【疾風の如く】黒人スプリンターは深部筋群をどう使うのか~前のめりになる程の骨盤前傾位角で足の踏み出しをイメージ!~

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前回は黒人アスリートが持つ骨盤の『前下方への傾き(前傾位)』に着目しました。

そして前傾位(APTA)にすることで得られる2つの黒人スプリンター特有動作について、トレーナーの視点でお伝えしました。

今回はいよいよAPTAがどういう感覚なのか、そしてどんなエクササイズから黒人スプリンター特有の動作を身に着けられるのかに迫ります!

研究、そして現場レベルでも速く走るために今迄まったく触れられていないポイントを含め紹介します。

骨盤の【傾き】に意識が向かうだけで動きは変わりますが、さらに走るときの維持に必要な要素を取り上げます。

あなた自身でその骨盤前傾位を体感しながら、同時に身体や動きの仕組みを深く知り、最終的に爆発的な前への推進力に繋げましょう!

私、TM鈴木が考案したこのアイディアを体感すればハイ・スピード・ランニングの見方が変わり、短距離・長距離関係なく走ることが今よりもっと楽しくなるはずです(^_^)。

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走りのメカニズムを探る

image1:

骨盤前傾位(APTA)の考え方

実際の角度はさらに大きくなる場合も!

黒人スプリンターの走りは我々日本人が持つ走りのメカニズムやその考え方と何かが違っているように感じます。

それこそがTM鈴木が骨盤前傾位(APTA)について調べるそもそものきっかけでした。

身体が自然と前に倒れる!?:[APTA]

image2:

放っておいても前に進んでくれる前傾角

まずは両足をそろえ肩幅に開いて骨盤前傾位(APT)にして立ってみましょう!

APTAだとその角度が大きくなればなる程、体は自然と前に倒れやすくなります。

足を1歩前に踏み出さないと体が前に倒れてしまう!

黒人の骨盤前傾位角(APTA)はこのくらいあるのです。

体が前に倒れやすいので腿を上げるという行為はそれ程重要ではありません。

なぜかと言えば腿を上げないと前に進む勢いをつけられない骨盤中間位(日本を含むアジア系人種に多い)に比べ、APTAならそれだけで前に倒れるようになっているからです。

むしろある程度あげた脚(腿)の力で倒れる前に、足裏を地面にしっかりと“叩きつける”ことが大切ということになります。

つまり黒人スプリンターは身体が倒れる前に(傾斜角が推進力を高める最高のタイミングで)足を速く前に振り出して(踏み出して)身体が倒れるのを防いでいるのです。

この感覚的動作を100mで言えば41~45歩程度(男子一流選手の場合)繰り返しています。

その大きな角度に日本人驚愕!

一方日本人はといえば体が前に倒れるという感覚はなく逆に腿を上げる意識が上回るため、その分前方へ進むための推力に反映されにくいのです。

黒人スプリンター:2)身体が前に深く傾く前に足を出すー3)出した足で地面をガツンと叩く

日本人スプリンター:1)腿を上げるー2)足を前に振り出すー3)出した足で地面をガツンと叩く

前への推進力があるので出した足は後方へ自然に流れるのはみな一緒です。

こうしてみると日本人スプリンターは黒人にくらべ 1) が多い分、余計な動作をしていると言えます。

この要因は骨盤の前斜め下方向への傾斜角が黒人スプリンターに比べて緩いことでしょう。

APTAの身体に感じる感覚は、身体が前に倒れる感じがあるか否かであり、日本人トップスプリンターが仮に経験すればきっと第一声はこんな感じかもしれません。

『えっ、こんなん(大きな前傾角)で走れるのっ!?』

腿を上げるけど“腿上げ”にはならない!?

黒人スプリンターの走りは日本人スプリンターと違い、走るとき腿はあげていますが“腿上げ”にはなっていません!

