大腰筋は走る時意識して使うべきでしょうか?または意識して使えるように鍛えるべきなのでしょうか?
運動能力ととても関わりが深いものの、その存在を中々実感できない“寡黙な大黒柱”大腰筋、その存在意義とその秘めたる能力を紹介します。
大腰筋の使い方・発揮する能力の高め方をしっかり理解すれば、胴体と手足が関わるスムースでダイナミックな動作を実感できるようになるでしょう。
大腰筋の動きをビビットに感じるドリルで上手に走れる感覚を味わいましょう!
Contents
大腰筋を別角度から紹介

お腹の奥にある“沈黙の大黒柱”
もし人間に大腰筋がなかったとしたら動きはどうなるか?いわば逆説的な考え方ですを利用することで、この筋肉の重要性がしっかり伝わるかもしれません。
役割やしっかり把握できれば「大腰筋を走る時意識して使うべきか否か?意識して使えるように鍛えるべきか否か?の答えはおのずとわかるでしょう。
大腰筋の弱体化が招くもの
大腰筋ある/なしの影響は大きく、重力下で今の日常を続けられる人間はおそらく皆無といってよく、最悪人類の多くがコルセットを巻いての生活を強いられるかもしれません。

大腰筋の「伸ばせる」能力の発達は競技力アップに役立つ
最悪のシナリオとはいかずも大腰筋がほとんど使えないと仮定すると、走る動作や姿勢は今とは比べものにならない程変わってしまうはずです。
- 体に不連続のブレが起こりやたら動きずらく腰や背中に痛みを感じる
- 前屈・後屈がやたらやりずなり屈む・反らす動作をやりたくなくなる
- 走行中の片脚支持ができにくく立体的なブレが生じて走れない
- 疲れてくると腰を屈め背中をまるめるようにしないと走れない
- 脚の前方スイングの勢いがなく推進力が極端に遅くなる
大腰筋がなければ下半身と脊柱を連結する感覚をトレーニングで高めることはできません!
骨はあるものの感覚の大元は動きに依存するため、筋肉・腱等の軟部組織の動きで様々な感度を捉えるからです。
大腰筋が弱体化すると下っ腹に力を込める感覚や股関節・体幹をスムースに動かす能力の低下を招き、また前後左右へのブレが大きくなったり片脚支持での安定性が全く確保できません。
その速度に大きな支障をきたすことから、例えば人類が100mで10秒を切る記録は今後100年を経ても不可能でしょう。
大腰筋を動かす感覚アップ
それ程動きに大きな影響がある大腰筋(及び腸腰筋)の機能を、特に一般人はほとんど使うことがないため動きを意識することもほとんどありません。
スポーツ動作において意識的な大腰筋の動きは確かに考慮すべきですが、本来は基本的・専門的なワークアウトでその動きを感じながら走るときに自然に使えることが理想です。
例えば走る/スプリント/ランニング等の着地の瞬間、脚だけでなく体の中心(芯)で踏ん張る(支持する)能力、その感覚を高めるドリルです。

大腰筋を伸ばしながら走れる技術を高めよ
走るとは片脚支持直後に起こる逆足前方スイングの切り替えです。
片脚立ちの瞬間、地面から離地している側の遊脚を[鋭く・速く・遠く]へ振り出す!その動きを如何にスムースに繰り返えすかが、走る速度を高める秘訣です。
大腰筋(腸腰筋)の伸びながら動く感覚を高めるルーティンをとり入れることで、技術練習や実際のレースで自然に働くようにしたいものですね。
大腰筋の動く感覚を高める

大腰筋を伸ばせる骨盤前傾にフォーカス
大腰筋の動く感覚はどうすれば高まるのでしょう?
ポイントは「伸びる感覚」!なぜなら大腰筋は伸びている最中にその力を最も発揮してくれる筋肉だからです。
大腰筋の「伸びる感覚」を高めるには黒人アスリートが持つ骨盤前傾力を身に付ける必要があります。
無意識の意識を記憶させる
人の体は無意識であれば末端である手や足が必ず先に動くようにできています。
歩きでも走りでも速く動こうとすれば人は足先をできる限り速く振ろうとするはずで、脳の記憶領域にそのようにインプットされているのです。
走りでも末端から動く特徴は顕著で、これはゴルフやバットスイング・投球動作でもほぼ同じ傾向が観られます。
ところがトップになるような黒人アスリート・黒人スプリンターはこのベースが逆なのです!
彼らは末端ではなく骨盤(中心)から始動します!
それは鍛えたことに起因するのではなく、速く効率的に走るための彼らの骨格構造に備わった骨盤前傾力があるからです。
速く走るための十分な骨盤前傾を引き出せない日本人が、専門的トレーニングをいくら施しても大腰筋を鍛えられないのは、そのメカニズムを十分理解できていないからです。
日本人が世界で勝つには黒人アスリートと同じように骨盤前傾力(+5度骨盤前傾)を高めなくてはならず、本来持っている末端から動く記憶を書き換える必要があるわけです。
下腹部奥の伸びる意識
そこで必要なのが下腹部奥に生まれる縦に伸びる感覚です!
具体的には左右鼠径部から下腹部奥を通り、全体として頭上に向かって縦に伸びる感覚を維持した姿勢。

お腹を凹ますのではなく下腹部を縦に伸ばす
その意識で体に落とし込む訓練を継続すると従来の末端を振って進む走りから、黒人スプリンターの骨盤でリードする無意識の走りに変わっていきます。
黒人の走り・動きを身に付けるというコンセプトの元、そうしたパワーコンディショニングを実践すれば、ヘソから下が脚として左右の腸骨の前方回旋反応で足を引き出す操作が可能になるのです。
さっそく末端より先に骨盤が前方に動き(リードし)、足のスイング(振り脚)に勢いをつける黒人スプリンターの基本を身に付けてみましょう。
ツブツブfitをのりこなす
ポイントは下腹部奥の大腰筋の伸びをMAXで感じること!
そのために骨盤前傾+5度を引き出すため、独自開発のツブツブfitを使ったオリジナルのパワーコンディショニングを実践します。
- 肩甲骨とビーナスのえくぼでのる
- 力を抜いて縦にゴロゴロ横にゆらゆらさせる
下腹部奥が鼠径部から縦に伸びる(無意識の)感覚で走れるようになるためのルーティンドリルです。
黒人特有のこうしたバネと伸びやかなしなりを伴った走り方を身に付けるためには、+5度骨盤前傾を引き出すトレーニング『かるのび~kaRuNobi~』が必要なのです。
試合やレース中大腰筋の意識は必要ないが、練習や体・動き作りではこの縦に伸びている状態で走れる思考であってほしいと願います。
大腰筋は伸ばして使う:まとめ

ここが働くか否かで走りは大きく変わる
▼もし人間に大腰筋がなかったとしたら日常はもちろん、走りを含むスポーツ動作の多くは安定感を欠きかなりの制限を伴うはず
▼走る時大腰筋は片脚立脚での安定性(踏ん張り力)と逆側遊脚のスイングの勢いを高めることに使われるべき
▼大腰筋は伸ばして使ってこそ真価を発揮する!まずは伸びる感覚をツブツブfitにのることで養い、伸びている状態で走れることを前提としたパワーコンディショニングを採用すべき
TM鈴木