+5度骨盤前傾(+5°APT)が最も生かされるべきは姿勢と『走る・跳ぶ・投げる・泳ぐ・こぐ』等の動作全般です。
骨盤を今より+5度<(以上)前斜め下へ傾けることで動きやその感覚にどんな違いがでるのか!先ごろ少し気になったいち場面について触れておきます。
ほんのわずかな傾斜角度の違いを知って動けるだけで思い通りに体を動かすヒントが見つかり、さらに+5度骨盤前傾の果たす役割も実感できるはずです。
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動きへの配慮が感じられない
競泳を引退し報道ステーション・レポーターとなられた寺川(綾)さん、バスケのニュースター河村勇輝選手(福岡第一)を特集したいち場面でのことです。
コートのセンターサークル(直径3.6m)内で河村選手がドリブルするボールを奪えるかを競った際の出来事でした。
寺川さんの姿勢ちょっと変!?
河村選手のプレーぶりはあえて評することもなく(興味ある方は是非!彼の特集ページ等でご覧あれ)、問題は寺川さんの姿勢と動きです。
バスケ素人の寺川さんがNBAにも挑戦しようかという河村選手の保持するボールをとれるはずもなく、相変わらずアスリートを見下すようなメディアのその思考には辟易します。
※仮に高校生だからこんな演出をしたとすれば余計に腹が立つけど・・・
ふと見ていると寺川さんって本当に元アスリート(オリンピック・スイマー)だったの?というくらいコミカルな姿勢と動きが目につきました。

はやっ!ってそれはあなたの体があまりにも動かなさ過ぎるから
なにせ河村選手がドリブルするボールを奪うとか奪わない以前の問題なわけですから、もう逆に(その動きがへたくそ過ぎて)お笑い芸人かっ!と思うほど(@_@;)

誰がみても動かない姿勢で河村選手に勝負を挑む!?
これではどう考えても動きの素人(の姿勢)!
にもかかわらず誰もその事実に気づかない(であろう)現実にこそ、アスリートの抱える本質があるように思います。
さて、その本質とは・・・?
欠けていることがわからない現実
寺川さんは(バスケ素人だから当然だが)なにが良くなくて河村選手に対してどのように動く準備を進めたらよかったのでしょう?

背中完全にまるまってるし・・・
まず目に付くのが寺川さんの背中~腰にかけてが“おばあちゃん!?”のようにまるまっていることです。
背中がまるまると何がいけないのか!といえば上半身が下半身の上にちゃんと“のる”ことができずに動いてしまうからです。
さらにまるまった背中の原因は骨盤が後傾している(後ろに傾いている)こと。
なぜ骨盤後傾になるのか!は諸々要因がありますが・・・
主因はハム(腿裏筋)が伸びない/縮まりやすくなっている!そして下背部やお尻と合わせて荷重に耐えられる筋発揮とその技術がない(使い方ができない)ことです。

身長では勝っているものの動きの差は歴然だった
リポーター業でお忙しいのか寺川さんのハムストリングは見事にその体をなしていないのが明らかです。
ハムストリング・臀筋群・中背部といった重力に対抗する裏側の筋肉がほとんど効いておらず、体重を前腿のみで受け止める格好なので相手に揺さぶられると全く対応できません。
縮まっているハムが影響するため重心も後方に位置する踵重心がボール奪取を試み前に出ようとしてもスロー、且つバランスが悪くなるため思い通りの方向へ全く動けません。
寺川さんの動きが教えてくれること

既に“抜き”にはいる準備が整った河村選手とは対照的
寺川さんはリポーターだからしょうがない!と話を終わらせるのは簡単ですが、TM鈴木にとっては多くの貴重な情報を提供してくれたと感じます。
程度の差こそあれ寺川さんのような感覚で動いている日本人アスリートが沢山いることは事実であり、特に近い将来を担う子供や若いアスリートにとって憂慮すべき課題でしょう。
感覚を磨くことの意味
寺川さんの動きはどう改善していけばよかったのでしょうか?
実はこの答えには近年筋力や筋力アップに注力する多くの日本人アスリートにも深く“突き刺さる”重要なメッセージが含まれています。
そのカギとなるのは骨盤の『動く/動かす』固有感覚を磨くこと!
寺川さんのように骨盤の傾斜角に配慮せず背中のアーチがない状態では、結果的に太腿前側をつかって動くことになり四頭筋や膝へのストレスは計り知れません。
そこでTM鈴木がおすすめするのが黒人アスリート(アフリカ系人種)のような感覚で背中側を効果的に使って体を動かせる+5度骨盤前傾『かるのび~kaRuNobi~』です。

