2021『投手:大谷』復活のカギは投球腕の外反ストレス軽減~二刀流復活へ!握る手の向きとしなりを生み出す思考変革~

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2020年大谷翔平選手(LAエンゼルス)は打者としてチームに貢献しています。

シーズンの大半を打者に専念させることとなったのは右前腕の屈曲回内筋損傷、投手としての登板機会はわずか2度にとどまりました。

登板はそれ以降回避されましたが、来シーズン以降の二刀流復活は今後最大の注目となるでしょう。

Two Way Playerとして類まれなる才能を持つ大谷選手の今後について、動作からその可能性を考えます。

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今回のケガとは?

「投手:大谷」の復活は2021年に持ち越し

報道された今回のケガは「右前腕屈曲回内筋群損傷」とのこと、投手として肩・肘のケガは一般的ですが「前腕の回内筋群」とは効き慣れない名称です。

損傷箇所の問題

アメリカ大手メディアによれば損傷箇所は『the flexor pronator mass — a forearm muscle(屈曲回内筋群)』 と報告されています。

パッと見、痛めた部位の特定が不確定のように感じますが、おそらく回内屈筋全体に波及したケガなのかもしれません。

肘を曲げる役割の屈筋と前腕を内側に捻る回内筋および関連する軟部組織も含めた前腕屈曲部全体のダメージと考えられます。

肘関節を介して前腕を上腕に近づける屈曲筋群と、空に向けた掌を下に向ける“捻り”に関わる回内筋群及び関連する腱(筋)膜組織が影響を受けた可能性が高いです。

投球との関わり

右投げとして投球メカニズムを考えてみましょう。

回内とはレイトコッキング~加速期(投球メカニクス参照)で、1塁ベンチ側を向いていた手のひらが、肘が伸びながらリリース直後から3塁側に向く腕の捻じりです。

ボールリリース直後手のひらが3塁側を向く回内が起こる

この前腕の動き(捻じり)に関与するのが円回内筋です。

橈骨が尺骨上をグイッとほぼ3/4ほど回る(前腕の)回内で、ボールリリースでは手のひらが3塁方向をむきます。

大谷投手の場合、投球動作で加速からリリースにかけて上腕の内旋とこの(前腕の)回内、同時に肘を爆発的に伸ばす伸展機構によってダメージが発生したと考えるのが妥当でしょう。

二刀流としての価値

二刀流が大谷選手のあるべき姿!?

今後の展望として考えるべきは大谷選手が他に類をみない二刀流“プレーヤー”だということ。

だから本人に“その気”と勝算があるのなら『The Two-way Player』を続けるべきだし、“メジャーリーガー”大谷翔平の立ち位置はそこでこそ価値があるはず。

投打とも超一流のワクワク感

仮に今後二刀流選手がでてきたとしても、おそらくどちらかひとつが得意というケースがほとんどではないでしょうか。

しかし大谷選手の場合、真に投打とも“超”一流であることは誰もが疑いようもないはず。

160km/hを超えるフォーシームや鋭く落ちるスプリットを投げ、130mを軽々超える飛距離を常時叩き出せる打撃力、そんな選手が今後出現するなんて想像できるでしょうか。

メジャーデビューとなった2018シーズン、打ってはホームラン、投げてはバッタバッタと三振の山を築く!この厳然たる事実が大谷選手を二刀流プレーヤーとして知らしめているのです。

細分化され緻密な戦略が用いられる現代のMLBで、こんなに痛快に!こんなにワクワク!させてくれる選手(投手/打者)がいるでしょうか!

『大谷翔平』の存在価値は唯一無二!その類まれなる才能は『二刀流』でこそ発揮されるはずです。

“数年”の猶予が可能性を高める

トミージョン手術の完全復帰には通常およそ1年6ヶ月(18ヵ月)を要します。

ただ18ヵ月はあくまで目安であり投手の体特性や投げ方、そして今迄の投球数によるストレス等によっても大きく異なるでしょう。

術後の回復は主観・客観双方で管理すべき

身体的特徴でいえば筋肉の質、骨との関係性・関節の形・投げるメカニクス等がその要素となります。

靭帯の馴染む程度やその機能(張力への抵抗・負荷具合)によって真に“しっくり”投げられるか否かは当の本人にしかわかりません。

いくら同一人物の組織(逆側前腕腱を使用)とはいえ、ダメージを負ったオリジナル(の腱)とは違うわけですから、慣らし期間(2~3年)は当然必要となるでしょう。

現在“投手”大谷は(術後多くの投手がそうであるように)投球フォーム(メカニクス)の改良に取り組んでいます。

しかしその改良が果して本当に良いのか?は関係者は元よりまだまだ当の本人にもわからないのが現状です。

投球フォームの改良がもたらすもの

大谷投手が取り組んでいるのはスローイングで肘の負担が少ないとされるハイコック・ポジション、アーリーコッキングでいち早く投球腕のトップ(投げる形)をつくる投げ方です。

投げ方はフィットするのか?まだまだ模索が続く

踏み込み足のフットコンタクト(FC)で既に[肘が肩より高くあがる/ボールを持つ手が肘より高く上がる]投げ方でハイコック・ポジション(HCP)と言われます。

昨季の右肘のリハビリ中、大谷はキャッチボールで以前より右腕のトップの位置を早くつくる投げ方を試した。「バイオメカニクス的な観点から言えば、故障が少ない投げ方は研究されている。左足が地面に接地する前の段階で(前腕を)上に持っていく方が肘に対する負担が少ないというのはある」スポニチニュース

