スクワットはその簡単そうに見える動きのわりに、実は意外に難しく奥の深い動作です!
初心者だと重心を下げるのに膝を曲げてしまうため、適切な指導なしには大いなる効果が期待できません。
しかしあるコツに注目すると案外すんなりと、しかも動きそのものが奥深くて面白いことに気付くはずです!(^^)!
今回はそんなスクワットで股関節に “のり” ハムストリングの鼓動を感じる瞬間と、スポーツや日常動作で役立つ方法を解説します。
きっとあなたも「えっ!スクワットってこんなに面白かったっけぇ?」と感じるはず!(^^)!
Contents
スクワットのメカニズム

自重でも十分な効果を得られる!
まずなぜ自重なのか?
それは(基本から変形動作まで)TM鈴木が今ではほとんどウェイト(重り)を使わずにスクワットをしてるから!
自分の体重で自在に負荷を操る“自重”スクワットで十分な効果を引き出せるなら、チャレンジしない手はないですよね。
やり方を間違わなければ、自重スクワットの方がより「荷重している感」があり、重心の上下動や縦横前後斜のブレを感じられて「やってる感」満載なのです!
面白くなるスクワット
スクワットで最も大切なこと、それは股関節を曲げながら重心を下げていくことです。
極端に言えば股関節 “だけ” を主体的に曲げる意識(イメージ)!膝は曲げない!
そのためには骨盤前傾が必要ですがただ前傾するではなく、TM鈴木が開発した【機能的】骨盤前傾位:FAPTAで実施することが重要なのです。
FAPTAなら膝は股関節の曲がりに “合わせる” 程度の曲がりで済み、逆にコアに近い骨盤周りの運動効果はグンと高まります。
ですが初心者や中高年の多くはFAPTAの感覚がないため、膝を優先的に曲げて重心を落とそうとするからたくさん負担がかかり、動きに全身が関わっている感がまったくないのです。
動いている感覚がないのだからこれでは面白いはずがありませんね!
動きを身に付けられない人の大きな特徴で、膝を曲げる感覚がある限り股関節から曲げることはほぼできません。
膝から曲がれば膝がしらがつま先より前に出るのは確実で、こうなると膝には余計が荷重がかかり、例えば脚を鍛えるはずがケガを誘発することになりかねません。
ウェイト(筋)トレ信仰!?
バーベルを使う通常のスクワットは重さを感じるだけ感じる、つまりどれくらい挙げられるかに意識が向かいやすく、動きそのものを感じにくい傾向があります。
これでは感覚的な面白いみもなにもあったもんじゃありません!
チーター含め野生動物はトレーニングなんかしなくてもとんでもなく速い!ライオンだってあんなにデカくノロそうに見えても時速60km/hと、人より断然速く走ります!
野生動物にできて人間にできないことはないんじゃないか!
わざわざ重りを持ち上げたりしなくても日常の動きの中でウォームアップになったり、筋トレになる動きやポーズはいくらだってあります!
そこに目を向けず、ただただバーベルやダンベルを持ち上げるというのは、アスリートとしてはどうにもおかしいのでは?と感じずにはいられません。
動きを感じることが正確な動作につながる
基本的には自分のからだ:筋肉・腱・等の動く様(変化)を感じられれば「その動きおもしれぇ!」となります!
スクワットの動きを感じ取るには前述した【機能的】骨盤前傾位FAPTAが有効です!
なぜなら単なる骨盤前傾ではなく、隣接する関節や組織がその傾斜角に合うように働くからです。
FAPTAでは股関節がわずかに屈曲(前方に少し曲がる)するので、真っ直ぐ立っている時の関節ロックが外れ股関節を曲げる意識が高まり、自然と身体(重心)を下げられます。
具体的には今より5~10°骨盤を前傾させる必要があります。
重心を下げる直前に腹直筋が左右の鼠径部から①縦に伸びる、逆に②腰が縮まる感じがあると股関節にのりやすくなります。
そうなるとお尻が斜め後ろ下方に下がっていくので、腿裏や臀筋群の伸びと腹横筋を主として下腹部やお腹周りに力を入れる(息張る)感じがわかるはずです!
立体的な動きをイメージ

