松坂投手のストレートが【おじぎ】をする理由(わけ)

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去る10/2(日)ソフトバンク今季レギュラーシーズン最終戦に8回から登板した松坂大輔投手。

既にお分かりのように散々な結果となってしまいました。

中でも松坂投手のボール(真っ直ぐ)が全盛期に比べ随分と【おじぎ】をしてしまう傾向にあり、あまりにも力のないボールだったので関係者含めファンも正直驚いたのではないでしょうか。

昔から球威がある球を『糸を引くようなボール』と表現することが多いですが、今回の松坂投手の登板ではそういった威力あるボールは残念ながらまったく見られなかったのです。

なぜ【おじぎ】をするボールになってしまうのか!現在の松坂投手の投球について『身体操作“ろん”』の観点から提言してみましょう!

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見た目で判断することの不自然さ

マスコミ、各メディアは松坂投手についてはかなり否定的な論調でした。

今回の1軍復帰登板を観ればそれも致し方ないことかもしれません。

メディア・評論家とも『太り過ぎ』、『あのブヨブヨの身体ではまともな球は投げられん』などとても辛辣な言葉を吐いています。

なかには『顔があんなに真ん丸じゃぁ・・・』とちょっと関係ないかも!?という意見まででる始末。

しかし実際に彼はそんなに太っているのでしょうか。

だれが観ても明らかだろ!等と突っ込まれそうですが、見た目で判断することこそ間違った情報の氾濫に繋がってしまうことをTM鈴木は危惧しています。

というわけで松坂投手は本当に太りすぎなのかを少し検証してみたいと思います。

身長・体重の指標にて判断

体格に関する詳細なデータ(体脂肪率等)はわからないですが、身長・体重などから導き出せる判断材料を検討してみたいと思います。

松坂投手の体格、2016年現在(公表)は身長183cm、体重94kgです。

因みにプロデビュー当時(1999公表)では180cm78kg、17年間を経て実に16kg増量ということになります。

ではBMI値はどうでしょう。BMIとは身長からみた体重の割合で示され、標準は22です。以下の式で表される指標です。

[BMI(Body Mass Index:体格指数)=体重÷身長×身長]

松坂投手のBMIは実に28.07、これは標準値を約6.0も上回っています。

BMIは25.0以上である場合は肥満に該当することから松坂投手はBMI(体格指数)で判断すると肥満(太り過ぎ)だということになります。

BMIから見た標準体重だと松坂投手は73.68kgが標準となります。

現在の体重から標準体重を引くとその差は20.32kg、つまり20kg標準体重をオーバーしていることになります。

もちろんアスリートですので同身長の一般男性と比べること自体おかしな話ですし、体脂肪率がどれほどあるかは好評されていない現状では、判断の指標があまりにも少ないのですが、おおよその目安とすれば20kgのオーバーというのはちょっとどうかなという気がします。

その20kgすべてが筋肉で増量されたものとは考えにくく、体格重視のアスリートであっても体脂肪は10%程度、さらに内臓脂肪や水分も加えると半分の10kgが筋肉増量の限界値かもしれません。

メディアや評論家諸氏が語る『松坂太り過ぎ』説はBMI値でみると当たらずとも遠からずといったところで間違っているとは言えないでしょう。

気になるのは身長ですが、西武ルーキーイヤーの公表身長は179cm、現在は183cm、これってちょっとどうなんでしょうか?

18・19歳からその後4cmも伸びるのはちょっとおかしいかと・・・。

サバを読んでいるとして仮に身長が180cmだとするとBMI値はさらに大きくなり、『松坂太り過ぎ』説はいよいよその真実味を帯びてくるかもしれません。

投球動作における『手投げ』とは

次にメディア・評論家諸氏から指摘される投球フォームの不具合についてみていきましょう。

全盛期から比べると年齢と共にそのパフォーマンスが下がってきている松坂投手、記録面でも勝ち星や防御率、さらに投球回数も低下し、身体面ではケガをしやすくなったというデータが残っています。

