子どもの運動神経・潜在能力を高める方法は習い事より親子で考える機会を持ち、一緒に遊んで楽しむことです!
スイミング・サッカー・野球・バレエ・ピアノ・バイオリン等、実に多種多様な習い事がある中、専門的な塾が脚光を浴びています。
そうした施設には子供専用&科学的トレーニングを謳うスポーツ塾があり、先ごろ東京(豊洲)でとある民間企業が運動能力を高めるサービスを始めています。
子どもを持つ親としてはこうしたサービスが本当に運動能力を高めるか否か?、そして科学的トレーニングの必要性とさらにとび抜ける「突出」の意義を考えます。
「見誤ると目指すゴールにはたどり着けない」我が子の将来を思えばメッセージの意味を深く考えてみる必要があるでしょう。
対象:子供のためのスポーツ塾や関連サービスを利用しようと考える親・関係者
目的:塾で運動神経がよくなるのか?その前に親が考えるべきこと
キーワード:#子ども #スポーツ #上達 #運動神経 #発育 #発達 #塾 #議論 #運動 #能力 #運動知脳
Contents
進むべきゴール設定

科学トレをやらされる子供とそれを見守る親達:資料提供 http://ur0.link/PJDR
始めにこれだけは言っておきますが、民間が手掛けるこうしたサービスについて良し悪しの判断や批評を述べるつもりは全くありません。
スポーツ庁を窓口としてお国も日常生活にスポーツをとり入れよう!と奨励しているし、そこに科学的トレーニングもとり入れたサービスを提供することの意義は大きいでしょう。
問題はそれを受けようとする側の考え方であり、目指すゴールを見誤ることの是非なのです。
親が握る決定権
子どもは様々な状況で選択する意志を持っていません!正確に言えば選ぶためのベースがないので(自分にとって)何が良くて何が良くないのかを判断できないのです。
そこで親が代わりにそのジャッジをするわけですが、例えば「子供専用スポーツジム(塾)が我が子にとって(どのように)良いか(または悪いか)」ということです。
「子供専用」「科学的トレーニング」「最先端授業」「基礎体力の発育・発達」「苦手な運動克服」等、その上「コーディネーション・スポーツビジョン・低酸素トレ」と今流行のキーワードを出されたら、普通の親なら心が動かないはずがありません。
これはつまり親の考え方次第だと!言うならばエゴ(ego)によって子供を含めた目的対象への印象がよくもわるくもなるということです。
子供達が受けるそうしたトレーニング(サービス)はあくまで民間が手掛けるため、親子共々満足させる内容満載だから、その“商品”を購入する顧客満足度は自然に高まります。
楽しい!成功した!満足した!こうした結果を繰り返すことで我が子の運動能力も高まり、かくしてそのサービスは大成功を収めこととなるわけです。
しかし! です。
運動能力が高まるという迷信
受講生達の運動能力はその受けた訓練の範囲内では当然上達するでしょうから、直接的なスコアつまり平均値が高くなるのは当然です。
与えられた環境に適応することで訓練の範疇における成果は当然上がりますが、それはあくまで多くの要素の中のいち部分でしかありません。
提供された側は例えばビジョントレーニングでの、言ってみればその“技術”を高めたことに過ぎないのに、それで運動能力が高まったと解釈するわけです。
過去に任天堂DSの「脳トレ」というゲームで、高得点を獲れたから “脳” の機能が高まったと勘違いするのと同じレベルです。
たかだか与えられたタスク(任務)でハイスコアを出したからといって、それで脳の働きが高まった!と当時多くの人がそう思ったのですが、こうした塾での結果もまさに同程度のレベルです。
何も知らない親達は我が子が素晴らしい結果を出したと喜ぶかもしれませんが、実際のスポーツでその能力を生かしきれたとしてもせいぜい限定的でしかありません。
人間の能力とは人間が定めた範疇の取り組みだけで伸びることはなく、様々な不確定要素が集まった上に成り立つものです。
運動能力とは何ぞや!

目的を見誤ると目指す成果は得られない!資料提供:http://ur0.link/PJE8
子どもの運動神経を高めるためにスポーツ塾・関連サービスを利用する際、親が第一に考えるべきことはなんでしょう?
それは我が子がどのようになりたいのか?明確なゴールを持ちそれを親子で共有することです(途中から目標が変わることは往々にしてあること)。
その上でどうしてもスポーツ塾を利用しようとするなら、「運動能力」がどういうものなか?その抽象概念を出来る限り具体的に明確にするために親子でイメージをつくり上げておくべきでしょ。
創造・発想を搔き立ててくれる?
スポーツ塾のサービスは多くの場合みんなが同じ内容を受けるため、その取り組み(ゲーム)での“技術”を高めることから平均値は上がります(←前述しましたが)。
中身は与えられた条件下で目標を達成しているに過ぎず、創造や発想する能力はほとんど育たない!つまり『突出』することなく平均に発育・発達するどんぐりの背比べななのです。
平均的な常識人(ビト)を目指すならまだしも、最先端の科学的トレーニングという触れ込みを鵜呑みにし、その先のゴールを見据えるなら、一度立ち止まって再考するべきでしょう。
与えられるタスクが科学的根拠をベースとしていようとも、人間の範疇で作られた“ゲーム”をいくら消化したからといって、それ以上にはならないことを知っておくべきです。
その意味をわかった上で利用するならばそれも真なり、そして遊ぶ・動く機会を提供してもらい競争させることでやる気や集中力が高まるため、それなりの価値はあるでしょう。
運動能力・特定スポーツ技術を高める(そう謳う)塾に入れる、幼少期からゴルフ技術を高めようと自宅の庭に子供専用のゴルフ場を作る、中学からパーソナルトレーニングを受けさせ体作りをするという行動の前に親が考えるべきことは沢山あるはずなのですが・・・。
リスクを負わないリスク・フリー
またこうした塾やサービスに共通するのは、失敗してもリスクは負わなくてすむ!という「リスクフリー」の考え方です。
グループワークであろうと単独であろうと、失敗を失敗と思わせないような内容にまで落とし込んでいるため、実践する本人に失敗した感覚は残りません!
運動能力向上にはリスクがあり失敗もありうる!という日常経験が必要ですが、楽しさ・面白さ・モチベーションをあげることをウリにするため、その危険性を極力回避しています。
リスクをとらなければもちろん大きな成果は期待できません!
木登りをする時自然を相手にするのだから、当然滑ったり枝が折れて落ちることもある!もし落ちてケガをしたら自分の責任!なら落ちないように上手くのぼるにはどうしたらいいか!
子どもやその親を顧客とするサービスにはその思考を含むと危険がともなうため、提供することはできないのです。
子どもたちは当然この事実には気づきません!だからこそ親が子どもの「運動能力を高める」「発育・発達を促す」というテーマを自問自答し続けながら決断すべきなのです。
運動知“脳”を引き出す

