泳ぎの技術と無限のスタミナで世界を制するスーパースイマー萩野公介選手:脊柱の伸びとしなりがもたらす確かな技術力

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子供が行っているスポーツで最も多いのはなにかわかりますか?複数回答で得られた結果ですが1位はスイミング、その割合は実に2位サッカーの3倍近くに達します。

TM鈴木の周りでもスイミングやってる子供達や経験者は沢山います。2人に1人くらいはスイミングをやってる、またはスイミングの経験がある程です。

競技人口が多い、つまり人気があるということはトップレベルの強さにも繋がっているようです。日本の競泳は世界の主要な大会でも非常に優秀な成績を残す程、その競技レベルは高いのです。

昨年のリオ・オリンピックで400m個人メドレーの金メダリスト萩野公介選手も子供の頃からその才能を発揮してきたひとりでしょう。

今回は萩野選手の速さの秘密をアスレチックトレーナーであるTM鈴木の目線で捉えてみましょう。さて、どんな特徴があるのでしょうか?

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萩野選手の身体特性

出典:www.aflo.com

TM鈴木は競泳経験はないので技術的なことは言えません。なので特にフリースタイルの泳ぎの各フェーズ(期)で萩野選手がどういった身体の使い方(筋力発揮)をしているのかを中心に解説しています。

体格は平凡だが・・・

萩野選手は177cm体重71kgです。ウイングスパンは???、こちらは記録がないのでわかりませんが、日本人の平均的な体格からすると身長と同等か若干(数㌢㍍)長い程度かなというくらいでしょう。

因みに水の怪物といわれたマイケル・フェルプス選手は身長6フィート4インチ(193cm)に対し、ウイングスパンは6フィート7インチ(200m)、WS/H値 *1)は1.036です。

*1) WS/H値:両腕を広げた際の長さ(ウイングスパン)/身長・・・身長辺りのウイングスパン値がわかり他人との比較が可能

フェルプス選手は身長に比べウイングスパンは約3.6%長いということになります。この点で萩野選手は身長や体重も含め(おそらくWS/H値も)体格ではフェルプス選手には到底及ばないでしょう。

パーソナルプロファイル

栃木県小山市出身の萩野選手は一時期父親の仕事の都合で愛知県名古屋市に移り住みましたが、そこのスイミングスクールで泳ぎの基礎を学んだということです。

名古屋から栃木に戻り、そこから街にあるスイミングスクールで育成コースに進み競泳の本格的な練習が始まりました。

作新学院に進学したあたりから全国的な知名度があがり、世界大会にも選出され日本でトップ争いをするようになりました。

その後は高校生でロンドンオリンピックを経験し銅メダルを獲得、昨年のリオ大会では400m個人メドレーで念願の金メダルに輝きました。

そんな競泳一筋の萩野選手ですが、SKE48の松井珠理奈さんの大ファンであり、共演がきっかけで一時期彼女だと誤報されたこともありその後そういった関係の浮いた噂は一切でていません。

東洋大学在学中で現在は日本初のプロスイマーとして新た活躍の場を広げつつ、2020年東京オリンピックでの複数種目金メダルを視野に泳ぐ技術に一層の磨きをかけています。

因みに耳にタコならぬ!?、目の上(まぶた)にゴーグルタコができる程の凄まじい練習量が現在の萩野選手の礎を築いたともっぱらの噂です。

速く泳ぐ“才”を秘めた骨盤

出典:https://goo.gl/BqIsJ9「アスリートの魂 競泳萩野公介」

NHK特集で萩野選手の泳ぎの秘密が明らかにされました。といってもこの内容についてはネット等で賛否両論あるようです。あくまで参考にしつつTM鈴木の視点を紹介します。

アスリートの魂 2015年4月23日 150423 内容:水の覇者になる 競泳 萩野公介 出演:萩原聖人

一流は身体と腕の伸びが違う!

萩野選手は右で息継ぎ(ブレス)をします。右側にローリング(約45度回転)するため左手の入水後は左腕の伸びのほうが右腕のそれよりも時間的にも若干長いようです。

それこそ「グーン!」という感じで水中を突き進む槍のように左腕を目一杯伸ばしています。左腕の伸びによって右での息継ぎ時間を十分確保しています。同時に左脚もしっかりと伸ばしてキックのしなりを生んでいます。

どちかかと言えば左脚のキックのほうがより強いように感じます。ただこれは右で息継ぎをするスイマー全体に言えることかもしれません。

手を入水させてからググッと前方にもうひと伸びさせ、しっかりと水を捉えて足元へ流す、特に左はそのひと伸びがより強いように感じます。

さらなる驚きは目一杯伸ばした腕を水の抵抗を生みながらも瞬時に身体の後方へ押しやっていることです。

腕だけではなく体全体で引き、さらに押し出していて体幹のブレを防ぎながらこの動作を行うだけでも非常に質の高い筋力発揮が要求されます。

手のかき方は両方ともS字ストロークですが左は若干ですがその搔き方が小さくみえます。以下の記事では左はI字ストロークと表現していますが、TM鈴木にはそうは見えませんでした。