MLB最後の2年間やNPB復帰後のメディアや評論家諸氏の反応として『手投げになっている』という表現がよく使われています。

評論家が言う意味と同じなのかどうかはわかりませんが、TM鈴木が考える『身体操作“ろん”』的にみる【手投げ】とはどういうことでしょうか。

【手投げ】の要素として以下3つの基準があると考えます。

  • 腕だけで投げている

  • 体幹(胴体部)の捻じれを最大限使っていない

  • 運動連鎖が起こらない

全盛期の松坂投手はバックスイングからボールリリース時までに驚く程腕がしなっていました。

腕が【しなる】とは以下の2つの意味を表します。

・投動作のコッキング期*1)において身体よりも(上腕→前腕→手首の順番で)腕が随分と遅れて振られる動き

・コッキング期において最大内旋*2)から最大外旋*3)までの動き

手投げの原因その1 身体より腕が遅れてこない

スポーツ科学の分野では一連の(投球)動作を“期(フェーズ)”ごとに分割して分析する方法が採用されますが、投球動作では4つの期に分けられます。

【ワインドアップ期】:

投球動作の始動時から右投げの場合は左膝が最大拳上(グローブから投球腕で握っているボールが隠れる時)まで

【コッキング期】:

投げる時、投球腕側の手がグローブから出てバックスイングしボールを加速する直前までの動きです。

その後はボールを加速させてから離すまでを【加速期】、ボールを離してから振っている腕が膝の外側で止まるまでを【フォロースルー期】と呼び、全てを合わせて投球動作フェーズ(期)と言います。

松坂投手の場合、特に加速期で身体と投球腕が一緒にホームベース上に向かってしまうというバイオメカニクス的効率上、良いとは言えない動作が目につきます。

つまりこれは身体全体を使って投げていない、足を踏み出して地面からもらった球速をあげる基礎となるエネルギーを効率的にボールに伝えれらないということになろうかと思います。

手投げとなる原因その2 内旋・外旋って

バックスイングからボールをリリースするまでには以下の腕の【内向き→外向き→内向き】という一連の3動作が起こります。

バックスイング時にボールを持つ手が地面に向かう動きを内旋といって、腕を【内向きにねじる】動作です。

その後、地面を向いていた(ボールを持った)手が投球腕の振り速度を上げるために、トップ(肩よりも上に上がる)に移動しながら掌が(右投げの場合)右頭部を向く動きを外旋といって、腕を【外向きにねじる】動作です。

さらに最大限に【外向きにねじる】動作からボールをリリース直後に腕を【内向きにねじる】動作が行われ、腕の振りがとまり投球動作が終了します。

*2)最大内旋:

肩関節より先の上腕で起こる内側に向く捻じりの動き。上腕の長軸方向にかかる投げる側から見て時計と反対周りの動き

*3)最大外旋:

肩関節より先の上腕で起こる外側に向く捻じりの動き。上腕の長軸方向にかかる投げる側から見て時計周りの動き

つまり松坂投手の投げ方には、この肩関節の内・外旋を伴った《腕が身体よりも遅れてくる》【しなり】の動きがほとんど見られないということになります。

【しなる】腕の振りを端的に表現すると【ムチ】のことです。

【ムチ】は手元を動かすと先端が動くまでにかなりの時間差があります。この手元と先端までの時差によってその先端スピードは驚く程高くなるのです。

かつて日本ハム在籍時のダルビッシュ投手は投球腕が身体よりかなり遅れて出てくるため打者は非常に打ちづらかったという逸話が残っています。

レンジャーズに移籍した現在でもそのような投球腕動作は変わっていません。

これはまさしくダルビッシュ投手が【ムチ】の作用を利用して腕を思い切り【しならせて】振っている(投げている)ということです。

【しなり】がない腕の振りというのは言ってみれば丸太棒を振り回しているようなものであり、当然ですがそんな重い棒を速い速度で振れるわけはありませんから、球速は上がりようがないのです。

現在の松坂投手の投球フォーム(投げ方)では上記した腕の【しなり】な見られないため、【手投げ】と評されても致し方ないかもしれません。

まとめ

以上、以下松坂投手の投球フォームとその結果について2つのポイントがあり、メディアや専門家(野球経験者)が語っていることが果して根拠があるのか否かを探ってみました。

1 体重を身長比で表した指標で【太り過ぎ】か否かを(断定的ではありますが)判断してみたところ少なくとも外れていないという結論に達しました。

さらに

2 【手投げ】の理由を『身体操作“ろん”』的観点から投球腕の【しなり】を伴った【ムチ】の動作に欠けている状況が観察され、投球動作中にエネルギーロスが生じていることが示唆されました。

さて、【手投げ】における残り二つの観点については後日【メルマガ】パフォーマンスアップ編にて詳細をお伝えする予定です。

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2)  体幹(胴体部)の捻じれを最大限使っていない

3)運動連鎖が起こらない

どうぞお楽しみに(^^/

TM鈴木

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