「床反力(=地面反力:Ground Reaction Force)の第2段として、縦方向の体重移動について検証します。
床反力を最大限利用するためには、その前動作である「踏み込み(地面を体重をかけて押す)」動作が大事ということを前稿でもお伝えしました。
ゴルフスイングは横の体重移動における典型例ですが、縦の体重移動では「踏み込み」をどう生かしたらよいのでしょう?
当稿ではボウリングを例にあげ、縦方向の「踏み込み(沈み込み)」による股関節荷重についてプロ・トレーナーの目線から迫ります。
本トピックをご覧いただくことで片側股関節への全荷重のコツを理解し、体のブレを最小限に抑え力を十分溜め込むスイング動作の確立が可能でしょう。
Contents
縦:「踏み込み」のポイント
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ゴルフスイングは横への体重移動を伴う動作がメインですが、ここでは縦の動きを伴う運動もご紹介しておきましょう。
おそらく誰もがやったことのあるスポーツ、そう!ボウリングです。
アプローチで安定感を増すクラウチング
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右利きが多いため通常の投球腕は右となり、5kg前後あるボールを前進しながら縦方向(正確には捻じりも入るので立体的)に振りって的(ピン)を射抜かなくてはなりません。
ボールに勢いと同時にフック(カーブ)回転をかけるため、大きなバックスイングが求められる場合が多く、そのためには前進速度(併進運動)を徐々に上げつつも、左右へのブレを最小限に抑えるという相反する能力が必要です。
海外のトッププロはバックスイングを含めたアプローチでの安定感を得るため、その多くが上半身を前に傾斜させるようなクラウチングスタイル(表現が良いのかどうかわかりませんが・・・)をとり入れています。
上半身を程よく前傾させ投球腕の肩を引くことにより(あるいは左腕を前に出すことで)大きく安定したバックスイングを実現しています。
ボウリング全盛期に流行った(であろう)アップライトスタイルでは、肩がスクエアになるため大きなバックスイングは望めませんが、左右へのブレを軽減するにはフィットした投法といえるでしょう。
ポイントは4歩目の踏込み
私見も含めますが、5歩助走での第4歩目である右足が床反力を最も得やすいポイントでしょう。
4歩目で如何に「踏み込む」感覚を掴めるか!ですが、この局面での骨盤前傾位の感覚は特に重要となり、右股関節に全体重をのせる(荷重する)ことで床反(発)力が得やすくなります。
注)「踏み込む」とは必ずしも“深く”沈み込むことではなく、股関節に荷重すること
海外のトッププロは2歩目3歩目を比較的小さく、ポイントとなる4歩目で「踏み込み」やすくするための最適な歩幅へ、そして「踏み込み」で得た反発力をしっかりと上半身に伝達しながら、5歩目は最大幅で!というパターンが多く観られます。
動きの質を高める訓練が必須
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動きづくりが目標への近道
この4歩目にしっかりと体重をのせる感覚を掴むには、骨盤前傾位をその状態で維持できるよう以下の機能を高める必要があるでしょう。
具体的には以下のような課題に取り組むべきです。
・股関節の際(きわ)とハムストリング付け根への伸展ストレス
・中/小臀筋群とハムストリング、そして下背部といった体幹の連動と筋発揮能力の改善
・大腰筋(腸腰筋群)とハムストリングの張力バランスの維持
・腹横筋と腹空圧を中心とするコアの安定性改善
つまり立位で動きながら(前進運動)、床反力をロスなく投球腕に伝えるということになります。
視線のズレも配慮すべし
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ボウリング動作の特性から、目線というか視線の影響を考慮する必要もあると言われています。
なぜなら一方向への急激な移動を伴う動作では、視線のズレは必ずといっていい程生じてしまうからです。
視やすい目はどっちだ!?
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左右どちらかを優先!?
バックスイングは真横(矢状面)の動きが大きいのはもちろん、水平面での時計回りの回転(捻じり)も入るため、狙いを定めたポイントへ顔(視線)を向けたままで維持することが困難になります。
投球腕が右の場合バックスイングが大きければ大きい程、視線は下方と時計回りに移動しやすくなり、左右の両目をターゲットピンに向けられない状態がでてくるのです。
この時点で左右の目でストライクポケットに視点を合わせようとすれば、非常に見ずらくなってしまうことで視線がズレてしまったり、または無理矢理視線を合わそうとすることで、体がブレやすくなってしまうのです。
どちらの目でみるのか!?
こうした視点のズレを防ぐには、投球腕と逆側の目を優先的にそのピンポケット(“ここ”にボールを当てればストライクとなる位置ポイント)に合わせることで、体の構造上ムリのないスイング動作を可能にします。
注)スクエア(左右の肩を平行にしての)でのスイングでは、この視線によるズレはほとんどありません。
特にポイントとなる第4歩目は、バックスイングのリードにより、ピンポケットを視る視線が右下方へ流れやすくなるため最新の注意を払う必要があります。
このため6:4または7:3の割合で左目でピンポケットを視ることが、フォームのバラツキや油分な左右への横ブレを防ぐ重要なコツともいってもいいでしょう。
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まとめ
出典:https://goo.gl/PfZdhR
縦方向の体重移動について「床反力」を上手に利用するための「踏み込み」動作を検証してみました。
縦方向運動の典型はボウリングであり、特に第4歩目での右股関節への全荷重が、ボールを保持してバックスイングする際の横ブレや不安定感を取り除くキーとなります。
股関節へ体重をかけるには骨盤の前傾位を動作中に維持する必要があり、普段のトレーニングから如何にその動作をスムースに実施できるか!?を検討すべきでしょう。
スコアアップの秘訣はこうした「思い通りに動かせる」体作りにあると、投球動作は教えてくれているのかもしれません!(^^)!
TM鈴木