚を高め、実践で使えるためのトレーニングを紹介します。
実践していくと下半身と上半身のわずかな時間差でおこる回転差をより実感しやすくなり、インパクトへ向けての上手が体の使い方が身に付きます。
Contents
捻転差を生み出す条件

捻転差とは?具体的な見方
スイングにおける下半身・上半身の捻じりの差を捻転差と呼びますが、ある特定の条件が揃わない限りこの差を感覚として感じることはできません。
その条件とはどんな要素でしょう?
そこにはどんな優秀な指導者・トレーナーでも教えてくれない(実はわからない)感覚があり、長年骨盤の動きに関わってきた専門家ならではの視点があります。
条件1:+5度骨盤前傾
捻転差を生み出し感じやすくなるには骨盤前傾、特に現状より+5度前傾しながら動ける骨盤操作が必須です。

この角度の違いが捻転差を感じ取る感覚につながる
実際チャートの黄色と赤色の傾斜角を描いたラインだと、右の前傾が左の中間位より15度以上大きくなり、骨盤を境に上半身とのスムースな回転差を感じるケースが多数を占めます。
「腰をひねる」というイメージだと腰椎の物理的な回旋可動域が左右に+5度ずつの計10度と少ないため、捻る感覚を高めるには現実的とはいえません。
しかし骨盤そのものは前傾していれば時計回り/反時計回りとも各々約50度の範囲で回旋が可能なため、骨盤の水平回旋感覚は条件さえそろえばしっかりわかるはずです。
水平回旋が大きくなれば上半身との差がよりわかりやすくなることから捻転差を感じるアプローチとして第一に知っておくべき知識といえるでしょう。
条件2:脊柱伸展
捻転差を生む2つ目のの条件は脊柱伸展機構、つまり脊柱(椎骨の集合体である背骨)が頭上に伸びる感覚です。
この感覚は学校での身体測定で身長を少しでも高くしようと考え、背筋を目一杯伸ばす感覚といえば良いかもしれません。
脊柱周囲の筋肉に力を加えることで背骨全体を頭上に伸ばそうとしたわけですが、この脊柱伸展は骨盤前傾とセットにならないと上手く伸びてくれません。
よくある失敗は胸だけを膨らませるだけでいっこうに頭上への伸びが高まらないケース、なぜならその大元になる骨盤前傾ができず、いわゆる“腰が伸びない”状態だからです。
捻じる感覚を高める!体感できる!ようにするためには
- 骨盤前傾ができる
- 脊柱伸展ができる
という2つの条件が必要なのです。
この条件が揃えば骨盤の回旋域と肩の水平回旋を少しずつずらすことで捻転差が生み出されます。
逆に骨盤ニュートラル(中間位)や後傾で脊柱が伸びない状態では、骨盤の捻じりと肩の捻りとの差が生まれにくく、捻転差を感じないまま力をボールへ伝えてしまうわけです。
捻転差感覚を磨く~実践~

捻転差を生む部位はどこななのか?
捻転差を生み出すためのベースがないと下半身・上半身の捻じりの差は生まれないし、その感覚は鋭くなってくれません。
その大元が実は骨盤前傾と脊柱伸展(伸び)であり、多くの人がこの身体機能を十分に引き出せていないという事実を理解していないのは、実に残念なことです。
実践1:骨盤前傾感覚UP
骨盤前傾感覚を引き出すには前傾位を意図的に作り出し、その姿勢(情報)を体(脳)に覚えてもらうことが重要ですが、それは意識すればできるというものではありません。
【骨盤前傾マニア】はこの+5度骨盤前傾の明確な感覚をしっかりと脳ー体で理解してもらえるよう、独自の新感覚ワークアウトを提供しています。

ビーナスのえくぼで“のる”と骨盤前傾感覚がUP
独自開発したパワー・コンディショニング・ギア『ツブツブfit』にビーナスのえくぼをあてがい、下腹部の①力を抜く&②力を入れる操作を一定時間交互に繰り返してください。
最初は下腹部奥の大腰筋・腸骨筋の緊張もあって伸びにくい骨盤ニュートラルや後傾位から、同筋群が伸びる/緩まる感覚が高まる、さらに力をいれられるようになるとしっかりと骨盤前傾操作ができるようになります。
実践2:“レインボー”アーチ
2つ目は脊柱の伸びを感じるための“レインボー”アーチ作りです。
“虹のような”弧を描くため、肩甲骨の中央部付近で『ツブツブfit』に“のり”ながら両手を挙げます。
その「伸び」に慣れてきたら徐々に上下にゴロゴロ左右にゆらゆらすることで「体重をかける」感覚になり、さらにリラックスすることで伸びの真価を感じられます。

肩甲骨で『ツブツブfit』にのると自然なアーチの出来上がり
この姿勢で力が抜けてくれば自然な脊柱のアーチが描けます。もちろん前提として+5度骨盤前傾、つまり下腹部奥の「伸び」感と「ビーナスのえくぼ」の適度な緊張感が必要ですが。
前傾や脊柱アーチという条件を満たすことで、骨盤・胸椎・胸郭といった捻じりに大きく関わる部位の可動域が広がるため、捻転差が大きくなるというわけです。
ちなみにい画像(下)のうちどちらが捻じりやすくどちらが捻じりにくいでしょうか?

