走りの話をするときに「着地が大事!」というと、だいたいの人達の頭には「?」マークが3つくらい浮かぶようです。
例えば100mでいうと、45~48歩程の歩数で左右24回程足が地面につくときのこと、このアクションを着地(ランディング:landing)と呼びます。
この着地感覚に気を配れると走りは大きく変わりますが、そのためには骨盤を前傾させて脊柱のしなりが大きくなる【機能的】骨盤前傾位(FAPTA)を身に付けておく必要があります。
「走り」「着地感覚」「機能的骨盤前傾位」という一見すると関係ないキーワードですが、実は動きの仕組みを観ていくとどれもお互いに深く関係しています。
目からウロコ・・・!的なストーリーの奥深さに触れてみれば、あなた自身や我が子の走りを高めるヒントがでてくるはずです!(^^)!
Contents
走りの視点を変える!?

体重の4倍の衝撃力を片脚で支えられる?
速く走るためにどこにポイントを置くべきでしょうか?脚をしっかりあげる?腕を大きく素早く振る?「ボールがポーンポーンと前に弾むイメージで!」等と言われるかもしれません。
そうした教えは決して間違いではありませんが、人の体と動きの仕組みを理解している側からすると、少し違う方向に目を向けることでさらに大きな飛躍が期待できます。
地面反力をコントロール

片脚支持で股関節が耐えられず骨盤が後傾気味に変化
例えば100mだとトップスピードになれば着地で地面反力(地面をけったときの衝撃力)が体重の約4倍にもなり、その衝撃が走行中約45~46回、身体に加わるため、プロのトップスプリンターでさえその衝撃(地面反力)に耐えることは容易ではありません。
この大きな地面反力によって片脚で体を支えることは難しくなり、荷重に耐えらなくなった骨盤が股関節を介し一瞬後傾気味になる(上記画像)、これが地面反力に対抗できていない状態で、エネルギーロスは発生し速度が伸びない大きな要因です。
着地が大切!着地に気を配るというのは、この衝撃力の消失を最大限に抑えるため、【機能的】骨盤前傾位(FAPTA)というTM鈴木オリジナルの操作技術で着地のストレスに負けない状態を維持するという意味なのです。

骨盤前傾をして尚機能が高まるFAPTA!
FAPTAを身に付けることで、身体に加わる地面反力を弾性エネルギー(はずむ力)を高めて反発させることが可能です。
反発の役割を担うのは主に①アキレス腱・②膝蓋腱ですが、実は③ハムストリング(特に近位筋腱移行部)にも“バネ”の作用があり、特に黒人アスリートはこの筋肉を上手に素早く短縮させることで前への推進力を大幅に高めているのです。
日本人は黒人アスリートに比べ①・②のバネ作用も何割か低いのですが、最も大きな違いはハムストリングを“バネ”として使えない状態で走ることにあります。
バネ作用を高める

お尻近くの黄色部分が筋腱移行部
速く走るには①アキレス腱・②膝蓋腱・③ハムストリング近位端という脚の3ヶ所で弾性エネルギー(反発力)を高める必要があり、中でもTM鈴木が拘りたいのは③のハムストリングとFAPTAの相性です。
ハムストリング近位端(座骨付近)には先のアキレス腱や膝蓋腱のように明らかに長く強い“バネ”(=腱)は存在しませんが、筋全体でバネ作用の役割を担うという特殊な構造があります。
伸びるという特性を目一杯生かすことで①や②にはない強力なバネ作用をもたらすハムストリング、その限界値は意外にも低値で肉離れ等の故障が起きやすい要因といわれます。
ハムストリングの性能を最大限に引き出すためには、その拮抗筋*1)である大腰筋が十分伸びる状態にする必要があります。
大腰筋もハムストリングと同様、最大限に伸びた状態でしかまともに働かないという特殊性を持ち、特に日本人は黒人アスリートと違い骨盤傾斜角が大きくないので、この筋肉が驚く程使われにくいのです。
着地に目を向けるには?

ランディング・センスとは?
ズバリ!着地では衝撃を吸収するより反発させる(弾性エネルギーを高める)ことにフォーカスする必要があり、前に弾みながら進むという感覚はそこから生まれます。
そこで大切なのが大腰筋とその拮抗筋であるハムストリングを伸ばした状態にして地面を踏み込むというランディング・センス(着地感覚)です。
着地に気を配れない要因

