スポーツは非日常の動作です。
日常的に使われる筋肉をさらに使い、普段はあまり使われない部分も駆使することで多くのアンビリーバボー!?な動作を育んでいます。
そんな非日常動作であるスポーツの動きには、それに適した姿勢も必要だとTM鈴木は考えています。
普段とは異なる姿勢(日常生活の延長ではありますが、明らかに違っているという意味で)の重要性を説く専門家はほとんどいません。
そこでTM鈴木が考えるスポーツ活動(=運動)に適した姿勢というものをご紹介します。
いつもの姿勢にちょっとした工夫を加えることで競技パフォーマンスが3割以上アップする(かもしれない)姿勢のお話、是非最後まで楽しんでくださいね!
Contents
良い姿勢は存在しない!?
多くのその筋(すじ!?)の専門家が「良い姿勢」とか「悪い姿勢」等と言っている場面を、沢山目の当たりにしてきました。
この考えにはかなりの違和感があります。
なぜなら「何をもって良い(悪い)姿勢」を決めているのかが曖昧だからです。
曖昧な定義と大体の予測
世間一般的に「良い・悪い」という基準であれば、それには多くの主観が含まれているため、人によって良いのか悪いのかは意見が分かれてしまいます。
便宜上そうしていることはわかっていても、あまりに曖昧過ぎてサービスとして提供するにはどうかな?とも思ってしまうのです。
例えば「(胸を張って)姿勢を正してください!」とよく言われますが、さしたる基準もないのにどうやって姿勢を正すのでしょう?
正しい姿勢とか良い姿勢は具体的にどういう姿勢なの?と聞いても、返ってくる答えはなんとも曖昧で聞けばなんとなくわかりました!と返答する程度です。
本来の姿勢における基準
出典:https://goo.gl/g2Ewtk
基準とするかどうかはさておき、姿勢の基準となり得るリソースは存在します。
それが「解剖学的肢位(AP:Anatomical Position)」です。
ニュートラルポジションとも呼ばれており、これが一応の姿勢を定義する場合の基準として学術的にも用いられる場合が多く見受けられます。
TM鈴木が提供するパーソナルトレーニング等ではこのAPの姿勢の姿勢に加え、+α(アルファ)の項目を「理想的な姿勢」の基準として追加しています。
APは立位姿勢で両足を肩幅の2/3程度に開き両掌前方へ向けます。
姿勢という点でみるAPは、筋肉の利用を極力省いて骨格特性のみで立っていられる状態であり、最も基本的な言わば解剖学的に「理想の姿勢」といっていいでしょう。
真横からみた場合、APだといくつかのポイントが設けられています。
【耳口ー肩峰ー大転子ー膝関節前部ー外果前方】
といったラインがあり、そのポイントに沿っていることが解剖学的肢位でいうところの理想的な姿勢と定義されます。
ただこのAPは骨盤の傾斜角度については(学術的に)何も触れられていません。
運動に適した姿勢の考え方
スポーツ動作ではこの(AP)姿勢が最も適しているかと言えばそうとは言い切れません。
スポーツ活動は非日常的動作として筋肉の関与を最大限に増やす必要があるからです。
筋緊張とアスレチックパフォーマンス
骨格の自然な配列と筋肉の最大限の関与によって人々を魅了するような動き(走る・泳ぐ・跳ぶ・投げる・打つ等)が可能となるのです。
筋肉(骨格筋)の介在を極力増やすということで重要なのが筋肉の長さ(筋長)であって、具体的には使う前に筋肉をある程度伸びた状態にしておくことです。
筋肉が引っ張られている(縮んでいる)状態、つまり筋のテンション(張力)を一定以上に保っておくことが動きの能力を高めるための重要な要素と言えるでしょう。
この状況を満たす姿勢とはどういった姿勢なのでしょうか?
それはTM鈴木が日頃から説く骨盤前傾位姿勢(APTポジション)です。
伸びる時に力を発する筋肉
出典:https://goo.gl/NeLJqj
(骨盤前傾位をとれる能力のあるアスリートを前提として)骨盤を前傾していくと、お尻の付け根から膝付近にかけてが伸びていく感触があるはずです。
同時にお腹の奥にある両側の縦ライン(イメージ)が、鼠径部辺りからググッと頭部に向かって引っ張られる感じがあるでしょう。
この前と後ろ側の伸びは、それぞれ大腰筋とハムストリング(腿裏)という筋肉の活動になります。
大腰筋は鼠径部を抜けて股関節内側に付いているし、ハムストリングはお尻の付け根(坐骨結節)から膝裏を通っています。
どちらの筋肉も伸びながら(重り等により筋長が伸ばされながら)力を発揮する伸張性収縮(EMC:Eccentric Muscle Contraction)という働き方を得意とします。
*1)短縮性収縮:骨格筋筋長が短くなりながら力を発揮する様式
実はこの2つの筋肉、機能的に言えば主働筋*2)と拮抗筋*3)の関係にあります。
*2)主働筋:ある動作でメインとして働く筋
*3)拮抗筋:主働筋の動きに際して反対の働きをする筋肉
大腰筋・ハムストリングは股関節を(中心)軸として引っ張られる時に働きやすく、そして一方が主働筋として働けば、もう一方はそれに対抗する拮抗筋として機能しています。
伸びる際に力を発揮するため、大腰筋・ハムストリング共伸びきった後にググッと縮む時にも大活躍してくれるのです。
*注1)股関節の軸を中心に大腰筋(腸腰筋)とハムストリング(坐骨結節に付着:図上で示されていない)の関係を現しています
このハムストリングと大腰筋がうまく働くことで骨盤は前傾位を維持することができます。
黒人アスリートがあれ程の見事な骨盤前傾角を維持できるのは、ネグロイド(人種)特有の骨格特性はもちろんありますが、大腰筋やハムストリングの(大)活躍が非常に大きいのです。
姿勢はパフォーマンスに影響する!?
