【育成の妙】日本ハムファイターズはなぜそれ程魅力的なのか~先見性とあらゆるアイディアで地域活性化:その思考に迫る~

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今年のドラフト会議、高校生としては史上最多7球団が競合した清宮幸太郎選手(早実)を引き当てたのは札幌に居を構える日本ハムファイターズでした。

過去にも大砲の中田翔選手や来シーズンMLBに挑戦を表明している大谷翔平投手を引き当てる等、日ハムは毎年この新人選択会議をうまくコントロールしているようにみえます。

それにしてもこの球団、育成と強化を上手に両立しながら地域密着の概念を地元に浸透させる等、なんだかやけに魅力を感じてしまうのはTM鈴木だけではないでしょう。

今回はもし一緒に事業展開するならばこんな会社(チーム)がいいんじゃないの?という意味を込めてファイターズのマネージメントの妙について迫ってみましょう。

当稿をみればおらが“ファイターズ”をもっと身近に感じられ、地元じゃなくとも応援したくなるかもしれませんね!(^^)!

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育成の妙を発揮

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地元のヒーローに大声援!

最近特に良く聞かれる「地域密着」というフレーズは、思えばこのチームが札幌に移転した当初から発展させきたキーワードのようにも感じます。

2004年の札幌ドーム移転以来、このチームは育成に力を注ぎつつ要所要所でペナントを制してきたという歴史があるのです。

幸運の女神を呼び寄せる確かなスカウト戦略

東京ドームを本拠地としていた頃、日ハムは上位を狙うも中々その目標を達成できず、ストレスのたまるシーズンを過ごしてきました。

しかし移転1年目秋のドラフトでダルビッシュ・有投手を単独指名し入団させてから、少しずつ流れが変わっていったのです。

2005年は高校生ドラフト1順目で陽岱鋼(当時は陽仲寿)、07は中田翔を4球団競合の末抽選で引き当て、2010・2011とそれぞれ斎藤祐樹投手*1)・菅野智之投手*2)と獲得しクジ運の強さを見せつけました。

*1)“もってる!?”斎藤投手のその後の低迷はご覧の通り

*2)菅野投手は入団を拒否し2012年に巨人が単独指名

さらにさらに2012年にはかねてからMLBへの挑戦を表明しNPB入りはなしとされていた大谷翔平投手(花巻東高)を単独指名し、独自の30ページに及ぶ育成プランや会社として二刀流の方針を打ち出し、翻意させた実績を持っています。

こうしたドラフト候補に対する戦略の“妙”は球界でも群を抜いており、その基礎となったのが球団の明確な指針とスカウトによる戦略です。

じっくり育て高く売る

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様々な催しものでファンを惹きつける!

ここからが “球団” 日ハムとしての真価が発揮される部分です。

ドラフトで獲得した選手(ドラフト外も含め)は鎌ヶ谷(千葉県)にあるファイターズタウンで一旦シャッフルされ、若手・ベテラン関係なく競争に晒されます。

ドラフトで有力選手を“かっさらい!?”、最初から一軍で出れるような飛び抜けた選手以外は鎌ヶ谷のファイターズタウンでじっくり育てるのですが、ブレイクする前の彼らを目の前で観れてしかも交流までできるので大変な人気なのです。

ビジネスセンスに富み球団のブランド化を高めようと日々躍起になるこの球団が、こんな機会を逃すわけがありません!

球場にくれば沢山の楽しいアイディアを盛り込んだいわば “スモール” ボールパーク構想を全面に打ち出した結果、二軍にも関わらず球団の資金源として大きな貢献を果しているのです。

さらにケガやスランプ後の調整で鎌ヶ谷にやってくるスタメン級の選手達も鎌ヶ谷ボールパークの雰囲気に触発され、ここで英気を養い復活するという道筋を付けているのです。

こうした戦略的育成&強化により、日ハムは生え抜き選手がスタメンに名を連ねる回数が他球団に比べて飛び抜けて多いという結果に繋がります。

損得勘定を理解するフロント陣

出典:https://goo.gl/J6xVwQ

ファイターズには確立された統一見解がありますが、それが「去る者は追わず」です。

FAになった選手は基本的に慰留することはなく、むしろ選手自身が得た権利を自由に行使することを認めています。

というのも球団は総額年棒をある一定の上限で抑えているため、チームの方針に見合わない高額年俸選手は自由契約やトレードに出すという方針を固めているからです。

今季大谷翔平選手が来季からポスティングを利用してのMLB入りを宣言しましたが、現行制度のままなら約22億円が譲渡金として日本ハムに入ることになります。

その一方で他球団で燻っている選手等を安く獲得し、チーム状況に合わせて程よく活躍させるという強化方針も確立しています。

今シーズン巨人から移籍した大田泰示選手もブレイク組みのひとりといっていいでしょう。

8年間在籍した巨人ではチーム事情もありわずか8本塁打、日ハムに移籍するやいなや途中出場も多いもののシーズン15ホームラン、さらにチャンスで好打という場面もみられ勝負強さが目立ちました。

ダルビッシュ・有投手、今回の大谷投手、さらにトレード等による移籍にしても、まさに人的資源を効率的に循環させチーム活性化につなげると同時に、会社として損得勘定を意識した健全経営を地でいく球団と言えるのです。

会社としての明確なビジョン

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ドラフト戦略が実に巧み!

