最速169km/hを生む秘密!最大外旋位に観る手の向きの重要性~体全体を使って投げる!の常識を問い投球フォーム再考を~

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そもそも日本人投手って理に適った投げ方をしているのでしょうか?本当に体全体を使って投げているのか?という疑念が湧きあがってきました。

そこでMLBで長らく活躍する「ザ・ロケット」アロルディス・チャップマン投手(NYY)の投げ方を参考に、「体を上手に動かす」投げ方を探ってみましょう。

なぜケガなく160km/hを超える球速をバンバン出し続けられるのか?それを理解できればジュニア・現役投手の体づくりに対する姿勢や考え方が変わる羅針盤となるはずです。

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そのメカニクスに驚愕

尋常ならざる捻りを生み出す元:骨盤前傾は黒人アスリートの骨格特性

体を上手に使うのは本来かなり難しく、特に投球という複雑な動作に精通することはプロとはいえ至難の業といえます。

しかしヤンキースの守護神チャップマン投手にその困難が当てはまることはないかもしれません。その理由を探ってみましょう。

投げ方の巧みさ

比較対象として山本由伸投手(オリックス)のメカニクスも取り上げた映像を観ましょう。

メジャーでは「ザ・ミサイル」という呼び名が付く程の超剛速球投手、かたや新進気鋭の若武者の投げる動作では大きな違いがあります。

チャップマン投手の驚愕の投球術、それを可能にする骨盤前傾での体の使い方にフォーカスすると、山本投手とは明らかに異なる動きが観られます。

  1. 胸の張り
  2. 腕の引き
  3. 体幹の捻り
  4. 腕の外旋
  5. 肩甲骨を含む背中の動き

気付くのは骨盤前傾位によって起こる他の投手が真似できそうにない上記5項目、どれをとっても山本投手の投げ方(動き)はチャップマン投手のそれに遠く及びません。

人の体が本来こういうふう(チャップマン投手のよう)に動けば、日本人でも十分な球速アップは可能と言っても良い動きといえます。

直球(フォーシーム)の速さがMAX149km/hと169.1km/hでは端から比べようもない動きですが、今後動き方を改善することで近づける可能性はあるはずです。

とてつもなく「しなやかな力強さ」

「1.胸の張り」「2.腕の引き」「3.体幹の捻り」については、誰がみても明らかでチャップマン投手のそのダイナミックな動きがはっきり認識できるはずです。

捻じり・引き・反りの源は骨盤前傾

体が大きく腕・脚の長い大男(公表193cm)が、これだけの大きな動きをしかも平均的日本人投手より速く動かせるとあっては、球速に大きな違いがでるのもやむを得ません。

しかし特筆すべきは「4.投球腕の外旋」と「5.肩甲骨を含む背中の動き」です。

チャップマン投手の上腕骨最大外旋位(MER)は、専門家が観れば従来型投手とどれ程の差があるかは歴然でしょう。

最大外旋位で手の向きが3塁側に向いたままのスイング

とにかく凄まじいの一言につきる最大外旋(外側への捻じり)で、そこから3塁側に向けた手のひらをリリースまで辛抱強く維持しています。

さらにキャッチャーへの素早い体重移動と同時に最大内旋(内側への捻じり戻し)への切り替えからリリースという流れは、上手な投げ方のお手本でしょう。

チャップマン投手の投球メカニクスについて、その広いストライド・素早い体重移動・体のはるか遠くで放つリリースポイント等が映像から確認できます。

長い腕をさらに長く使える高等技術

さらなる驚きが加速からリリースにかけて起こる肩甲骨と背中の動きです。

しなやかな力強さという表現が正にぴったりで、一瞬背中が盛り上がるようにして肩甲骨の前方スライドにつながっています。

見た目には中々わかりませんが、加速前半で肩甲骨を目一杯背骨から腰方向へ絞り(下方回旋)、リリースと同時に肩甲骨をボールの方向へ勢いよく放つイメージです。

背中の伸展収縮を使える数少ない投手のひとり

いわば空母から戦闘機を発射させるカタパルト(射出機)で、肩甲骨がボールに勢いをつける役割を担っているといえるでしょう。

リリース直前背中全体が盛り上ってカタパルト仕様となった肩甲骨の豪快な動きを生み出す!

他の投手にはないこの特徴から長い腕を“さらに”長く使ってスイングする超高等技術を確立させているのです。

身長の120%にも及ぶストライド*1)で、踏み込み足よりさらに30cmも先でリリース*2)できる理由が、胸郭上を広域に移動できるこのとてつもない肩甲骨の可動性にあるわけです。

*1)MLB平均:87% *2)通常踏込足上でリリース

一見するとその力強いスイングから繰り出される豪快な投げ方に注目が集まりますが、実は体全体を上手に使って地面から得た力を徐々にボールに加える能力に優れる!

チャップマン投手の真価は日本人以上に繊細なその動きにあるといえるでしょう。

理に適った投げ方を探る

最大外旋で腰・体幹・肩・肘と引いてくるからスイングで大きなしなりが生まれる

さてこうしたチャップマン投手の投球メカニクスを観ると、そもそも日本人投手は本当に体全体を使って投げているのか?という疑問が沸々と湧きあがってきます。

もしかしたら「プロ野球投手=体全体を使った投げ方/理に適った投球フォーム」は常識であって最も見落とされがちな盲点なのかもしれません。

動きの重要性とその源

日本人ピッチャーはチャップマン投手のようにみずからの体をフルに働かせて投げているのか?もしかしたら従来の投げ方の常識に捉われすぎていないか?

