腰痛でも慢性化しいつも、あるいは断続的に起こる痛みはわりと放置される場合が少なくありません。
アスレチックトレーナーとして腰の痛みを治そうと病院や治療院で治療をされる方々を多く見かけますが、思った程改善しないのが現状のように観えます。
お話しを聞くと治療やエクササイズ後は痛みが一時的に消失しても、数日するとまた痛く(多くの場合は鈍痛)なるという方も多くいらっしゃるようです。
なぜそうなるのか?を考えるとなんとなく見えてくるものがあり、そしてこの腰痛にはいくつかの共通点もあるようです。
主に慢性化する腰痛に関して、どうしたら改善できるのか?腰痛への対処(法)について少し異なる視点から迫ってみましょう。
Contents
慢性腰痛を引き起こす要因
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Backache
慢性的な腰痛に悩む人達を観ているとある共通点に気づきます。全て当てはまるという人はかなりやっかいな状態と考えて良いでしょう。
尚、動けない程の腰の痛みや脚(足)に痺れがでる等の症状の場合はこの限りではなく、その場合は早期に有能な整形外科を受診することをおすすめします
慢性的な腰痛を呈する人の共通点
・一見すると太っている
・姿勢に問題がある
・運動不足
・身体(筋肉と関節)が硬い
・「〇○(例:仕事が)忙しくて・・・」
・睡眠不足
・神経質/心配性
・よく食べる(特に糖質等)、さらに飲む
・治療すれば治ると思っている
もしあなたに持続する、あるいは不定期な腰痛・鈍痛があり上記のどれかに当てはまるようなら、その症状は中々改善しないかもしれません。
どれも少なからず関係していて、特に現代人の生活に蔓延る大きな問題と考えられます。
肥満と慢性腰痛
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肥満と腰痛は関係ないとはいうけれど・・・
肥満と腰痛の発症に明らかな関係はない!という意見は多くの専門家の知るところですが、だからといって肥満が健康上良いというわけではありません。
また体重が適正値を上回れば日常生活での“動きやすさ”にも確実に影響し、運動不足や仕事・日常生活にも悪影響を及ぼしかねません。
肥満の指標は体重と身長の関係から算出される人の「肥満度」を表す体格指数:BMI(Body Mass Index:体重/身長2)で判定し、一般的には18.5~24.99が《標準体重》とされ、それ以上は肥満(1度・2度・3度)と判定されます。
また男女限らずBMIが25を超えるあたりから腹囲(ウエスト周囲径)がグングンと太くなり、男性:85cm、女性:90cmを超えるとメタボ[メタボリック・シンドローム*1)]の要因となります。
*1)内蔵肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をまねきやすい病態
肥満はこうした病態にも繋がり、また皮下脂肪が増えることによる体重増および筋肉量低下の引き金になることから、腰痛を引き起こす病態となる可能性は高いと考えられます。
治療への依存がもたらす悪影響
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治療では依存しないことが大事!
「腰痛治療では腰痛は治りません!」
いきなり衝撃的!?な発言ですが、実はこれ中々的を得ていると思います。
腰痛を治したい・改善したいから治療しているのにそれでは治らないってどういうこと?と思うかもしれませんが、実はこういうことなのです。
眼には見えない地球の圧力
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誰も気づかないが大きな力
人が生きて生活していく限り地球の中心に向かって働く力:重力に対抗する必要があることに気づいている人はほとんどいません!
慢性的な腰痛に悩まされる人、あるいは腰痛を経験しない人もこの事実をまったく知らず、自分の体重と同じだけの([60kg]のひとならば[60kg重]という)重さが体重に加わるっていると知らされると『えっ!』という表情をすることもしばしば。
というか治療する時にこんな話をする専門家はいないのかもしれませんが、TM鈴木はクライアントに対しまずこの重力と人との関係についてお話しすることにしています。
なぜかと言えばこの重力に対抗できないことが腰痛を引き起こす大きな要因、つまり筋肉の機能(質)が落ちることで骨格のみで体を支えるという“負担(ストレス)”が高まった結果、発症することを知ってもらいたいのです。
だから慢性腰痛の改善には当初こそ痛みの軽減を目的とはするものの、経過が良好な場合はこの重力に逆らって動かせるカラダづくりを優先すべきなのです。
重力と人間(や動き)の関係を理解しないと、結果的に「痛みを軽減する」という目先の対処法しかトライせず、「痛みなく動かせる」ゴールに近づかない!という事になりかねません。
「腰痛治療で腰痛は治りません!」の真意とは、治療よりも筋肉の質を高めて日常生活にカラダを慣れさすことが優先という意味を含んでいるのです!