我が子の運動知脳を引き出せるのは親であるあなただけ!
子どもの「得意」を引出し「苦手」を克服する!とのふれこみで提供されるこうしたサービス、実際のところ否定的な意見はあまり見受けられません。
しかし我が子の『運動知“脳”』を引き出したいなら、非日常的な動きの結晶であるスポーツは全知全能を駆使すべきであり、万人に効果をもたらす塾のサービスにそれを期待するべきではないでしょう。
本質を見誤ることなかれ!
上っ面だけを取り繕いその中(ゲーム)で結果を出したとしても、スポーツが上達するかといえばそれは大きな間違いです!
科学を利用することは大いに結構!
しかし見誤ると先進的なトレーニングでもなんの効果もなく、逆に我が子に過度の期待を抱かせ、パフォーマンス停滞につながることも覚悟しなくてはなりません。

本質を見抜くには?
私自身こうした塾に子どもを預けるか?と問われれば、答えはノーです。なぜなら子どもの発想力を高める仕組みがなくアスリートに必要なイマジネーションが創造されないからです。
最先端の科学が施されていることは事実でしょうが、それを提供する仕組みには大きな問題があります。
トレーナー含め提供する側もおそらく自社サービスの本質を知ることはないでしょう。深く考えられるならそもそもこうした見栄えだけの良いサービスにはならないはずです。
この塾に行けばすぐにでも(実際は金を払って会員になってから)科学的トレーニングとやらを提供され、やってみたらすぐに結果がでる!それを重ねて(その範囲内で)上達する。
野球チームにはいって自分が上達するための方法を自分で確立することなく、指導者の思うがままの練習をこなし、つまり《やらされて》それなりに上達したのとなんら変わりません!
みずから考え繰り返す力
できないことを暗中模索しみずからやり方を考えつつ試行錯誤を繰り返し、再びトライしさらに上達しようと回数を重ねてゴールにたどり着く!
こうした親と子が過程を踏めば、どんな不測の事態にも対応できる安定したパフォーマンスで、常に勝利をものにしようとする思考と行動力が確立されます。
それこそが運動知脳の発達です。
創造と発想が高まるのはみずから考える能力を日常的に駆使するからです!
みずから考えて実践していく(動いていく)仕組みでなければ、仮に同じ上達であっても本人の創造力や発想力には繋がりません!
子供がその行動力を飛躍的に向上させるにはイマジネーションが必要で、そうした過程でトライ&エラーを繰り返しながら失敗を恐れない強靭なメンタルが育ち、さらに挑戦しようとするスピリットが形成されます。
ところが流行のスポーツ塾は「こうすればああなる」という元々の科学的根拠がベースにあるため、『規格“外”』が生まれる土壌は育たないのです。
親子でチャレンジの意義
最も大切なことは子供が様々なことにチャレンジできるよう親が試行錯誤し、日々運動能力と向き合って一緒に行動を共にすることです。
子供の一挙手一投足を見守る・チェックは当然、必要なら指導者・ママ友・パパ友とのコミュニケーション、関連情報収集とフィードバック、当然子供と一緒に動く(遊ぶ)ことは最優先です。
スポーツ塾に入れるか否かはそのあとに考えても遅くはありません!一緒に考えて行動できるならむしろそうした塾は必要なし!と判断できるかもしれませんね。
塾やサービス任せにすることなく、子どもが脳に汗をかくためには親がその何倍もの汗を脳にかいておく必要があるということです!
もしもアベレージではなく我が子に『突出』してもらいたい!なら、そうした考え方や姿勢を常に子供に示してあげることでしょう。
当稿では親子でチャレンジする例として速く走るための運動「ハシリウカビ」を紹介します。
速く走れるようになるだけでなく、子供の走る(動く)力加減をタオルを通して感じられるのでその後の動作改善に役立ちます。
まとめ:
昨今流行りの運動能力を高めるスポーツ塾に着目し、我が子を預ける親はどう考えるべきかを提言しています。
科学の力で“部分的”な運動能力は伸びる可能性はあるが、提供する仕組みの限界を理解した上で利用することが賢明です。
画一的過ぎて一瞬のひらめきや状況判断力、創造・発想する力、現状を察してみずから積極的に動くメンタルを生む土壌ではありません。
与えられたトレーニングで平均は上がってもとび抜けることはないため、親が子供に積極的に関与し続けることのほうがはるかに重要です。
TM鈴木