NHK「アスリートの魂」で競泳の萩野公介選手が特集されていた。番組サイトによると: 2m近い大男がパワーで世界の覇権を握ってきた競泳界にあって、身長177cmの萩野公介選手は、無駄のない泳ぎで速さを身につけてきた。番組ではハイスピードカメラを駆使して速さの秘密を徹底分析。驚きの泳法を解き明かす。 前文はまったくその...

S字とI字ストロークの違いについてはこちらをご覧ください。

筑波大や東工大などの研究チームまとめる  クロール(自由形)で泳ぐ時の腕のかき方は、50〜100メートルの短距離なら直線的な「I字」が、中長距離なら曲線的な「S字」が有利との分析結果を、筑波大や東京工業大などの研究チームがまとめた。水をかく際に生じる渦の違いが、二つの泳法に推進力の差をもたらしているという。

驚く程のことではない!ただ経験していないだけ!

映像を観た専門家(確かどこぞの大学教授でスポーツバイオメカニクスが専門とか・・・)が以下のようなコメントを出していました

『すごいですねぇ、ボディポジション(体の位置)の高さがすごいですねぇ・・・、どうしたらこんなに高い位置をとれるんでしょうか・・・』。

『モーターボートのようなイメージですね。水の上に跳び上がって進んでいくような、そんなイメージですね』

あの映像を観ながらしかも専門家と称する人物のコメントを観たら確かにそう見えなくもありません。そして天下のNHKの番組ですから余計に信頼度も増したりして(^_^;)

実はある身体特性があれば萩野選手のように体の位置が高くなり水に乗っかる!?ことはそう難しいことではありません。研究者もその特性を自分で体験していればすぐにわかることなのですが・・・。

実際に身体を使って経験していなければわからないこともあるわけです。机上の計算ではなぜそうなるのかが分からなくても、現場でそうした身体の使い方をしてみれば自ずと理解できることなのですけどね。

研究とスポーツ現場でのギャップがこうしたところにあるといったところでしょうか。だからそのセンセイにはわからなかったのでしょう。

研究ではわかることもあるしわからないこともある、研究者はもっと自分で体験することの必要性を考えた方が良いかもしれません。

水に乗っかる泳ぎができるのは○○のお蔭!?

一部の一流アスリートに特徴的なことですが、萩野選手も従来の日本人に比べ骨盤前傾位の状態で身体操作ができるという特性を持っています。

水中で骨盤前傾位であれば脊柱の伸びしなりがより一層大きくなるため、肩甲骨の可動域が広がり、搔く腕と同側の上半身を最大限伸ばしながら入水すことができるのです。

因みに骨盤前傾すればするほどはるか頭上に腕を伸ばすことが可能です。身体の仕組み上、骨盤と脊柱と肩甲骨を支点とした腕の伸びは大きく関係しているからです。

骨盤前傾位であればあるほど体幹しなりが大きくなり、腕をグーンと伸ばしながら遥か彼方の頭上前方で水をキャッチし、いわゆる水の上に乗りかかるような泳ぎ方になるのです。

萩野選手の例がまさしくその典型でしょう。どちらかと言えば男性に多いフリースタイルの泳ぎ方と言えます。

かのマイケルフェルプス選手も良く見ると脊柱の伸び縮みを使って水面に乗っかるように泳いでいます。

上半身が上がれば下半身は沈む

前方(上半身)が上がれば後方(下半身)が下がるのはある意味当たり前です。上半身が水中から跳び出し水面に乗っかるようになれば、下半身は下がりそれだけ水中での時間が長くなるわけです。

下半身がより水中に沈みやすければ、それだけ時間的にも物理的にも水中での水を蹴る時間が長くなるわけです。ひと蹴りの時間が長ければ長い程前への推進力が高まるのも明らかです。

超強力なキック力を持ち味とする萩野選手はその能力を存分に生かした形で水中で水を蹴る時間を長くしていることになり、まさに理想的な水中姿勢と言えるでしょう。

逆に下半身の水中への沈み込みがない、水上をすべるような泳ぎでは足先が水面から出やすくなり、空キックが入ったりしてひと蹴りの時間が短くなり、推進力にマイナスの影響を及ぼす可能性もあります。

超一流アスリートは脊柱がしなる!