痛み・違和感が出るのは当然!?
腰痛が治るとは例えばアスリートであればそのスポーツ特有の激しく変化のある動きでもまったく心配なく動かせる状態です。
しかし一般人、特に中高年の場合はちょっと違い、一度痛みが出た腰に対してまったく痛くない状態するのはかなり困難なことを承知しておくべきです。
痛みは消えたとしてもボわ~ッとするような違和感や鈍痛等は残っても仕方がない!といった程度に考えるほうがむしろ健全でしょう。
大抵は痛みが多少あったり季節や身体の健康(疲労)状態により違和感が現れるのは仕方のないことです。
腰痛は身体に起こる変化であり、それは多くの場合組織の損傷を意味するのだから、組織の損傷が完治しない限りは違和感も完全には引いてくれないのです。
特に中高年の場合はこの痛みが完全に引くことがない可能性はあり、それは組織つまり細胞の生まれ変わりが遅いために再活性に時間がかかるのと関係しています。
組織に残ってしまった傷や骨の変性(変形)が治りきらないと、身体を支えたり動かしたりする時にその個所に負担がかかることはよくあることなのです。
なぜウエストは細くなっているのか?
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ウエストには細くなる理由が・・・
ちょっと誤解を生むタイトルですが正確には「そもそも(バストやヒップにくらべ)なぜウエストは細いのか?」という意味で、それは胸郭(肋骨の集合骨格)や骨盤のような土台となる骨格が存在しないからです。
ウエストとは別名:腰部、または肋骨(ろっこつ)と骨盤の間の“くびれた”部分の名称です。
ウエストはいわば筒状の円柱でその中を後方に骨が縦に連なる脊柱、そして前方に内臓が位置し、上は膨らめばドーム状に変化する横隔膜、下は骨盤底筋(群)によって一つのユニット(円柱状の部屋)を形成しています。
骨盤や胸郭のような強固な骨格があるわけではなく、膜によって覆われた腹腔とう壁とその外側にある3層構造の筋肉(腹横筋・内腹斜筋/多裂筋・外腹斜筋/腹直筋/起立筋)で内部の圧力を一定に保っています。
腹空圧の絶妙なコントロール
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お腹の圧はコントロール可能!
筋力低下や脂肪蓄積は重力によってその(円柱の)形を上から押し潰すようなもので、こうなると“柱”である脊柱には上から下に向かう体重と同じだけのストレス(重力)がまともに加わることになるわけです。
円柱を上から押し潰そうとするとその筒には歪みや加わって脂肪は蓄積しやすく、臀部や太腿と同等に皮下脂肪も貯蔵しやすい条件がそろっているわけです。
ウェスト周囲筋を最大限働かせると腹空圧をコントロールしやすく、細くシュッとした“筒”にもなりますが、筋(量)の減少・硬化・機能低下・皮下脂肪蓄積により、無駄に太くなってダラ~ンとした形にもなり得ます。
後者の太くだら~んとした“筒”状態が腰痛を引き起こす一要因となるため、そのストレス状態を如何にクライアントにイメージしてもらうかが、腰痛改善に向けた第一歩というわけです。
慢性腰痛に対する新たな考え方
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First Step!考え方を変えること
腰痛、特に慢性腰痛の改善ではクライアントそれぞれのゴール(目標)を設定することがとても重要です。
良いスタイルには理由(わけ)がある!
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自然なカーブは腰痛の予防に最適!
