「トレーニング=鍛える=縮める」という常識は動きの上達を目指す上で大きな妨げとなります。
特に伸びる状態で“我慢する”ことを得意とするハムストリング・大腰筋の働きを高めるには、そのやっかいな固定観念を如何に排除するかが重要です。
そこでハムストリング/大腰筋の「伸び」を意識できる『かるのび』メソッドを紹介、その仕組みと予測できる動きへの影響を解説します。
大腰筋/ハムストリング・ラバー(Lover:愛する人)が生み出した理想的なメソッドをいくつか試せば、あなたもこの筋肉達の動きにフォーカスせずにはいられなくなるはずです。
Contents
「縮む」から「伸びる・緩む」へ

走りに必要なハムの伸び感を引き出す!
意識を変えない限り行動変容も起こりません!
ゴール(目標)に繋がる思考から常識を排除しない限り新たな考えや生み出される行動の変化には繋がらないのです。
日本人アスリートがハムストリングを使うことが不得意なのは、縮めることを美徳とし「鍛える」とイコールだとする誤解があるからです。
骨盤が前傾すると中心部位が働く
モンゴロイド(アジア系人種)とりわけ日本人はハムストリングを使うのが不得意であり、代わりに大腿四頭筋(腿前の筋肉)を使う傾向が強くみられます。
足が良く動くのは骨盤や脊柱といった体の中心部を使えない現れであり、先端部をちょこまか動かすだけでは推進力には繋がりません。
なぜ体の中心が使えにくいのかといえば、ネグロイド:黒人アスリートに比べて骨盤の傾きが10~20度(場合によってはそれ以上)近く平ら、つまり傾かないことが要因です。

真横からみないと前傾かどうかはわからない
前傾操作は真横から観ることが基準となります。
あくまで典型例ですが左が黒人・右が日本人の骨盤傾斜(角)です。
外見で観るとお尻の出っ張りや背中の反りにしか目が行きませんが、実は違うところに着目することがミソです。
股関節が前傾・後傾への基軸になるということです。
股関節を左右に貫く一本の棒(基軸)の回転具合によって前傾か否かが決まります。
骨盤傾きの基準は股関節を左右に綱抜く焼き鳥の“串”を軸に考えるとイメージしやすいかもしれませんね。
脚の振出しでどうなるか?
ではこの真横からの画像をイメージし30mを6割程度で走ってみましょう!
走っている最中、足を前に振り出すスイング(フェーズ)でどんな感覚があるのかを以下の4つから選択してください!
①腿裏全体に“なんとなく”張りに近いような感覚がある
②膝裏近くに張りのような感覚がある
③お尻近くに張りのような感覚がある
④どこに張りがあるかはわからない
どれも選んでも不正解はなく今のあなたの正直な感覚なので、なんとなく当てはまりそうなもので大丈夫です。
正解はないですが、ハムストリングが最も働く(と考えられる)のは③の感覚です。
なぜなら+5度以上骨盤が前傾するとその角度を最も感知してハムストリングの筋長を変えられるのが、付け根に最も近い④の部分だからです。
歩く・走るといった前進運動では、脚を前に振り出す勢いでハムストリングは強制的に伸ばされる伸張性収縮になり、前傾が効く程座骨付近の腿裏に伸び感や張りを感じます。
このメカニズムを知っておけば如何に伸びを感じなり腿裏といえども、座骨付近の適度な張りが引き出される可能性がたかまり、その重要性を身をもって体幹できるはずです。
使いやすいハムストリングにする

縮めるではなく伸ばすにフォーカス
目指すは使いやすい(動きながら伸びていることがはっきりわかる)ハムストリングです!
ハムだけじゃなく大腰筋・腹横筋・内腹斜筋等、目立たないけど骨盤前傾の維持に欠かせない筋肉がちゃんと働く環境を高めることが、競技力アップには欠かせません。
黒人の走りをするために
ではハムストリング愛溢れる【骨盤前傾マニア】おすすめの『かるのび』メソッドをいくつか紹介しましょう!
ハムストリングの伸びに必要な要素は骨盤前傾と脊柱アーチを維持できる体環境です!そのためのツール【ツブツブfit】にのりながら前傾とアーチの連動を楽しんでください。