これは基本的なことですが、アスリートの基本は体の軸が良く動くことです。「えっ!?軸って動いちゃっていいの???」と思われるかもしれませんが、はい!動いてもいいんです!

ここで言う「軸」とは脊柱のことです。脊柱のしなりたわみがないと運動能力は著しく低下します。

仮に軸を真っ直ぐにして動かさないように身体を動かしたとしたら、そうじゃない時と比べてとても動きづらくなってしまいます。

萩野選手の強み

TM鈴木から観た萩野選手の身体特性について以下にまとめます。

①骨盤前傾による脊柱のしなりと伸び、さらに肩甲骨と腕の頭上への大きな伸び

②伸びた腕で水を捉える能力の高さ、さらにその機能を一定時間継続できる抜群のスタミナ

③より沈みやすい下半身のため水中でのひと蹴りが長くしかもそのキックが超強力

以上の3点が萩野選手に観る動きの特徴だとTM鈴木は考えます。

加えてもう一つ重要な点があります。

地上と水中、まったく違う身体操作感

一般的な言葉で言えば体幹ですが、もう少し突っ込んでみると上と下を繋ぐ能力の高いジョイント部分(つなぎ目)が他のアスリートとは違うと考えたほうがよりわかりやすいかもしれません。

水の中は地面と違って押すという操作ができません。水を押すという言葉はイメージで使うことはあるかもしれませんが、流体なのでどんなに素早い動作で押そうと思ってもその作業はいわゆる水に流れてしまう!?のです。

だから腕や脚で身体を支えて動ける地上とはまったく違った能力を発揮できなければなりません。そこで体幹というキーワードが大きくクローズアップされることになります。

実際の推進力を得るには腕の搔きや脚のキック動作は必須ですが、その腕や脚を上手く使うためには体幹(胴体部)の微妙な動きや位置変化を敏感に感じ取る力がとっても重要なのです。

そこで重要となるのがいわゆる体幹、少し専門的にいえば上半身と下半身を繋ぐコア・ユニットと言われる部分です。

上半身と下半身の繋ぎ目が機能的

水中操作ではコア・ユニットと呼ばれる組織の高い機能性(機動性)が地上に比べてさらに速さや推進力に直結します。TM鈴木が考えるコア・ユニットとは主に以下の3つを指しています。

①骨盤を介して脊椎と股関節を繋ぐ大腰筋、さらに骨盤・股間節の要腸骨筋

②内臓を包む腹空圧とそれをコントロールする腹横筋・多裂筋・内腹斜筋

③骨盤の前後傾斜に関わるハムストリング(大腰筋含)

骨盤とお腹周りにあるこうした組織の機能的な動きが水中での身体重心位置コントロールに深く関わっています。

萩野選手はこの上半身と下半身を繋ぐコア・ユニットの機能が非常に高く、それは彼の水中での前進する流れ(渦)をしっかり生み出すダイナミックでスムースな泳ぎからも十分推察できます。

機能的と言うのは決して強いだけということではありません。重心位置のズレを素早く感知して修正したり、上半身と下半身を連動させて(少しの時間差で)動かすといった能力の方がむしろ大切です。

その証拠に彼の上半身と下半身は強力な腕の搔き(ストローク)と脚のキックを生み出すために微妙にその状態(コアの長さや位置)を変化させているのです。

つまりコア・ユニットが自分の思い通りに働き、且つ骨盤前傾位による体幹しなり伸びが腕脚の末端にまで波のように波及する効果を持ち合わせた身体、萩野選手の強さの秘密はこうした身体特性にあるといえるでしょう。

まとめ:可能性は誰にでもある!

出典:https://goo.gl/b6btcb

萩野選手のからだの特性はある意味才能といってもいいでしょう。しかし彼は決して生まれ持った資質だけでオリンピックの金メダルを獲れたわけではありません。

そこには恩師平井伯昌コーチとの8年以上に及ぶ綿密な計画があったとされています。またライバルである瀬戸大也選手との切磋琢磨する状況も、彼のパフォーマンスを大いに高めたのかもしれません。

大切なことは長い間ひとつの目標に向かって継続して取り組めるか?ということです。練習に強弱をつけ食事に変化をもたらし、四六時中水泳のこと(水泳と繋がるテーマについて)考えられますかということなのです。

初心を貫くためには練習・レースを含めた日々の環境を気持ち良く楽しむ、そして身体の変化を敏感に感じ取れる感性と勝利以外のことにはさして「こだわらない・くよくよしない」寛容さを併せ持つことが必要かも!と萩野選手を観ていて感じました。

我が子をスーパースイマーに育てたいお母さん・お父さん、そして金メダリストを目指しているあなた、是非萩野選手の生き方や考え方を参考にしてみてはいかがでしょう。

TM鈴木

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