とあるTV番組で100m日本記録保持者に小・中学生のジュニアスプリンター達が挑むという企画がありました。
【2020TOKYO】に向けてオリンピックムードが盛り上がる中、こうした番組は世間の注目を浴びて視聴率も好調のようです。
ただ彼女たちの動きをみてどうしてもその腕振りが気になってきになって(>_<)、プラスに転じにくいその腕振りの原因が実は○○にあるのにそれを知り得ないなんて・・・。
そこで走動作における腕振りについて、独自の視点から検証してみようと思ったのであります(^_^)
脊柱の “しなり” を生み出し走りの勢いを維持する意味において、上手な腕振りの必要性をさらに感じていただければ嬉しいのですが!(^^)!
Contents
腕振りの理想形
image1:
上手な腕振りが速さに繋がる!?
多くの専門家や経験者がメディアやネット等で腕振りの重要性を説いているので、今さら議論の余地はないでしょう。
なぜ大切なのか?というその重要性よりも、TM鈴木が考える腕振り(アームスイング)の理想形について確認してみましょう。
前は折りたたむ&後ろは引く
まずは下記の映像をご覧ください!
いわずと知れたウサイン・ボルト選手の練習の一場面です。
movie1:
https://goo.gl/gAznxF
途中からスローモーションになるので腕振りの方向や角度と、その大きさがよくわかると思います。
スゴッ!
そりゃぁ、その振り方なら速いよなぁ!と感心しきりなのであります(*_*)
動作を観るかぎり「腕を前に振る」という感覚はまったくないようで、どちらかといえば前方に動かす際はその長い腕を折りたたんじゃってます。
コンパクトに折りたたむから前に腕が振り出されるということは他の選手と比べてもそんなにありません。
逆に後方は肘で(リード気味に)引く感覚が強いようで、その証拠にバックスイングの最終局面で肘が直角になり、上腕が地面と平行になるまで上がります。
トップスプリンターの多くはボルト選手と同様のエルボー・ハイ・バック(Elbow High Back Swing)がほとんどで、それが世界の主流といってもいいでしょう。
ただボルト選手のその長い腕を振る技術は特に傑出しており、実際に非常に力感があってさらに実に上手く操作して走力(スピード)に反映させています。
そこがまさにスゴ技!なところです(^_^)
からだの裏側が働きやすい動き
image2:
scapular float technique
肩甲骨を動かすための骨盤傾斜角に注目
スプリント動作における腕振りの優位性は多くの選手や指導者も認めているところでしょうが、実際に理想的な振り方にすることはそう簡単ではありません。
腕の後方への引きが鋭く大きくなれば、同側脚の爆発的な前方推進力が高まる反射作用で脚がグン!と前に振り出せます。
右腕をダイナミック且つシャープに後方へ引けば同側である右脚が反射的に前に振り出しやすくなるというわけです。
もちろん誰でもがそうなるわけではありません!
腕の引きを左右するのが体幹部の活発な動きであり、そのためには脊柱の大きなしなり動作と肩甲骨のダイナミック動きが連鎖的に繋がる必要があるのです。
特にボルト選手はバックスイングの際、腕を大きく後方に一旦引いてから瞬間的に肘を直角にたたむ方向にシフトするという複雑な動きをしています。
この辺りはボルト選手の腕振りが他のトップ選手と比べても格段に繊細で、ダイナミック且つパワフルになる要因のひとつと言えるでしょう。
理想的な腕振りには理想の姿勢が!
image3:
姿勢が走り(速さ)を決める!?