前傾を効かせるか否かで動きは大きく変わる
骨盤の角度は黄(上)と赤(下)のラインで示していますが、どちらが前傾を効かせているかは一目瞭然でしょう。
【ツブツブfit】は1本でも良いですが、慣れてきたら2本使って下は①ビーナスのえくぼ、上は②肩甲骨で“のる”ようにしましょう。
下画像では①と②にしっかりと体重がのっている様子が伝わるかと思います。
近年様々なフィットネスツールがありますが、これほど単独で体幹の動きを引き出せる器具は存在しません!
何しろ“のる”ことで表層筋だけでなく、深層で中々使われない大腰筋・内腹斜筋、そして今トピックのハムストリングまでの伸びや張りをしっかり生み出せるのです。
そんなトレーニング・ツール、この【ツブツブfit】をおいて他にはありません!
筋腱移行部を刺激
筋腱移行部(MTU)への刺激はランニングやスプリントでハムストリングの十分な伸びを引き出すために絶対やっておくべきルーティンです。

座骨を確認しフォーカスできるように!
筋腱移行部はハムストリングのお尻に近い端っこを指します。
坐骨は骨の出っ張りなので指先でゴリゴリするところを確認できます。そのちょっと下に横にずらすとゴリゴリ感を感じるところが筋腱移行部です。
ここでも【ツブツブfit】を使いますが、ハムストリング・ラバーはこのメニューを「腿裏ゴリゴリ」と呼んでいるので、差し支えなければあなたも是非!そう呼んでください!(^^)!
腿裏ゴリゴリ
刺激は実際に腿裏を伸ばすというより、筋腱移行部に体重をかけ圧力を加えます。

腿裏の“伸び”と“反発力”を生むゴリゴリ
実際に伸ばしているわけではありませんが、+5度骨盤を前傾させることで筋腱移行部のゴリゴリにしっかりと体重がのるようになります。
やや内側の“すじ(筋)”が【ツブツブfit】にモロ当りしたところで、前後にロゴロゴ左右にユラユラと微妙な動きを加えることでターゲットのゆるみが感じられます。
伸びる感覚を引き出す
腿裏ゴリゴリ如何でしたか?
骨盤が後傾したり背中がまるまっていたら腿裏ゴリゴリの当り感覚はありません!
「こうしてね!」という指導者側のインストラクションを如何に正確に体を動かしながら、遂行して結果に結びつけられる!
これも実はアスリートの能力のうちなのです。
背中や腿裏付け根で【ツブツブfit】にのったことで少なからず+5度の骨盤前傾感覚を体感できたはずです。
うまくいけば下図のように両手がピタッとつくだけじゃなく、背中や深部筋を伸ばせる感覚もたかまることでしょう!

腿裏・ゴリゴリができるとハムはしっかり働ける
走りで確認!

腿裏で伸びとバネを感じれば速くなる!
では再び最初に示したインストラクション:真横からの骨盤前傾画像をイメージして30m程度を6割の力で走ってみましょう?
走っている最中、足を前に振り出すスイング(フェーズ)にフォーカスしてください。
①腿裏全体に“なんとなく”張りに近いような感覚がある
②膝裏近くに張りのような感覚がある
③お尻近くに張りのような感覚がある
④どこに張りがあるかはわからない
現在のスイングの状態をチェックして少しでも(最初と)違った感覚があれば、『かるのび~kaRuNobi~』感覚高まっている証拠です。
【骨盤前傾マニア】と『かるのび』メソッドを突き詰めることで競技力の向上が十分に望めます!
前回と変わらなかった場合、先に示した2つの『かるのび』メソッドにはなにかしらインストラクションと違うポイントがあったはずです。
課題を修正していけば【骨盤前傾マニア】と『かるのび』メソッドを再度試すことで思い通りの成果を得られるでしょう。
これを読めば一目瞭然

ハムの使い方如何で伸び代は高まる
▼「鍛える=縮める=筋トレ」の常識が伸ばされた状態を我慢することを得意とする筋肉の十分な働きを妨げていることにフォーカスすべき!
▼従来の常識に左右されず新たな筋肉の可能性をどしどし試すべし!【ツブツブfit】は使う者の創造性を刺激し使われないコア・深部の新たな動きを引き出すギア
▼使えるハムストリングにするには走る時脚のスイング毎に「伸びる感覚」を高めること!それ以外にハムの働きを向上させることはできない!
TM鈴木