円柱状の“筒”であるウエスト(ユニット)の内部圧力を周囲筋群の伸縮によって高めることができれば、ウエストを細く・太くすることは自在にできるようになります。
慢性腰痛の改善にはまずこのお腹の圧力(腹腔圧コントロール)を高めることが絶対条件で、そのためには呼吸法も含め、ウェスト周囲筋や腹腔の伸縮性能を高めることが不可欠です。
腹腔圧コントロールには骨盤の傾斜角によってウエスト(ユニット)とバスト/ヒップの差、つまりメリハリ(くびれ)を創り出すことも重要です。
男性/女性関係なく体幹のメリハリを維持できることは腰痛予防にとって非常に大切で、ウエストラインが一定の割合で締まるシルエット(女性の場合は緩やかなカーブ形状)が理想と言えるでしょう。
(あくまで)一般的にスタイルが良い!とされる人は腰痛・肩こり・背部痛等の慢性痛にはなりにくいとされ、その理由は自在にコントロールできるこの腹腔圧のお蔭なのです。
“筒”を自在に伸ばし圧を高める
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“筒”を頭上に伸ばす動きがポイント!
ウエストのこの“筒”を自在に伸ばしたり縮めるには骨盤の傾斜角を前傾位へと導く必要があり、またその前傾角をある程度維持できる体の機能を獲得する必要があります。
身長測定の時カラダをしっかり頭上に伸ばそうとしても「あれ!?もうあとちょっとなのにぃ・・・」という経験があるかもしれませんが、この数ミリが違いを生むのです。
骨盤前傾位によって脊柱も今まで重力の圧迫下にあった状態から解放され、頭上に向かって伸びやすくなる、つまりこの“筒”を頭上に伸ばすような動きを習慣づけることが腰痛予防には不可欠といえるでしょう。
TM鈴木が提供するSelf Body-Conditioning Pillar【ツブツブ】によるプログラムならこの円柱状の“筒”であるウエスト(ユニット)を縦に《じっくり・着実に》伸ばし、脊柱の理想的な“S字カーブ”を維持することが可能です。
治療の先をみる!
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目標設定が腰痛改善の近道!
アスリートは動きの性質上どうしても完治が必要です。でも一般人、特に中高年であればどちらかといえば腰痛とうまく・長く付き合っていくことが最も大切なことだと思います。
アスリートや若い人、そしてそれ以外の一般人にも共通するのですが、腰痛改善を目標にするのではなく、その先にある目標を設定することです。
つまり治ったら何をしたいのか?何ができるようになりたいのか?の計画を立て、それを遂行するために腰痛を改善するという考え方にシフトするわけです。
例えば子供を抱えて空中に放り投げてキャッチしたいとか、奥様をお姫様ダッコしたい、草サッカーを腰の心配なく思い切り楽しみたい等、それこそがあなたが持つべき本来の目標です。
そのためにはどうしたらいいかを考えてみる!痛いから痛くならないようにしたい!ではだいたいその場限りの一時的な対処で終わってしまうことが少なくありません。
それは腰の痛みをとること自体が目標になってしまうからですが、改善ではなくその先にある目標に切り替えれば、腰痛の対処はその目標を達成するためのひとつの手段となるわけです。
手段は切り替えが可能
手段ならいくらでも変えることができ、仮に今行っている腰痛の対処法がダメな場合、レジスタンスやコアスタビリティに切り替える等といった手段の変更が可能です。
視野を広く持ちさえすれば様々な情報も入りやすく、そうなると必ずしもひとつの改善法・治療法だけに固執することはありません。
たかだか慢性の腰痛程度でくよくよ悩む必要はなくなり、新たな改善策にパッと気持ちを切り替えてチャレンジできるというわけです。
目標を高い位置に掲げ「腰痛を治すこと」を手段にして、その先にあるあなたなりの(腰の痛みが改善したときの)目標を設定してみましょう!
TM鈴木はクライアントにそうした方向性を促し明確な目標設定を掲げてもらっています。
身体の痛い部分を治すとかダイエットやアンチエイジングするというのはその先にある目標を立てて初めて実現に近づくということを知っておくべきでしょう。
まとめ:
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カラダのコントロール機能を高める!?
慢性的な腰痛に関する新たな考え方について提案しています。
1.慢性腰痛の対処法はまず人のカラダと重力の関連性を理解する
2.ウエストが円柱状の“筒”であることをしっかりとイメージする
3.痛みを改善するというより、その先の目標を明確に設定する
腰痛に関して上記3要素を検証してみると比較的短期間で大きな成果を示せると考えます。
検討に値すると考える方は是非!お試しを!(^^)!
TM鈴木