おへその両脇~鼠径部にかけて縦へ伸ばす意識
FAPTA【機能的】骨盤前傾位において互いに伸び合う大腰筋とハムストリング、その感覚で最もイメージしやすいのが下腹部から鼠経部(そけいぶ)にかけてを伸ばせることでしょう。
FAPTAが身についてくると、おヘソより下、鼠径部までの左右縦ラインがグ~ンと伸びる感覚、同時に骨盤を成す左右PSIS(上後腸骨棘)から下背部にかけてがギュッと縮む感覚です。
骨盤は股関節を中心軸として前斜め下方(または後斜め下方)に傾斜するのですが、その動きをコントロールしているのが大腰筋(前方)とハムストリング(後方)の拮抗作用です。
つまりこの大腰筋とハムストリングが良く伸びる状態を創り上げることがFAPTAを身に付ける第一歩であり、FAPTA感覚が着地で体重の4倍となる衝撃力に対抗する唯一の方法なのです。
日本人アスリートはアキレス腱や膝蓋腱のバネなら黒人アスリートにも対抗しえる素材・逸材は徐々に増えています。
しかし黒人アスリートのような着地感覚でハムストリングをバネのように使える人材はまだまだ皆無であり、そこが世界水準に達しない大きな要因(歴代9秒台:ジャマイカ12人 vs 日本1人)と考えられます。
大腰筋・ハムストリングの伸びを体感できる!
セルフ・ボディコンディショニング・ピラー【ツブツブ】にフォーカス!
着地感覚を得る方法
ランディング・センスを高めるためにFAPTAを身に付けてみましょう!黒人(アスリート)の専売特許である骨盤の大きな傾斜角(35~40度前後の平均値)、身に付けるには普段の動作に加え、走動作への落とし込みが必須です。
FAPTAなら股関節に体重がのる(荷重する)というイメージが身につき、弾性エネルギーを生み出すハムストリングの伸びやその拮抗作用を促す大腰筋の働きを積極的に高め、体重の4倍ともいわれる地面から受ける衝撃に反発し片脚で体をしっかり支えることが可能です。
ランディング・センス、つまり着地感覚は黒人アスリートのような骨盤傾斜角でしか育まれないため、その角度が小さい日本人に【機能的】骨盤前傾位は極めて必須のカラダ操作技術といえるでしょう。
まずはランディング・センスを磨く方法『つま先ガッツーン!」を試してみましょう!

FAPTAをイメージして脚を振り出す

つま先裏で地面を蹴るが、股関節から曲がらないこと!
普段より少しだけ骨盤傾斜角を大きくした状態で歩きますが、画像のように一歩毎に腿を少しだけ引き上げて(引き上げたことで大きくした骨盤前傾角が変わらないように中止しながら!)足を振り出しつま先で地面をガッツーンと蹴り出しながら前に進みます。
地面に対しガッツーンとつま先をブチ当てる感覚で、その時地面にブチ当てた衝撃(反発作用)で一直性になる体のラインが崩れない(丸くならない)ようにするため【機能的】骨盤前傾位のイメージが大切なのです。
わかりやすく!では身につかない
世のかけっこ教室やレッスンで多いのが、受講生(多くは子供達)にわかりやすい説明とやさしい指導法です。
もちろんビジネスとして成立するものだから、顧客満足度を高めるためには必要な要素かもしれませんが、そうしたわかりやすい言葉だけで絶対的な速さが身につくかと言えば決してそうとはなりません。
走りで大切なことは、見た目に簡単な動作でもなければイメージのわく簡易な説明でもなく、自分で深く考え試行(思考)錯誤を繰り返した結果身につく考え方なのです。
着地感覚や【機能的】骨盤前傾位、その奥深さを知ってみれば自身の今迄持っていた走りの感覚が180度変わり新たな情報を受け入れる器が育まれるはずです!
黒人アスリートに比べ大幅に働きにくい日本人のハムストリング(“バネ”作用)と拮抗する大腰筋、しっかりと働かせるにはFAPTAという常識を超えた考え方を参考にしてみることも大切なのかもしれません。
まとめ:

地面反力に負けない反発力を!
速く走るには走行中、着地(片脚でのランディング)毎に発生する体重の4倍もの負荷に負けない体の仕組みを創り上げることが必須です。
黒人アスリートは平均35~40度以上の骨盤前傾角によって着地で生じる衝撃力を、弾性エネルギーを高めることで反発力に変えています。
元々この大きな骨盤前傾角によって互いに拮抗する大腰筋とハムストリングがとても良く働き、反発性能を高めた走りが日本人を含めた他の人種にくらべて大きな利点となるのです。
日本人もTM鈴木が独自に開発した【機能的】骨盤前傾位(FAPTA)を身に付けることで、下腹部を十分伸ばした着地感覚が身につき、黒人アスリートと同じような反発力を得ることは可能でしょう。
FAPTAに魅力を感じ、みずからの走りを変えようとするあなた、我が子の走りに取り入れてみたいと考えるならTM鈴木にご相談ください!
FAPTAを通してあなたの走りは確実に磨かれていくはずです!(^^)!
TM鈴木

あなたにお伝えしたいこと!