今回の清宮幸太郎選手の獲得交渉にあたり、日ハムはいわゆる“清宮もうで”をしませんでした。

獲得意志を表明した他の9球団が清宮選手に熱烈なラブコールを行う中、なぜ日ハムは彼が希望した面談を行わなかったのでしょうか?

札幌移転から始まった育成の地堅め

ファイターズははっきりいってお金にはとてもシビアな球団です。

というのも札幌ドームは借り物で球場使用料が全て合わせると25~26億程かかり、さらに様々な規制によって自由な運営ができず、せっかく持っているボールパーク構想のアイディアを打ち出せない事情があるのです。

そうした事情からか、今季FAを獲得した超生え抜きの中田選手であろうと慰留せず、他球団との交渉がまとまらないとみるや大幅な減俸でチーム残留を決めさせたという経緯もあります。

球団の総額年俸で言えば5位と検討していますが、1位のソフトバンクや2位巨人、3位阪神等の人気球団とはかけ離れているのです。

そこで力をいれたのが選手をイチから育てる育成方針です。

この大英断には大きなチャンスとメリットがありました。

なぜならイチから育てることで地元札幌市民や北海道民に「おらが街のヒーロー」という美味しいイメージを持ってもらえるからです。

さらに育成強化を掲げて実行することで「育成に強いチーム」という印象を強めることにも繋がります。

実際にダルビッシュ投手や中田翔選手、そして大谷投手といった原石を磨きあげて一流にした実績は紛れもない事実であり、その“強み”が清宮選手との面談不要という判断を導きだしたのです。

清宮獲得に面談は必要なかった!

もちろん栗山監督と清宮選手の父:克幸さん(トップリーグ:ヤマハ発動機ジュビロ監督)が旧友だったということもあるでしょうし、スカウト活動で前々から話をしていたことも影響したでしょう。

でも「うちはあなたを指名するけど、面談はしないよ!その代わり今迄の育成実績をみてください!」という強い意志を感じずにはいられません。

既に十分な実績があるのだからわざわざ面談をする必要もない!しかも同じ長距離砲で同じポジションの中田もいて大いに競ってもらうことができる!

これ以上の環境は他球団にはないよ!うちはそうやって競わせて選手達を一本立ちさせてきた!

あなたの競争意識が高ければ高い程、選ぶ球団は限られている!それがうち(ファイターズ)なんだよ!

こうした方向性を札幌に居を構えてから少しずつ構築して球団の明確なビジョンは揺るぎないものとなり、そこに清宮選手も惹かれたのではないか!とさえ思えてしまいます。

もちろん交渉権を引き当てた運の良さもあったでしょうが(木田GM補佐のおかげ!)、その運を呼び寄せたのも移転後12年にわたり地道な育成強化を掲げた労力の賜物と言えるでしょう。

スキッパーの人選も日ハム流

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監督選びも戦略あってのこと

スキッパーとは元々船の船長を意味しますが、まさにチームの舵取り役ということで強化に沿った人材を選択するのもファイターズの特徴でしょう。

2012年シーズンより栗山英樹監督が就任しましたが、どちらかと言えばそれ程実績もなくむしろキャスター(他に大学教授、野球解説等)としての顔を持つ同氏が監督になるとは、予想だにしなかったというのが正直なところかもしれません。

監督1年目でいきなりパリーグ優勝、2016年はソフトバンクに11.5ゲーム差をつけられるも驚異の粘りでジリジリと追い上げ、ついにリーグ制覇そして日本一まで勝ち取ってしまいました。

育成&強化の2本柱でチームマネージメントをやりくりできる人材は、プレーそのものだけでなく人心掌握術に長けた博学の同氏を除いて他にはいなかったのかもしれません。

歴代の監督の元、様々な特徴を持つ指導者が集まっているのもファイターズの特徴ですが、最近で言えば吉井正人ピッチングコーチがその筆頭でしょう。

コーチ業を続けながら筑波大学大学院で学び修士号を取得した球界随一の理論派で、大谷投手を始めとする投手分業制を上手く組み合わせピッチングスタッフの確立に貢献しています。

まとめ

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ファンの拡大が運営を後押し!

実力拮抗のパリーグの中でも随一と言われる魅力を持つ日本ハムファイターズについて、そのチームマネージメントやフロント運営の面から検証してみました。

育成と強化の2本柱を中心に据え地域に根差したファンの拡大を目指したプログラム等を盛り込み、毎シーズン選手の入れ替えを含めた活性化がチームに浸透しています。

今年のドラフトの目玉である清宮選手獲得へのプロセスやその方向性が本人に伝わり、クジ運の良さも相まって結果的に獲得に繋がったのは、選手を育てて勝つを実行する球団の妙といえるでしょう。

最速165km/hが観れなくなっても次世代スター候補の清宮幸太郎選手が札幌ドームに新たな放物線を何本も描くシーンは、もう来シーズンに迫っているのです。

プロ野球界の選手流出を嘆く張本さん、ヒーローが抜けてもまた新たなヒーローが現れる、それが球界の活性化であり循環なんですよ~(^_^)

TM鈴木

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