これは実に重要な問題提議です。

なぜなら加速期からリリース直前まで、最大外旋位したままのスイングは身体のメカニズムからすれば当然なのに、そこに注目した意見や改善策を聞いたことがないからです。

投げる際の手の向きで球速がアップし、肘内側のストレスを軽減できる!チャップマン投手がみずからの投球で証明しているにも関わらずです。

画像では最大外旋域ではボールを持つ手が、しっかりとカメラ側(3塁ベンチ方面)を向いていることが確認できます。

この腕の捻じりをボールリリースで内旋にシフト

左利きのチャップマン投手ですから外旋位ではボールを握る手が3塁ベンチを向き、右利きなら1塁ベンチへ手のひらを向けてリリースの瞬間に内旋(内向きの捻じり)するという動きが理想です。

日本人はMERでボールを持つ手を空に向ける

理に適った投げ方をするなら1塁ベンチ側へ手を向けるべきですが、山本投手は残念ながら最大外旋位(MER)⑤でボールを持つ手が上/バッター側を向いてしまっています。

驚くことに多くの日本人投手が同じようなMERでの手の向きになっているのです。これではスイング腕に肩ー肘ー手といった一連の運動連鎖によるムチの加速やしなりが生まれません。

このスイング操作だと上腕骨最大外旋位⑤で肘関節へのトルク(関節が過度に開く牽引力)は最大になり、過度のストレスから肘故障のリスクが高まります。

チャップマン投手とくらべるとしなりが生まれにくい上に、地面反力で得た力が体幹で逃げてしまうため、上半身特に腕の力に頼ったアーム投げに見えてしまうのです。

体全体で投げることの意味を今までの常識で捉えていたら、おそらくスイング中最大外旋位での手の向きは注目されず改善されることはないでしょう。

本来ならこの問題こそが日本人がまず第一に考えるべき、理に適った投げ方の視点なのではないでしょうか。

外旋を最大にする秘訣は骨盤前傾

ケガのない効率的な投げ方と球速アップにはスイング中、最大外旋位をできるだけ保ったままリリースポイントで一気に内旋(内向きに捻じる)する動きが必要です。

チャップマン投手は踏み込み足への体重移動で腕を後方へなるべく残しながらバネ効果を高め、外側へ最大の捻じりを起こしてエネルギーを溜めこむ技術にも優れています。

最大外旋で力を溜め込んだ瞬間

それもこれもチャップマン投手が骨格構造的に十分な骨盤前傾で、黒人アスリートの骨格特性がピッチングメカニクスに良い影響を及ぼしているからです。

投球中(日常や他の動きでももちろんですが)無意識に骨盤前傾が働き(というかそれが自然)、地面反力から得たエネルギーをロスなくスローイングからリリースへ繋げています。

骨盤前傾によって脊柱の伸展としなりが起こり、続けて上腕が限界域まで外側に捻じられる最大外旋が起こります。

骨盤前傾と脊柱のしなやかな力強さに加えこの手の向きをスイング中維持することで、肘への負担を減らす動きとして機能します。

160km/h後半を常に叩き出すその剛腕にも関わらず、チャップマン投手はMLB実働11年間に肘の故障は全くでていません。

体にエネルギーを溜めこみ一気に放出、そして腕の捻じり効果を最大限に引き出す彼独特の投球技術が肘故障のリスクを起こさない強みといえるでしょう。

骨盤前傾維持が球速アップに寄与する一方、肘の故障を予防する手段にもなることを示唆するのに、この事実を知りたい・知ろうとする関係者・専門家、そして選手は未だ皆無です。

故障リスクと球数問題

現状手が上またはキャッチャー方向をすぐに向くスイングの山本由伸投手は、実働数年で肘故障のリスクが高まる可能性は否めません。

同様のことは多くの日本人投手にもいえることだと個人的には考えます。

球数制限・登板間隔・日程調整は確かに重要ですが、スイング腕の捻じりについては投手個々で一刻も早く改善すべき課題です。

投手の投げ過ぎ・過度のストレスから肘を守るのは、みずからが声を挙げること以外にあり得ません!

故障を防ぐにはチャップマン投手のような理に適った投げ方をするか!黒田投手(元広島・NYY)のように8割で投げても打ち取れる術を身に付けるか!自分で調子を見定めて投げるか否かの判断を下すしかないのです。

高校野球しかり、“親方”高野連の球数制限ルール化を待っていたのでは何百年経っても解決はありません!自分の体は本来、自分で守るのが鉄則なのです。

日本人投手は今一度、「体全体を使って投げる」ことの意味をみずからに問い、そのための+5度骨盤前傾とスイング腕の最大外旋位における手の向きについて再考すべきでしょう。

再考:体全体を使って投げるのまとめ

投げることの常識を再検証

▼球界最速169km/hや「チャップマン・フィルター」なるMLB最高球速ランキング50傑の“ふるい”に利用されるチャップマン投手、その投げ方の源は骨盤前傾で正に理想的

▼日本人投手が考える「体全体を使って投げる」動作には、最大外旋位でのボールを持つ手の向きは認識されていない

▼球速アップと肘の故障を軽減する可能性がある体の使い方を学ぼうとする選手・指導者は未だにいない!これは従来の投げ方の常識に疑問を持たない証

▼日本人投手が肘を故障するリスクは今のままだと減ることはない!早急にチャップマン投手の投げ方を分析し従来の固定観念に左右されない思考と実践力を身に付けるべき

TM鈴木

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