いわゆる日本人が行う“腿上げ”にはならない、つまり腿を上げるために逆側の上肢と骨盤が折れ曲がることがないのです。

image3:

腿上げをしても逆側のAPTAは維持されている

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腿上げに意識がいき過ぎ逆側のAPTAが崩れる

この股関節を介した上半身・下半身の屈曲角がでてしまうと速くはなりません。

腿上げをすればするほど腿は高くあがりますが、その分(横から観た)特に逆側の上肢と骨盤の真っ直ぐなラインは崩れ股関節を起点に(折れ)曲がる状態となります。

これは速く走るための推力を得るにはマイナスの姿勢であり、腿上げの悪影響ともいえるでしょう。

腿上げを意識せずに腿を上げようとしても、骨盤前傾位(APTA)だと腿はある一定以上は上がりません。

注目すべきは力強く前に振り出せる力

出典:https://goo.gl/M88mnN

黒人スプリンターはまさしくこれで、前への推力に直接関わらないため(腿上げは地面の反発力を得やすくし歩幅を広げる助けとなる)そこにフォーカスはしていません。

骨盤と大腿骨を結ぶ股関節の骨格形状により、骨盤を前傾位にすると腿は高く上がらない仕組みになっており、従って“腿上げ”はできない(しない)のです。

実はこの一定の高さより上がらないという股関節の機能的形状を利用したことで、“腿上げ”という一種の無駄な練習から、走るために[腿を上げる]という重要な行為に変える効果があるのです。

腿をあげることをそれ程意識せずAPTAで自然に(ある程度勢いよく)あがる状態であれば、あとは身体が自然と前に倒れるのを防ぐため、とにかく足を一歩前に力強く踏み出し体を支持することに視点がいくはずです。

実はこの行為こそが黒人スプリンターが最も重要視する要素であり、足を力強く前に踏み出す(振り出す)ことで地面を叩く意識が高まり、APTAで大きく伸ばされている大腰筋の能力(以下に後述)も最大限発揮されるというわけです。

『速く走れる体の使い方』まったく新しい方法を試してみては?~黒人アスリートの骨盤傾斜角に近づき推進力アップを狙う~
前回は『速く走るコツ』を掴むための3要素「姿勢・腕振り・ピッチ&ストライド」について、トレーナーの視点を中心にお伝えしました。 今回は...

先天的優位性と坂道ダッシュ

image5:

坂道ダッシュはAPTAで実施

ジャマイカ選手の速さの秘密でヤムイモ効果等と謳っているものもありますが、その中にチームで行う坂道ダッシュが効果的との報告もありました。

筋発揮特性を考えた坂道ダッシュを!

少なくとも黒人とそれ以外の人種が行う坂道ダッシュには骨格上の大きな違いがあります。

大きなAPTAの黒人スプリンターは坂道ダッシュの際、ハムストリング・臀筋群・(上/下)背筋群をしっかりと使えるようにできています。

APTAで放っておいても前に倒れる感覚がある黒人スプリンターにとって、いわゆる“腿上げ”の感覚で坂道を走るというイメージを持つことはありません。

彼ら/彼女らは元々生まれながらにしてAPTAが大きいため、いつもその角度(日本人よりも5~10°程大きい)で日常を過ごします。

だからわざわざ傾斜角を意識(イメージ)して練習をする(例え坂道ダッシュであろうと・・・)必要もないのです。

それが先天的な優位性というものです。

APTAがそれ程でもない、むしろ中間位の傾斜角に近い日本人スプリンターは身体の裏側を(黒人スプリンターに比べ)上手に使うことができません。

骨格特性(APTか否か)によって坂道ダッシュで特定筋肉の働き方や発達度合が違ってくる!

それを理解していればAPTAを維持して走ることや、その指導を積極的に実践する等の工夫をするはずですが、TM鈴木が知る限りそうした工夫をしている現場関係者は見当たりません。