出典:https://goo.gl/FzEdYu
身体動作を主とするスポーツにおいて姿勢の良し悪しがパフォーマンスに影響を及ぼすか否かは非常にセンシティブな問題です。
答えはどこにあるのでしょうか?
道に迷ったら現場をみよ!
出典:https://goo.gl/Bcx5YE
良い姿勢かどうかはわかりませんが、陸上100mの世界記録保持者であるウサインボルト選手の立ち姿を観て「この人姿勢よくない!」と思う人はまったくいないのではないでしょうか。
陸上・サッカー・野球等その他スポーツにおいてもアスリートの多くは解剖学的肢位という視点でみても(直す必要があまりない)理に適った姿勢をしています。
ただ骨盤の前傾位角については個人差・人種差があるのは確かです。
大腰筋とハムストリングの拮抗作用が維持でき骨盤の前傾位がしっかりと確立されたアスリート、これがTM鈴木が観るところの【姿勢によってパフォーマンスが高まる可能性のあるアスリートと言えるでしょう。
日本人でいえばサッカーの長谷部選手、テニスの錦織選手等は両筋の拮抗バランスを保って骨盤前傾位を維持できている感じです。
ちょっと前の中田英寿選手も理に適った姿勢をしていましたね。
サッカー日本代表の長友選手やレアルマドリ―のクリスチアーノロナウド選手は腹直筋が強すぎるきらいがあり大腰筋/ハムストリングの筋長はアンバランスかもしれません。
理想的な姿勢がパフォーマンスに及ぼす影響
過去の様々なスポーツシーンを観ると当時の選手達と今とでは姿勢が大幅に変わっていることを感じとることができます。
特に大腰筋とハムストリングは足裏が床や地面についている状態で身体全体を支え、爆発的な推進力を生み出す動力源でもあるため、姿勢維持とスポーツ時の動作には深い関係があると言えるでしょう。
こうした姿勢の良し悪しがパフォーマンスに直接的に関わるかどうかは今後のスポーツ科学分析を待つことになります。
ただ近年、各スポーツにおける動作をスムースに無駄なく力強く行えるためのトレーニング過程において、姿勢の改善は大腰筋・ハムストリングといった伸張性収縮を得意とする筋肉への積極的な刺激と、骨盤前傾位維持との関連性とも深く関係するため、双方同時進行で平行して養っていくべきものと個人的には考えています。
ちょっと脱線!
世に出回っている姿勢矯正のサポートインナーやサポーターってほとんどが肩甲骨の位置を矯正するものですね。
例えば背中の肩甲骨付近にバッテン[X]上の網目を縫い込んであったり等、つまり肩甲骨を内転(背骨側に引き寄せる動作)させればいいという視点に基づく考え方です。
しかしTM鈴木が提唱する理想的な姿勢(世間一般に言われるところの[良い姿勢]にも通ずる)ではこの類のサポートでは大腰筋とハムストリングの一定の張力バランスによって起こる骨盤の前傾位維持ができません。
仮にこうしたサポートを促すのではあれば、下背部~上臀部にかけてのバッテン[X]構造を模したインナーが理想的かもしれません。
まとめ:
出典:https://goo.gl/nEjK5x
スポーツ動作に必要な姿勢があるとすればそれはどんな姿勢でしょうか?
TM鈴木は良い(悪い)という評価ではなくスポーツに適した機能的な姿勢という観点から、解剖学的肢位に[+α]を加えた姿勢を推奨しています。
上半身と下半身を繋ぐ唯一の筋肉である大腰筋と、移動の推進力として欠かせないハムストリングの張力(筋長)バランスを整え、骨盤前傾維持を促す姿勢こそが最もスポーツ動作を高める(パフォーマンス向上)姿勢だと考えます。
この両筋群の長さの均衡を保つことで骨盤前傾位での維持は黒人アスリートと遜色なく容易に可能となり、、日本人アスリートの活躍が大幅に増える可能性があります。
TM鈴木