さて、そんな腕振りのテクニックを踏まえて先のTV番組での対決に話を戻しましょう。
誰か!?にそっくりの○○○君人形と競い合い、最も速かった選手が日本記録保持者:福島千里選手に挑戦するというこの企画、挑戦者達は小学校高学年~中3までの女子選手達。
負けるより残念!工夫のみえない腕振り
この腕振り技術についてもっと気を配ることができれば、さらに記録を縮める可能性があったかもしれませんが、そこに目を向けなかったのはなんとも残念な気がします。
挑戦者全員に言えることですが、前に振る意識はあっても後方に鋭く大きくスイングするというイメージで走れる選手はいませんでした。
それもそのはずで彼女達には理想の腕振りを実現できるだけの姿勢維持が欠けていたのです。
因みに観る人がみれば、理想の姿勢かどうかはウエアの着方・履き方、そして動き方ですぐわかるものです。
仮に後方へ振れたとしても、前で腕をコンパクトにたたむことは一層難しく、ジュニアスプリンター達にとって腕振りはそれだけ高度な技術といえるでしょう。
ボルト選手を含む世界のトップ達のような腕振りのためには、理想的な姿勢の維持が絶対条件なのです。
理想的な腕振りを可能にする骨盤前傾角
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黒人スプリンターの骨盤傾斜角に近づける
後方へのダイナミックな腕振りには肩甲骨の大きな動き(可動域)が不可欠であり、関節と筋肉を通じて繋がる脊柱が若い竹のような“しなり”を生み出すことで可能にしています。
その “しなり” は骨盤が前傾し脊柱のS字カーブ(生理的彎曲)が大きくなることで生まれ、湾曲具合は骨盤前傾位が大きいネグロイド人種が先天的に絶対有利だと言われます。
ボルト選手がなぜこれほど速いのか?なぜ黒人スプリンターが短距離で絶対的に有利なのかはこの脊柱の動きによるところが大きいのです。
こうした身体的優位性を持つ世界のトップ達はその腕振りも確かに技術的に突出しています。
しかしそれを可能にするのが前方に極度に傾く骨盤傾斜角であり、そのもたらされた先天的才能によってチーターのように “しなり・たわみ” を生む体幹から腕や脚に最大スピードを伝達するエネルギーが放出されるのです。
movie2:
https://goo.gl/aBn5Bo
腕振りと体幹の伸び縮みに注目!
腕振りはある意味スプリント技術ですが、その技術を高めるための体や動きをきちんと理解することが今回のTV番組を観ていて強く感じました。
彼女達がトップスプリンターに必要な姿勢(体の構え方・立ち方・動き方)の重要性を知っていたら・・・、と思うと残念でなりません。
明らかに違う!トップスプリンターの姿勢
はやく走るためには(=体を思った通りに動かすためには)、それに見合った理想的な姿勢というものが必要なのです。
それなのに・・・、それなのに!ですよ、その大切な事に気付かないでいるなんて・・・、とんでもなく悲しいことではありませんか!
この姿勢についてはジュニア選手だけでなく、日本の多くのアスリートに欠落している部分でもあります。
ボルト選手を含む世界のトップスプリンターで「ん?この姿勢ってどうなの?」という選手はだれもいないでしょ!
走るためのその姿勢について、日本人選手の誰一人として世界と戦う彼ら(彼女ら)の真似をしてみよう!等という発想がないことも非常に残念なことです。
自分と違う立ち姿・自分と違うお尻の高さ、それでいて抜群に速い!、ならどうやったらそうなるのか?ちょっと真似てみよう!とかいう発想があったっていいじゃないですか!
常識に捉われない発想の転換を!
人と同じこと(練習)をしていては所詮同じレベル止まりなのですから、違ったことにチャレンジする姿勢にこそ価値があるんじゃなのかな!とTM鈴木は考えちゃうわけです。
目の向け方や視点を変えたり自分にはなかったものを学んだり、または新たな考え方から革新的な変化が生まれ、それがトレーニングにも反映されて走り(動き)って変わるものなんです。
そうした考え方があればあなた自身のゴールやその方向性もビシッ!と決まり、速く走ることに見合った動きや速くなるための腕振りが可能になることを知って欲しいですね。
人とは違った目を持つ、あるいは今の常識とは違ったところに目を向けてみることが一歩先に踏み出せる秘訣だとTM鈴木は思うのですが、あなたはどう思いますか?
ゴールは2020ではなく、その先のあなたの思考や今持つ常識への見方が変わった時!ではないのでしょうかね(^_^)
人とはちょっと違った視点、そして非常識でも「これっ、おもしろっ!」っていう発想でトップにチャレンジしたい方はこちらにご連絡を!(^^)!
まとめ
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世界トップは腕振りも一流
TVのスポーツ企画で実現した女子ジュニア・スプリンターと○○○君対決、勝敗よりも気になった彼女たちの腕振りについてフォーカスしました。
腕振りはれっきとしたスプリント技術ですが、そこには体の仕組みや動くためのメカニズムが大きく関わっていることを残念ながらジュニアたちは知りません。
トップスプリンターたちの腕振りは、速く走りための理想的な姿勢から成り立っていることを理解し、常識に捉われず柔軟な思考や発想に目を向けることが重要でしょう。
2020Tokyoに向けて何かとざわつくスポーツ界ですが、もっと先を見据え非常識な方法や理論であっても貪欲にチャレンジするような精神を持ち合せたアスリートがでてきてくれることを願ってやみません!
そうした選手の育成をTM鈴木は目指しています!(^^)!
TM鈴木