仙骨の目の前にゴルフボールが!
さて、ここでの疑問:「重心を下げる」とはどういうことでしょうか?わかりやすくするためにゴルフボールに手伝ってもらいましょう。
ヘソと恥骨の調度真ん中あたり、そこから中指くらいの長さの奥に向かったポイント、仙骨の調度前あたりにゴルフボールがあるとイメージしてください。
この 「ゴルフボール@ “仙骨前” 」のイメージを持ち続けることは、実際のスポーツシーンや日常動作で後々とても大切な要素となります!
ゴルフボールが立体的に動く
下っ腹の奥、仙骨のちょうど前に位置するゴルフボール、それが人間のおおよその重心位置となります。
スクワットをするとき人の重心(ゴルフボール)は真下に動くのではありません!
実はその重心が立体的、つまり斜め後方に移動しながら下に向かう(下がる)のです!
ここでちょっとチャレンジしてみましょう!
まずは下腹部奥にゴルフボールをセット(意識するだけ!実際には置かないよ)
①´スクワットの前にどんな動きをしたいのか?をイメージ(詳細後述)
①両足は肩幅に、骨盤を今より10°前傾!
②両手はそれぞれの鼠径部あたりにあてておく
③ゴルフボールを最初は斜め後方へ!動いてきたら下方向へ動かす
④膝ではなく股関節がちょうどいい具合に曲るので適当なところでストップ
④’両肘を張ってるので動作中は脇を締めておく
⑤立ち上がる時は③とは逆:ゴルフボールを斜め前方へ!動いてきたら上方向に動かす
⑥骨盤の前傾は崩さずに!膝が完全に伸びて体にシャキッとする感覚がある
はい!これでもうあなたのスクワットは完璧!
というか動作よりむしろ、動かす感覚に気がいって「この動きおもしれぇ!」となってきたはずです。
その他なんか注意する点
あとは知っておくと役立つポイントを少々!
重心を下げていくときに間接視野で親指と人差し指あたりの指先がみえれば膝がしらの位置がつま先より前にでません!
重心を後斜め下へ下げると同時に脇が絞れているか?
ゴルフボール、というか重心は思った程下げなくても大丈夫!
例えばゴルフのドライバーショットでバックスイングを心持ち抑えるのと同じ感覚
*モディファイド・スクワット
重心を “下げきらず” にストップ!
体が後方に倒れるのを防ぐため、上体が少しだけ前屈み気味になります。
脇を締めた状態でさらにその前屈み角度を深くする!
その状態で前に倒したり元に戻したりを3~5回繰り返す(ちょうど深く曲げた時がスキー・ジャンプの助走の形に似ているかも)。
前屈みが深くなるとハムストリング(腿裏筋)がさらに伸びる感じ!その感覚なら最高!
スクワット動作がさらに面白くなるはずです!(^^)!
ロック&アンロック
重心、あっ、いや!ゴルフボールを斜め前上方にあげて両足立ちのスタートポジションに戻ったらさらに膝を伸ばしきる(骨盤の前傾位は崩さずに内腿を絞る感じ)!
膝にロックがかかる(膝関節伸展位:0°)と同時に体に一度芯が通る感覚。こうなるとピチッと姿勢が安定します。
このように立位姿勢のスタートポジションから一度股関節のロックを解除(アンロック)しスクワット(重心を下げる)、スタートポジションに戻って再度ロック、この繰り返しです。
「ポジション⇒アンロック⇒下げる⇒静止⇒上げる⇒ロック⇒ポジション」
というサイクル、切り替え時のメリハリをつけると筋肉や腱に思い通りに力を伝達しやすくなり、より融通の利く動きを可能にします!(^^)!
スクワットが役立つ瞬間

動く直前に床面から力をもらう!
スクワットのやり方や注意事項は山ほどみかけますが、スポーツパフォーマンスや日常動作をどのように高めるものか!その具体的な状況を記した内容は見当たりません!
ということでスクワットが役立つスポーツ・日常の瞬間を観てみましょう!
加減速と方向転換・移動
スクワットが最も役立つ瞬間はスポーツや日常でも体を動かす中で沢山あります。中でもストップ&ゴーや方向転換直前の踏ん張る瞬間です。
ストップ&ゴーつまり加速と減速の切り替え時には、間違いなく両脚または動作状況により片脚や8:2/7:3の荷重割合で踏ん張る能力が求められます。
方向を急に変える場合もその直前に、ほとんど両脚か左右どちらかの脚を主として踏ん張った直後に方向を変えます。
こうした動作の切り替え時に股関節のアンロック&ロック作用と直後に起こる筋肉の収縮・弛緩が繰り返されます。
踏ん張る力を発揮できない場合、スピードや方向の変化が曖昧になり、アスリートは競技パフォーマンスに致命的な悪影響を及ぼしかねませんし、日常生活では腰を痛めるなのでケガにつながります。
サッカー・ラグビー・バスケット・ハンドボール等の対人競技やバレーボール等のジャンプ、さらにゴルフ・テニス等といった体重移動に重きをおくスポーツで特にこうした切り替えの妙が重要となります。
踏ん張る力で反発力、ケリでバランス