どちらが捻じりやすい?どちらが捻転差を感じる?
左が捻じりやすいと回答した人は10人中9名(わからないが1名)との結果でした。
左は骨盤前傾、右は骨盤ニュートラル(中間位)または後傾位と、その姿勢(骨盤傾斜角や脊柱のしなり)の違いが明らかです。
姿勢に気を配らない日本人
捻転差を気にかけるならそのベースとなる姿勢にフォーカスしなければならないのに、スポーツ現場や実際の技術指導でそこに眼を向ける指導者は皆無です。
捻転差がどことどこの差でどうやったら生まれるか?といった具体的な説明ができないのは、自身の体感を元にした感覚にたより過ぎて体の機能を学んでいないからに他なりません。
本来は感覚と理論の両立によってのみ指導可能なのに、自身の経験でしか語れないという指導状況は今でもスポーツ現場には蔓延っています。
加えて骨盤前傾や脊柱伸展等を現役時代に体感したことがないことも、捻転差を理解できる指導がなされない要因のひとつでしょう。
なぜなら誰もその感覚を実際に体感できるアカデミックな情報が生まれていなかったからです。

骨盤と両肩のラインの差が捻転差を生む
現在唯一その情報が得られるのはTM鈴木がすすめる『かるのび~kaRuNobi~』という+5度骨盤前傾トレーニングだけです。
せっかく日本全国・全世界でつながる情報網(インターネット)を持ちながら、その情報にアクセスしないというのはアスリートとして成長するための機会損失に他なりません!
当ページを観て是非!捻転差の感覚を身に付けたい!スイングに生かしたい!と考えるあなた、まずはそのベースとなる骨盤前傾と脊柱のアーチ感覚を体感してはいかがでしょうか!
従来「土台」としての動かない骨盤が動くようになる!そうなったらあなたの動作感覚は競技で本来発揮すべき真価を確実に感ずるに違いありません。
捻転差のメリット

骨盤が先に回旋⇒体幹⇒腕⇒バットがでる
最後に捻転差が物体(ボール・やり・その他)に与える影響について解説します。
特に骨盤と肩の回旋角を比較した捻りの差がある動きの特性を生み出すことは知っておくべきでしょう。
ヘッドスピードが高まる
当たり前の話ですが捻転差を使ったスイングだとボールはよく飛ぶ傾向にあります!なぜならそこに運動連鎖という物理的な運動法則が加わるからです。
運動連鎖による動作は部位と部位がある一定の速さ以上でわずかな時間差で動くため、“ムチのような”しなりを伴ったスイングへと変貌します。
足裏から地面反力というエネルギーをもらい、骨盤ー体幹ー腕ークラブ/バットという順番で各々が少しずつ時間差で動くようなると、最終的にクラブやバットのヘッドスピードが最大になり、インパクトの力が最大になります。
この捻じり差で動く感覚が体(脳)でわかると無駄な力を入れずともバットやクラブ等、扱う道具のヘッドスピードを効率的に上げやすくなります。
映像では骨盤と肩の回旋を脊柱の動きを通して巧みに扱う様子が見て取れます!
捻転差を使ったスイングは自慢の太い腕や強靭な上・下半身を存分に使った力に頼るスイングに比べ、ムチのように鋭くインパクトへつながり飛距離も伸びるわけです。
力まずに動く・止まる
運動連鎖を利用した捻転差が身に付くとさらなる技術的アドバンテージが生まれます。
相手投手の配球により狙いと違うボールに対し急にヘッドを加速/減速させる、スイング速度を調整する等、バットをコントロールする能力が高まるので出塁率アップにつながるのです。
ゴルフならスイング途中でも狙う方向を微妙にずらしたり、当り(インパクト)をソフトまたはさらにハードにする等といった技術の上乗せが可能なわけです。
骨盤の回旋動作が鋭くなれば続いて起こる脊柱の伸びや肩の水平回旋との差を意識しやすく、余計な力を入れずとも状況に応じたスイングでボールを正確な軌道へとのせられます。
運動連鎖の動きの重要性を認識し捻転差にフォーカスできれば、+5度骨盤前傾を生かしたこの考え方に興味が湧かないはずはありません!(^^)!
捻転差:まとめ

ショルダーターンと骨盤回旋
▼スイング動作には捻転差が重要となる!捻転差は骨盤と左右肩の捻れの差で、運動連鎖という動きの法則が深く関わる
▼+5度(以上の)骨盤前傾と脊柱の“レインボーアーチ”を身に付けると捻転差を感じやすい
▼捻転差を生みだすには『ツブツブfit』に“のり”骨盤前傾と脊柱の伸びる感覚を高めること
▼捻転差はヘッドスピードのパワーを生み出し、自在なスイングコントロールを可能にする
TM鈴木