メジャーでは現在ハイコックで投げる方が肘の負担が軽くなるというトレンドができつつあり、術後の投球スタイルはこの傾向がより強くなっています。

なぜトップをはやくつくると肘の負担が減るのか?その証明は今のところなされているとはいえないため、ハイコックポジションで外反トルクを抑えられるとは限りません。

投手復活へ向けた思考の改革

外反トルクが高まることで肘内側への負担は高まる

トミージョン手術の原因となった大谷投手が負った肘のケガ(内側側副靭帯損傷)、動作を観る立場からその最大要因となるのは外反トルク(ストレス)です。

実はこの外反トルク、ボールを加速させる際の投球腕の動き変えることでスピードや回転数を術前レベルに維持したまま、ストレスを一定域以下に抑えることが可能です。

加速期の外反トルク

外反トルク(ストレス)とは投球フェーズでレイトコッキングから加速期にかけ、肘の内側にかかる外側へ引っ張られる力のことです。

肘が逆向き!?これでケガをしない方がおかしい!

肘の外反トルクといわれてピンとくる人は投手でもそうそういないでしょうが、肘関節内側にかかるストレスといえばわかるでしょうか。

肘の内側が真上を向く!とかあらぬ方向にある上記画像なら外側に向かって相当な引っ張る力が加わっていることがわかるはず。

この画像のように肘の内側が外方向へ無理矢理引っ張られ/ねじれる力外反トルク(ストレス)といいます。

前腕の根元(関節)が外側へ強い力で急激に捻じられながら引っ張られ、肘の内側へ引き裂かれるように強い力が働くのです。

投げる時にこれほどの捻じりと引っ張られる力が働くため、その動きを何度も繰り返す投手の肘には相当の負担が生じることが理解できるでしょう。

外反ストレスは球速が高まる程大きくなり、大谷投手のような160km/h超を投げるピッチャーにとっては常にケガと隣り合わせなのです。

特有の硬いマウンド・中4日登板間隔・滑りやすいボール等、肘の故障の要因はいくつもあげられますが、そもそも人の投げ方そのものに問題があることは理解するべきでしょう。

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外反トルクを抑える工夫

肘の外反トルクを軽減するため腕のスイングで気を付けるべきポイントが加速期で外旋(上腕骨)と回外(前腕骨)を維持しながら投げること。

投球動作の流れ

投球腕の外旋&回外が理想的に高まっていれば腕があらぬ角度や方向であったとしても外反ストレスをある一定の範囲に抑え込むことが可能です。

  1. 関節可動域(ROM)と筋肉の柔軟性を常に一定以上に高めておく
  2. 体に合った理想的な腕振り(手の向き)&体の使い方を身に付ける
  3. 8割の投げ方で打ち取れる感覚・感性を磨く

※2「“正しい”」投げ方とは意味が異なる

1と2について腕振りに“しなり(ムチの効果)”を生むことが必要とされ、3は余力を残した投げ方で打者を打ち取ることです。

動作的視点から究極の理想形はチャップマン投手(NYヤンキース)であり、(体の質が違うとはいえ)大谷投手もこの彼の腕振りを大いに参考にすべきでしょう。

しなりがないと肘への負担増

トッププロといえどスイング中に外旋&回外させながら腕を加速することができるのは、チャップマン投手を含めほんのひと握りです。

逆にいえば多くの投手はボールを持つ手を空に向けたまま加速、つまり肘の外反トルクが高まったまま投げざるを得なくなり、いずれは肘の破綻をきたす可能性が高まります。

加速期の握りの方向維持には骨盤前傾が必要

腕のしなりとは加速期にボールを持つ手を自分の側頭部(1塁ベンチ側)へ向けておき(右投手)、リリースする瞬間にだけキャッチャーに向ける腕の捻じり操作です。

リリース瞬間まで外旋&回内を維持するこのスイングには2つの利点があります。

  1. 投球腕が後方へ残りやすくなる分ムチの動きが生まれ肘内側のストレスを軽減
  2. 手の向きをリリースで瞬時にキャッチャーへ向けるためスナップが効きやすい

腕がしなると球速が高まり、弾く操作で回転数があがります!

チャップマン投手が170km/hに迫る人類最速投手として君臨し続けている理由がわかります。

※腕がムチのようにしなるスイングを生み出す源として黒人特有の骨盤前傾姿勢であることも見逃せません!

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投手として目指すべきは思考の変革

今シーズンは指名打者専念の大谷選手、投手としての復活に必要なのはトミージョン手術を行った多くの投手と同じ方向を観ることではありません。

外反ストレスを如何に一定値以下に抑えて腕を振れるか!加速期での投球腕の外旋&回外維持をテーマに取り組むべきでしょう。

新たに取り組んできたハイコックポジションでは、結局のところ外反ストレスを一定値以内に抑えることはできません。

大谷投手がフォーカスすべきは黒人特有の骨盤前傾しなるスイング(腕振り)を可能にするチャップマン投手のように、ボールを加速させる技術(外旋&回外の維持)でしょう。

スイングでのしなりを如何に生み出すか!この考えにシフトする思考変革が2021年“投手”大谷復活のカギとなるはずです。

まとめ:

2021年投手復活のカギとは?

▼2020年シーズンは肘の怪我から復帰する予定だった投手:大谷、しかし新たに回内筋群損傷が起こりDHに専念

▼トミージョン手術後大部分の投手に提案され支持されるハイコッキングへのフォーム改良、果して理想的な選択なのか!

▼肘故障の要因となる外反トルクを如何に一定値以下に抑えるか!カギとなるのは投げ方:スイング時の外旋&回外の維持

TM鈴木

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