骨盤と脊柱が地面を蹴った反発力に負けて後傾&曲がる⇒力が分散
さらにスプリント(短距離)や中・長距離、そしてスイミングでも踏ん張る力は必要です。
走る時は体重の数倍もの力で地面を蹴り、その反発力を得て進みたい方向に体を移動します。
その地面反力(自分の重さ)に耐えられる体をつくる、またはそうした反発の感覚を得るためにスクワットは欠かせないツールです。
重心を上げ下げすることで足裏や股関節にかかる圧の変化を感じながら、姿勢が変わるとボディパーツにかかる重さの配分も変わってきます。
スイミングではスタート、そしてターンで台や壁を蹴る動作が踏ん張る力に相当します。
動かない地面や壁、台に体重を瞬間的に加えることで反発力をもらった結果、体が前に進むのです。
この時各々の関節や筋長が理想的な角度・長さとなり体全体で筋肉が最も力を発揮しやすい感覚を予めつくっておくこと。
これがスクワットの最も重要な動きの感覚です。動かぬものに力を加えて体に一瞬だけ力を込めると進みたい方向に勢いよく進んでくれるのです。
この感覚を掴むためにはスクワットのような地面に足裏をつけて荷重し踏ん張る作業がとても重要なわけですね。
どんな動きをしたいか!をイメージしながら
スクワットをするのと同時に!いやっ、その直前にどんな動きを実現したいのかを頭の中でしっかりとイメージしましょう!(やりかた①´のこと)
だれもこんな考えでスクワットをする人はいないでしょうが、実はこのイメージ(思考)を膨らませてから行うことがあなたにとっての “史上最高” のスクワットに変わるのです。
例えば100mを走る時に30mまではガシッ!ガシッ!と足裏でトラック(地面)を蹴りますが、その時を想像してみましょう!
バスケットでディフェンスを振り払うときにまず左にカットインしたとき、床面に左足をガツンとしっかりついてから右へのステップインをイメージしてみましょう!
こうしたイメージの具体化なしになんとなくやってしまうようなら、あなたが行うスクワットの効果は大したことはないといえるでしょう。
スクワット:本当の価値

脇をしめる必要あり!
他にも様々な足(脚)腰を鍛えるワークアウトはあるにもかかわらず、スクワットはなぜこれほど重要なのでしょう?
それはスクワットの地面に足(裏)をつけて動くという特性が大きく関係しています。
CKCをフル活用!
CKCとはクローズド・キネティック・チェーン(Closed Kinetic Chain:閉鎖性運動連鎖)の略で、足や手が地面に着いたり・固定されている状態での運動をいいます。
例えば同じ足の運動であるレッグエクステンションとスクワットを比べてみると面白いことがわかります。
両者とも脚を鍛える運動に違いありませんがスクワットはより汎用性が高く、より実践に近い動きなのです。
なぜなら人間は両足または片足と必ず足を地面について、そして体を踏ん張って(動く力を溜めた上で)力を出しています。
つまり(片)足を地面について体を操作するスクワットは、より(スポーツであれ日常であれ)運動に適した動作といって差し支えないわけです。
「レッグ・エクステンション」は【脚】を名前に使いますが、スクワットに【脚】の文字がないことからもわかる通り、前者は脚をメインに!後者は「しゃがむ」という動作に使われる筋を鍛える(刺激する)という意味を含んでいます。
だからエクステンション等のOKC(オープン・キネティック・チェーン)運動はメインではなく、あくまでサブメニューとして捉えることが賢明でしょう。
力が生まれる環境
人が力を発揮するには、体の一部が地面(床面)に着いていなくてはなりません。
地面に足がついていれば、その蹴る力と同じ反発力(反作用)が生まれ、それが動くための速度や勢いになります。
身体が空中に浮いたままではいくら何をしようとも動きを生み出す力(エネルギー)は生まれないのです。
地面と接触する足(手でもいいけど・・・)を介して体は各関節・筋肉・腱やエネルギーの通り道となる体幹部とつながり“踏ん張る”感覚が生まれます。
地球を押して力をもらう!?
スクワットはこういった “地球” を介した踏ん張る力を上半身と下半身、骨盤と脚、体幹と骨盤といった各々のパーツ同士をしっかりと繋ぐ重要な“接着剤” なのです!
いうならば我々人間は地球から力(エネルギー)をもらっている!だから人が発揮できる力というのは、どれだけ地球に対して力を出せたかで決まります。
地球に力を加えるには体に一本の“芯”(まわりの組織が動くための“軸”といってもいいかも)をつくることが重要で、そのスクワットもそのための手段に過ぎません。
とはいえウェイト(重り)を使わず日常でできる自重スクワットなら「いつでも!どこでも!わずかに空いた時間でできることを考えるとその有効性は計り知れません!
面白くなるその動き!スクワットの奥深さを覗いた時にその本当に引きつけられる魅力を体感できることでしょう!(^^)!
まとめ:

感じる部分を増やしていくと面白さ倍増!
筋肉・腱・膜等やその他組織の微細な動きを感じれると、スクワットが100倍面白くなるんです!
股関節を優先的に曲げるため、体にFAPTA(機能的骨盤前傾操作)の準備を整えましょう!
ガシっと股関節にのる感覚が生まれ、下腹部奥のゴルフボールが安定すればスクワットで体にムチが入る瞬間を感じられます!
ハムストリングの鼓動が感じるほどの“伸び”・下腹部奥のゴルフボール位置で中軸を意識・股関節にガシっとのった時の安定感・ケツ筋達がおしくらまんじゅう状態etc、感じとれると面白いことばかりです!(^^)!
TM鈴木