坂道ダッシュは骨格特性、特に骨盤の傾斜角を考慮して行うべきなのです。

そうでなければ、坂道で走る効果は満足いくものとはならないでしょう。

APTAと深部筋群の関係

出典:https://goo.gl/Qwje5L;こんなふうに上手くは伸びませんけど・・・

大腰筋は骨盤を介して上半身(腰椎)と下半身(大腿骨近位部)を繋いでいる唯一の筋肉です。

この筋肉が働かなくなると上半身と下半身の動きにバラツキが生まれ、いわゆる軸(焼き鳥の串のような)のない動きになってしまうのです。

大腰筋の【踏ん張る】能力

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大腰筋発揮能力アップ

片足で踏ん張って安定する力

大腰筋は様々な役割がありますが最も重要なのは、片脚で身体をしっかりと支えつつバランスをとりながら【踏ん張る】能力です。

歩行も走行も片脚で体重を支持する立脚期というのが必ず左右交互に繰り返されます。

その時に地面をしっかりと踏みつけて(踏ん張って)身体を支えることに大腰筋は大きく貢献しています。

加齢によって大腰筋は徐々にその長さが短くなるし、逆に若年層では伸びきったまま収縮能力だけが衰えるといった状態にも陥ります。

前者では骨盤後傾位から背中が丸くなり、後者では過度の前傾位により腰の反りが顕著で腰痛を併発する可能性が高くなってしまいます。

大腰筋が最大限働く(縮む)ためには最大限伸びることが重要です。

その伸びは骨盤の角度を前下方に変えていくことで、[ヘソの両側が縦に鼠径部付近までギューッと伸びる]感覚で理解できるでしょう。

大腰筋アイソレーション

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大腰筋アイソレーション

しっかりとその筋肉を中心に伸ばす

ボディ・コンディショニング・ピラー『ツブツブ』を使用した大腰筋のアイソレーション・ストレッチングテクニックです。

ツブツブをPSISよりわずかに下に置いての脱力状態でアイソレーション(独立)させて伸ばしています。

【ツブツブ】って何?
【ツブツブ】とはプロアスレチックトレーナーであるTM鈴木みずから考案・開発し販売までを手掛ける [セルフ・ボディメンテナンス(ボディコ...

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一般的な大腰筋ストレッチ

大腰筋を伸ばすというより下腹部全体を伸ばすのに効果的です。

骨格筋は収縮する能力もっていて、以下の条件を満たせばしっかりと働いてくれます。

その条件とは

『(骨格筋が)最大限に縮むためには、最大限伸ばす必要がある』

です。

大腰筋の特徴:伸ばされながら力を発揮

出典:https://goo.gl/Qwje5L

大腰筋はハムストリングや臀筋群と共に伸ばされながら張力(筋の強さ)を発揮します。

どちらかと言えばすこし特殊な!?筋肉で、伸びを感じている状態で力を発揮させないとしっかりと働いてくれません。

逆にこの伸ばしを体感できる状態がAPTAであり、その状態以外(例:骨盤中間位・後傾位)だと大腰筋はしっかりと力を発揮してくれないのです。

黒人スプリンターの大腰筋断面積がなぜ日本人の2~3倍あるのか?を考えると理解できるかもしれません。

APTAで常に大腰筋を最大(近く)に伸ばしながら張力を発揮、つまりたくさん使われている!というわけです。

大腰筋が最大伸展位になるタイミングは骨盤の前傾角が大きく、且つ丁度上半身と下半身が横から見てカーブを描いてしなっている位置(image 3参照)です。

それは足を地面に着いてから僅かに後方に蹴り出したポイントに相当します。

機能的な大腰筋はその位置から瞬時に収縮し同側の腸骨(骨盤)を介して脚をスムース且つパワフルな前方振出しのエネルギーに変えていきます。

骨盤前傾位角(APTA)が大きい程、前回内容の[IDM-LFS]や[コッコ走り]等の動作特性が際立ちます。

さらに脊柱のしなやかな動きと肩甲骨も連動させ、地面で得た反発力(弾性エネルギー)をロスなく腕の振りや姿勢制御にも使いやすくできるというプラスの効果を高めています。

まとめ

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黒人スプリンターの速さの秘密はここ!

黒人スプリンターの走りの基礎は立っていれば自然に倒れてしまう程のATPA(骨盤前傾位角)での身体操作です。

そして倒れる前に足を素早く前に踏み出して支持することが次の動作の推進力に繋がります。

なぜAPTAを維持して走るのか?

それは背中側や体幹部の深部筋群を使いやすくし、動く際の推力を高めるためです。

つまり力強く素速い動作に繋がるというわけです。

黒人スプリンターのこうした身体特性と走りの感覚を身に付けることが速く走ることに直接繋がります!

だから私、TM鈴木はこうした黒人アスリートの走る感覚やメカニズムを自らのライフワークとして新たな操作性の良い動きの探究に生かしたいと考えています。

こうした走りの感覚を身に付けたいアスリート、そしてこのアイディアを指導に生かしたいコーチの方々、是非チャレンジをお待ちしています。

体験や詳細はこちらまで。

TM鈴木
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