色々なトレーニングの考え方やその方法が開発され、アスリートや関係者との関わりを経て発展を遂げてきたトレーニング界において、最も大きな変革の波のひとつがコア・トレーニングの普及です。
「体幹」「コア」「スタビリティ」等色々と呼び方はありますが、結局のところその概念はどれも同じであり、言い方・やり方を変えることで独自性や意味を持たせているようです。
多くのアスリートが実践しているコアトレーニングですが、実はその本質を明らかしていない現状があり、表面的な実践法だけが独り歩きしていると言った感が否めません。
コアの特性やその本質を頭と体で理解してこそ、本来のコア・ワークの効果やその価値が高まる!だからあえてもう一度コアについて見直してみようと考えました。
「日々是ワークアウト」こう言い切ることの理由(わけ)について迫るあなたにむけた渾身のメッセージです!(^^)!
Contents
本質は知らなければ変わらない!

頭上運搬のメカニズムとは?
「ペットボトルに水を半分くらい入れて頭にのっけて歩くと」(落とさずに)一番速く走れる人はだれ?
TVでは色々しょうもないことをやりますが、時々「ハッとする!」こともあります。それが今回の疑問!
ペットボトルは落ちない!
実は世界中の人種の中で最も速く歩けるのがアフリカ出身の人達、なぜなら彼ら/彼女らにとってこの頭に物をのせて歩く「頭上運搬」は日常だから!
「ペットボトルウォーキングダイエット」と、やたら長ったらしい名前をつけて健康ビジネスにつなげてしまうのは、なんとも日本らしいですが・・・(ー_ー)!!
水入りペットボトルを落とさないためには背筋をピッと伸ばしていなければならない!その行為がダイエットに繋がるという謳い文句なのですねぇ。
重いモノならばまた別ですが、ペットボトルを頭にのっけて歩けることは実はそんな難しいことではなく、やろうとすれば(練習すれば)だれでもできるし体への負担もなく、むしろ楽にできるのです。
ここで見過ごすべきでないのは落とさないことが凄い!それは体幹が強いから!ということではなく、むしろアフリカ人達の揺れを微調整する能力です。
基準がわかれば良い
彼女たちも歩くときはもちろん揺れていて(安定させようとしてはいるのですが)、正確には歩くとき体は横ブレや縦ブレは必ずあるのです。
頭にのせたものが落ちないためにはそのわずかにブレる状態を脳と体が察知して、その都度調整をする作業が必要です。
そう!彼女達は基準、つまりどこが立体的(前後方向・左右方向・上下方向から)に「0」の位置で、頭上にのせたものが安定するのか!を感覚的に知っているのです。
基準がわかれば例え前後・左右・上下に振れたとしても、その基準に戻すことは日々やっていれば比較的簡単なことなのです。
こうしたメカニズム(体の仕組み・動きの本質)を理解すれば、一見難しそうな動きにみえても修正・改善することは十分可能です。
実はこれこそがコア・トレーニングの本質であり、この事実がわかる人はほとんどいません!まさしく「日々是ワークアウト」なのです。
目には視えない!?コアの本質

コアの本質を見抜け!
ブームは未だ去らず!
「コア」「体幹」「タイカン」ブームが止まりません!『コア』は概念(考え方)であり、目で見ることはできません!
唯一体感できるのはあなた自身のみ!だからあなたがその感覚を感じ取れるかどうかは最も重要なポイントです。
体幹「ナ・ガ・ト・モ」
サッカー日本代表:長友佑都選手は「体幹トレーニング」を若くして始め、その効果をもっと良く知るアスリートのひとりです。
世界的な選手になるきっかけが独学で始めた「体幹トレーニング」、そこから専門家に指導を仰ぎ、今では関連書籍数種を出版するまでに上達したのは有名な話です。
長友選手が行う体幹トレーニング、通称「ナ・ガ・ト・モ」(←分類しやすいように独自で名前をつけました)にはある特徴があります!
それは力を発揮しながら様々なボディ・バランスの状態を維持する、どちらかといえばプランク(Plank:板状の)系に重点をおいた手法です。
しかしこの手法には大きな誤解を生むリスクがあります。
偏りに気付かないことが危険
プランク系はともすれば腹直筋を主とする表面の大筋群(グローバル・マッスル)の使用頻度が高まり、深部筋群(ローカル・マッスル)による分節ごとの安定性を高めることには貢献してくれません。
(彼の体幹トレの考え方を観る限り)長友選手のそれは安定化を重要視しすぎたため、その手法がプランク系を主とした内容に偏るトレーニングとなっていったのかもしれません。
もちろん本人がそれを承知で「とにかくあてられても相手が吹き飛ぶような体にしたい!」と考えたなら何も問題はありませんが、もし他の手法を知らなかったとしたら・・・、彼を指導したトレーナー含め体幹トレーニングの本質を知らなかったといわれても仕方がないでしょう。
メディアがこぞって「体幹トレーニング=○○○○○」等、アスリートのトレーニング風景をこれ見よがしに垂れ流し、煽ってしまうことの弊害がこんなところにもでているのかもしれません。
長友選手曰く「体幹・・・」への働きかけを安定性ではなく動的安定性と機動性にフォーカスていたら・・・、あるいは現状のパフォーマンスとは格段の差がでていたかもしれません(←あくまで推測ですが・・・)。
日々是[ワークアウト]
TM鈴木は「体幹トレーニング」ではなく、コアが様々な能力を発揮するということで【コア・ワーク】という言葉を多用しています。
[コアが様々な状況に合わせ、色々とその働きを微妙に変えて働く]ので、安定化だけなく《勢い・加速・減速・方向転換》といった要素の源という意味をこめてこう呼んでいます。
だから「体幹(コア)トレーニング=○○○」という決まっているかのようなイメージ作りの状況には非常に違和感をおぼえます。