右(骨盤前傾)で動く感覚を高める!
『かるのび~kaRuNobi~』は今より骨盤を+5度(以上<)前斜め下方へ傾けて動く感覚や運動能力を大幅に向上させるメソッドです。
『かるのび~kaRuNobi~』/+5度骨盤前傾を身に付けると股関節・膝関節の理想的な位置がわかり、お腹周りにある筋肉本来の長さ(緊張度合)や腹空圧を実感できます。
筋トレは強い筋肉(太い筋肉)をより強くしてくれるものの伸びるのが得意な筋肉とのバランスが難しく非常に詳細な配慮が必要なのです。
動きに必要な部分を適切に刺激しながらバスケのようなコンタクト・セミコンタクトのスポーツで生かすなら+5度骨盤前傾感覚とその動きはなくてはならない技術です。
伸びる感覚を高めるべきは・・・
特集で観た寺川さんの動かない/動けない感覚は裏を返せばそこに気を配ることで大きな改善が見込まれることを意味します。
真横からみた骨盤の前傾⇔後傾の動きは股関節を(中心)軸として大腰筋(前側)とハムストリング(後側)の引っ張り具合が深く関わっています。

ハムが伸びるとコアと上下半身が繋がる
両筋ともに伸びることでその緊張(張り)具合で力を発揮する筋肉ですから、それが今回のディフェンスやボールを奪おうとする動きに直接関わることを知っておくべきでした。

右の選手のお尻からお腹周りの“カーブ”に注目
ハムとお腹奥にある大腰筋を“伸びる”状態(その上に覆いかぶさる腹直筋も伸び)を堅持しながら動く黒人選手は、日本人の姿勢とは明らかに異なりそのシルエットにもメリハリがあり美しくみえます。

骨盤前傾に由来するこの姿勢の利点を理解できるか!?
日本人は腿裏筋や大腰筋、最も表層にある腹直筋を縮めて動く傾向が強いため肋骨から下が伸びる状態で動けません。
農耕民族で腰を屈めることが得意な日本人の遺伝子に刻まれてるとはいえ、そこに注目することがないから改善も見込めないわけです。
河村選手含め純血日本人だとバスケットに限らずどうしてもこの傾向が強く従って動きの主働/始動を大腿四頭筋(前腿)に頼らざるをえません。
しかしこれではコア(体幹)本来の使い方という点で、下腹部や腰が頭上にス~ッと伸びたまま動ける黒人アスリートと比べ大幅に動きが不利になってしまうのです。
繋がる感覚のルーツは骨盤傾斜
先にあげた寺川さんの姿勢が大なり小なり多くのアスリート達の動きの根底にあることは厳然たる事実です。
日本人は腕を動かす時に腕“しか”動きませんが、黒人の意識はちょっと違います!
腕の付け根が肩甲帯(肩甲骨や胸郭)や脊柱から始まり、脚の動きは腸骨(骨盤帯)から始動する感覚を持つ!それが黒人アスリートの動く感覚です。
黒人はダンスがうまいというのも実は脚や腕の根元と胴体(コア)をつなげる動きの感覚を持ち合わせているからです。
この動きやすさの大元は骨盤の傾斜角であり、30~40度以上という大きな前傾角によって全身の動きをコントロールできる“スイッチ”として存在しているからこそなせる業なのです。
いくら筋トレをしてもその感覚は高まりません!
日本人が黒人のような動きの感覚を得るには伸びる筋肉の特性を生かした動き、つまり+5度骨盤前傾『かるのび~kaRuNobi~』の考え方やその実践が必要となります。
ディフェンスを寺川さんのような姿勢にさせることでオフェンスのペネトレーションは容易になり大幅に抜けるということになるのです。
まとめ:

程度の差はあるが日本人特有の動き
▼元オリンピックスイマー:寺川綾さんのディフェンス姿勢や動きは程度の差はあるものの典型的な日本人アスリートの動きの特長を示している
▼膝から曲がり背中がまるくなり股関節荷重の意識なく後方重心となる“ざる”のようなディフェンス要因は骨盤が前傾しない姿勢にある
▼ハムストリングの伸びを感じながら臀筋・下背部の適度な緊張と股関節へ“のる”感覚を高める動きの獲得には+5度骨盤前傾をイメージしたノウハウと実践力が必須
TM鈴木