立って靴下を履けることの意味を探る
極端ですがことさら体幹を強調するような“魅せる”トレーニングをせずとも、例えば歩く・走る等の基本動作、靴下を履く等の日常動作も十分効果のあるコア・ワークです。
画像では両腕の間に脚を持ち上げてはいていますが、多くの人はこの状態を維持しながら靴下を履くことさえできないかもしれません。
もちろんアスリートならこんなことは朝飯前にできるはず←(^_-)ですが、脚を外側へ持ち上げてまるで“足4の字”のような形にして履いている人も意外に多いはず。
手段の前にその背景を探れ
映像的に見栄えのよさそうな体幹トレーニングはやっても、靴下を履くときに座って(立って)“足4の字”で履いているようでは、その人のトレーニングに対する姿勢が視えてしまうというものです。
「ワークアウトは日常!」というのは正にこのことなのですが、そのことを理解できる人はそう多くはありません。
因みにTM鈴木が考える『ワークアウト』とは、みずから進んでおこなう面白そうな日常・スポーツでの動きのことです。
面白くなければワークアウトじゃない!とまで言うほど、その内容は体が楽しめるものでなければ意味がないのです!
トレーニングは「やった!」感をだすことも大切ですが、その本質に常に目を向けていないと!もっと言えばその本質を見抜けないと、ただ体を酷使するだけの労働でしかありません。
動きに脳を介在させなければ、つまり楽しい・面白い・なぜそうなるのか?といった感情が噴出しなければ、体は思った通りに動いてはくれないのです!
方法(手段)はいくらでもありますが、くれぐれも目的に導くための物事の本質は見失わないことが大切です。
動きを個別化する

不安定な環境でも思い通りに動く体にする!
動きやポーズ(静止状態)にはそれぞれ個性があります。動作中の各パーツの位置関係を個別化できると、様々な動作に対し敏感に体が反応するようになるのです。
例えば泳ぐときにコアはどのように機能するでしょうか?その一端を覗いてみましょう!
浮力でくずれるバランス
クロールのとき、右で息継ぎをするなら左手が真っ直ぐ頭上に伸びた状態で体全体が最適なバランスを維持する必要があります。
バランス維持に欠かせないのは分節(骨ごとのボディパーツ)という考え方です。分節とは骨盤と脊柱と胸郭と大腿骨というように関節で分割したボディパーツのことです。
コアの概念がなく、コアが働かないの場合、まず上半身と下半身を統一させる動きをイメージすることはできないし、動きがばらけてしまうので水の抵抗が増えたり、浮力が一定に定まらず前に進むことは容易ではありません。
息継ぎの瞬間上半身の時計回りの捻じりに対し、下半身はそれに適応した形で動く必要がありますが、上半身と下半身の協調性がないと動作に大きなムラができてしまいます。
さらに横から観た(矢状)面と天井から観た(前額)面からの立体的なブレが生じます。
本来なら速く進むために体が水圧・浮力・抵抗に合わせて上半身と下半身の動きを同調させスムースに泳ぐべきところを、水中の特性に姿勢維持や水をコントロールすべき機能が高まらないわけです。
動きの個性化としてのボディパーツ

動きの個別化:それぞれに筋肉の使い方・比率は異なる
上半身・下半身の動きのばらつきの元は、各(ボディ)パーツどうしの同調性が失われた結果であり、コアのイメージがまったく掴めない場合に起こる典型的な無駄といえるでしょう。
例えば骨盤と脊柱との同調がないと股関節との連動も起こらず、そうなると力の伝達が低下し結局、水を上手く捉えることができず、技術向上にはつながりません。
TM鈴木がおすすめするコア・ワークではこうしたボディ・パーツごとに起こる動きの位置変化を感じ取り、体感覚を高める(目覚めさせる)ワークアウトを実践します。
コアを安定させることより、むしろ動作中にある各パーツの動きを感じとる性能を磨いていくことで、体を上手に動かす感覚を高めていくのです。
思い通りに動かせる体!を実現するために必要なのは、“強く・安定させる”を意図した体幹ではなく、体各部の動きの位置変化を感じ取れる性能、つまり動きの個別化に目を向けられる人だと考えます。
今からでも遅くありません!TM鈴木オリジナルの【コア・ワーク】で動きの微妙な感覚を感じとれる性能を高めてみませんか?
それが「日々是ワークアウト」の意識に繋がるのです!(^^)!
まとめ:

物事の本質に目を向けてみよう!
近年コアトレーニングの普及によりスポーツ動作パフォーマンスは急速に発展を遂げたといっても過言ではありません。
しかしコアの概念やその本質について正しく理解されているかといえば決してそうではなく、誤った方向性で実践していることも多いのが実情です。
動的安定性とは人と競い合ってあたり負けしない!ことではなく、如何に元の(動ける)位置に戻るかという思考に由来します。
スポーツ動作であれ日常の動きであれ、各々のボディパーツの位置関係やその情報を感じとれる能力:動きの個性化を生み出すために、常に物事の本質(裏側)見抜く眼をもつことがおススメです!(^^)!
TM鈴木

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